続【新聞記事で宅建】無謀な開発。成長神話崩壊…中国不動産バブル深刻化
前回の続きとしてこちらの記事で宅建ネタを展開してみます。
『無謀な開発 成長神話崩壊 中国不動産バブル深刻化』
記事概要はこちら
1.中国の土地・不動産の所有権はどうなっているか
中国の土地・不動産の所有権はどうなっているか。
前回でも触れましたが、国土交通省のWebサイト『海外建設・不動産市場データベース』からも引用してみます。
土地は『公有』ということで、〈土地に関する権利としては、土地使用権が認められている〉と続く。
そんで〈農業用途以外の建築物の敷地となりうる土地の使用権は下記に分けられる〉として
「土地の使用は70年」という話は、上記の『払い下げ土地使用権』を述べているのでしょう。
2.建物には完全所有権が認められているか
『海外建設・不動産市場データベース』からの引用を続けます。
そもそも土地は公有で、その土地に対して持っているのは使用権で、Webサイトにも〈土地が賃貸、譲渡、担保設定等により処分される場合には、その土地上の建物も土地に従う〉とある。
なるほどですね。
たとえば「Aが土地使用権に基づいて建物を建てて、その建物だけをBに売却してBから土地使用料を得る」みたいな運用はできないということですな。
では、建物のほうはどーなっているか。
Webサイトにも〈建物は完全所有権が認められ、建物登記弁法に諸規定が定められている〉とある。
建物は私有ということだけど建物だけの売買はできない(建物を売買する=土地使用権も付随)ということだから、ニッポンでいうところの区分所有法での、建物(区分所有権)と敷地利用権の『分離処分の禁止』というイメージだね。
3.中国にも宅建業法はあるのか
読売新聞の記事によると〈中国の不動産業の歴史は半世紀に満たない。1980年の鄧小平氏の講話に基づいて、住宅の私有化が段階的に始まった〉そうで〈1998年の都市住宅制度の改革で、誰でも売買できるようになり、急速に産業化した〉とのこと。
『中国の不動産業の歴史は半世紀に満たない』というフレーズが目につきますが、半世紀に満たないとはいえ『不動産業』という業態があるらしいので、ではニッポンでいうところの『宅地建物取引業』みたいなのはあるのでしょうか。
記事にも明確なところは書いてないですが、でも、気になる個所が。
青田売り。
新築マンションの売買は「青田売り」が一般的(慣行)とのこと。
〈新築物件のほとんどは、完成前に販売され、契約者は価格の2〜3割を頭金にして、残りを毎月のローンで返済〉と同記事。
ニッポンの宅建業法でいえば、未完成物件の売買ということで41条の適用ですね。
一般消費者相手に、宅建業者が未完成物件の売主となる場合、不測の事態(例:完成せず引き渡せない)に備えるため、一定の保全措置(事前に受け取ったお金を返せる措置)を講じなければ、手付金等(引渡しまでに受け取る金銭)を受領してはならない。
・・・という法規制あり。
ところが。
記事に登場する「不動産バブルに踊らされてしまった夫婦」は、新築マンションを青田売り(未完成売買)で買ってしまい、なんと月収の3分の2をローンの返済に充てているそうで(←これだけでも恐怖)、さらにいまだに引渡しを受けていない。
この「引渡しを受けていない」というのが青田売りの“弊害”ですね。
記事からの引用を続けますと〈開発企業が、契約者から受け取った資金を別の物件の建設に充てるという、自転車操業を繰り返し〉た結果、〈開発企業の資金繰りが行き詰まって工事は中断〉となり、こちらの夫婦のように〈入居できる見込みがないまま、月々の支払いが続く例〉が続出らしい。
日々の暮らしはどうなるか。
記事によると〈夫婦は豚肉を我慢し、豆腐を食べて生活を切り詰めても、いつになったら住めるのか、見通しが立たない〉とのこと。
豚肉、食いてーよね。
豚しゃぶがいいかなー。
生姜焼きも美味いよなー。
がしかし。
いい加減にしてほしい、と契約者。
反乱も起こった。
〈(昨年の夏には)怒った契約者がローンの返済を拒否する事例が300か所以上で起きた〉らしい。
いずれにせよ、みなさん困っちゃったんでしょうね。
なのでこの夫婦は〈建設の遅れを抗議〉しに〈開発した不動産業者を訪れ〉てみたら、なんと返り討ちにあってしまった。
記事によると〈突然、見知らぬ男らに襲われ、怪我をした〉とのこと。
同記事によれば〈建設が遅れたり、途中で放置された物件は、全土で2,000万戸にも及ぶ〉とのこと。
・・・ということで、以上、【新聞記事で宅建】無謀な開発。成長神話崩壊…中国不動産バブル深刻化でした。
またなにかおもしろい新聞記事(事件)がありましたら、取り上げてみます。
お楽しみに〜\(^o^)/