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【東京一極集中】厚生労働省・2050年地域別の推計人口
東京だけが増える。
あいかわらずですねー。
今回はそんな新聞記事を取り上げてみたく。
国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの「地域別将来推計人口」を公表した。50年に日本の総人口は20年比2146万人減の1億468万人となり、東京都を除く46道府県で20年の人口を下回ると推計した。地方の人口減少と高齢化が同時並行で加速度的に進行する一方、東京への一極集中は一層深刻化すると予想した。
1.人口増が続けばますます窮屈に
1面の記事の続きが「教育・住居費 重荷に」という見出しで4面にもあって、そりゃそうですよね。同記事によると《総人口に占める東京都の人口割合は、2050年に13.8%と、1990年の9.6%と比べ大きく高まる》 とのこと。
すべての道府県で人口は減少していくんだけど、東京都だけは人口増が続く。すさまじい一極集中なんだけど、「教育・住居費 重荷に」とあるとおり、一極集中が続くかぎり少子化の流れは加速だ。
だって“カネ”と“スペース”がないんだもんね。《娘(4歳)の将来のためにと、英語やピアノ、体操などの教室に通わせている。月謝は月に4万円ほど》と嘆いているのは都内在住の男性で、カネがいくらあっても足りないので、これ以上、もう無理だと。
なるほどたしかに、だがしかし。
もしもだよ、そんな遊び盛りの4歳くらいの幼児を商売のネタにしているピアノ教室やら英語教室やら体操教室やらが、つまり“都会にありがちなそんなサービス”が近所になかったら。
なかったらないで親たちも「都会の子どもはたいへんだねー」みたいな笑えるネタにしたりして、でさ、そもそもだよ、4歳くらいの幼児を「将来のために」とそんなのに通わせたところで「将来どうせ・・・」みたいなことになるのだし(と決めつけるのもなんだが)、つまりそんな“親バカ”も商売のネタにされちゃっているかもしれず、かえって当の娘も、その時間、パパやママといっぱい遊べてシアワセかも。
ということで、結局のところ、東京(都会)で暮らすということは、否が応でもカネを使わせるようなシステムに巻き込まれるという面も。ザ・資本主義だ。不安や欲望が商売のネタ。都会は不安と欲望のルツボだ。
・・・みたいなふうに思ったりして、実際近所にそんなノリの娘夫婦(娘1号=長女夫婦)がいるが、でもそんなこと言うと“アレ”だから言わないけど。
2.こっちも深刻かも住居問題
とはいえ、われわれのような不動産仲介業者はうれしい限りです。そりゃそうですよ、衣食住の「住」を扱うサービスなんだから、人が多ければ多いほど商売繁盛だ。需要と供給の話を持ち出すまでもなく、当然、都会の住居費は高止まりとなる。
東京23区の場合、23区の面積は627k㎡で、滋賀県の琵琶湖(映画「翔んで埼玉」の舞台でしたね)とほぼ同じ。そこに約980万人がひしめいて暮らしていて、人口密度は1k㎡あたり、なんと驚愕の約1万5000人。
この数値だけだとピンとこないので、神奈川県だとどうか。神奈川県の人口は約923万人で、人口密度は1k㎡あたり3,800人くらい。いいないいな。千葉県だと人口は630万人くらいで、人口密度が1k㎡あたり1200人くらい。さらにいいな。両県とも、なんかとっても快適そうだ。
でも人の流れは止められず。さぁもっと集まるぞ23区。大混雑で全員窒息だ(笑)。上述のとおり、すでに人口密度がとんでもないことになっているので、もうスペースがない。
いうなれば社会全体に余裕がない。たとえば、どこのスタバも満席。となると、そりゃそうだろうね。《保育園も入れるための「保活」も大変で、実家が遠方で親に子育ての支援を頼めず》ときたもんだ。おまけに雇用されている労働者だと会社に時間を切り売りしている関係上、自分の時間を自分でコントロールできないからたいへんだ。余裕なし。忙しい。すり減る。
ちなみにですけど、東京は出生数自体は多い、というとびっくりするかもしれませんが、当たり前ですね、親となる人間が多いんだから子どもも多いだろ。でも産院は少ないみたいだ。っていうか新しく作るスペースもなしいしね。
一方、地方は出生率は高い。分母となる女性が少ないからね。けれども、出生数自体は大幅に減少だ。減少というか、単に“人を東京に持っていかれた”というだけの話ですよね。
3.でもこれって日本列島改造論のときから変わらない
ではここで、ワタクシが大好きな、かの田中角栄氏による『日本列島改造論』を持ち出してみたく。50年前に発刊された書籍で、しばし絶版となっておりましたが、最近、復刻されました。
そもそも日本列島改造論とはなにか。wikipediaから引用します。
日本列島改造論は、田中角栄が自由民主党総裁選挙を翌月に控えた1972年(昭和47年)6月11日に発表した政策綱領、およびそれを著した同名の著書。略して列島改造論ともいった。
田中はこの「工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる “地方分散” を推進すること」を主旨とした事実上の政権公約を掲げて同年7月の総裁選で勝利し、内閣総理大臣となった。
『日本列島改造論』(全国書誌番号:70000513、ISBN 4-526-03467-3)は、1972年(昭和47年)6月20日に日刊工業新聞社から刊行された。田中が総理の座を射止めたこともあって当初91万部を売り上げ、年間第4位 のベストセラーとなった。
ワタクシは復刻前のオリジナル版を持っていまして、というか宅建講師稼業をはじめたときにバイブルとして古本屋で買いまして、で、その「序にかえて」から、以下、引用してみます。
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昭和30年代にはじまった日本経済の高度成長によって東京、大阪など太平洋ベルト地帯へ産業、人口が過度に集中し、わが国は世界に類例をみない高密度社会を形成するにいたった。巨大都市は過密のルツボで病み、あえぎ、いらだっている。
(中略)
都市集中のメリットは、いま明らかにデメリットへ変わった。国民がいまなによりも求めているのは、過密と過疎の同時解消であり、美しく、住みよい国土で将来に不安なく、豊かに暮らしていけることである。そのためには都市集中の奔流を大胆に転換して、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開することである。
どうですかみなさん。
そうだそうだ、そのとおりだ。
力強いです。
よしやりましょう。
・・・ってこれ、50年前の提言です。
結局のところ、なんにも変わらないニッポン。たぶんこれからも、行き着くところまで行かないと、変わらないのでありましょう。
でもなー、この熱いスピリッツ。
もしもいま田中角栄氏がいてくれたら、どんな展開になったことでしょう。
楽しみでしたね(←というのも、なんか変か・笑)
今回は以上です。
みなさんも試しに日本列島改造論、立ち読みとかしてみてね。
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