非公表裁決/事後清算型の「カフェテリアプラン」による経済的利益は給与等として課税されない経済的利益にあたるか?
福利厚生の一環として導入していた「カフェテリアプラン」による経済的利益が給与等として課税されない経済的利益に該当するかどうかについて判断をした裁決例です。
全部取消しということもあって、7月20日の税務通信(3614号)でも詳しく解説されていましたね。
いわゆる「宥恕通達」の射程が争われた事案なので、個人的にはあまり興味がそそられないのですが、従業員の福利厚生のために、この種のプランを導入している企業は少なくないでしょうから、実務的には重要なのだと思います。
従業員が付与されたポイントを利用してサービスの提供を受ける「カフェテリアプラン」については、「そのサービスの内容によって課税・非課税を判断する」という質疑応答事例があるのですが、この事案では、従業員が自ら利用代金を支払ってサービスの提供を受けた後に、使用ポイント数を申請してポイントに相当する金銭の支給を受けるという事後清算型の「カフェテリアプラン」であったことから、そのような事後清算型の「カフェテリアプラン」による経済的利益についても、課税されない経済的利益となり得るのかが問題となったという訳です。
原処分庁としては、会社が従業員に金銭を支給しているという点を重視したようですが、審判所は、①各従業員が受ける経済的利益の金額が職務上の地位等に関わりなく一律であること、②各従業員が受ける経済的利益の金額(1年間で20,000円)が福利厚生費として社会通念上著しく多額ではない、③ポイントを金銭に換えることを内容とするものではない、④ポイントを使用できるサービスが限定されているということなどを根拠として、割とあっさりと審査請求人の主張を認めています。
実態としては質疑応答事例の「カフェテリアプラン」と変わらないように思えますので、裁決の結論に違和感はないのですが、そもそもの取扱いが一種の“お目こぼし”ですから、これがOKなら似たような別のプランもいいでしょうと安易に判断することができる訳ではないとは思います。