【0047】 七月の蝉
今年も夏が来た。
例年よりも暑い夏が来ているような気がする。
本格的な夏の到来は、だいたい蝉の鳴き声で知る。
その蝉が7月の半ばから鳴きはじめた。
気の早い奴は夜も明けぬうちから鳴き始める。
そして、午前9時か10時には鳴き止む。
例年もそうだったのかもしれないが、今年はやけに鳴き止んで枝で休んでいることに意識がいく。
彼ら(オスしかなかないからね!)には宿命しかない。
短い成虫のわずか数日の間で、相手を見つけるために、大きな声で鳴き、種をつなぐ。
うるさいといえばうるさいが、そこに儚さと、宿命を全うせんとするひたむきさを感じるのは歳のせいか。
同じく宿命を負っているはずの自分だが、同じように大声を出して、ひたむきに生きているか。
蝉と比して長い命に甘えていないか。
やりたいこと、やるべきことを意識に刷り込むことをサボっていないか。
土中の幼虫ならばともかく。
もう、空の広さも甘い木の汁の味も知っているというのに。