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ハロウィンとケルト人
「万華鏡」マガジンのテーマ「秋」の記事です。
秋についての記事を2つ没にしました。いやあ難しいですね。
今回は、「直近の秋の最大経済活性イベント?」であるハロウィンについて
自分の思うところも含めて書くことにします。
私はそれほど歴史の専門家ではありませんので
間違いの部分があってもご容赦の程をお願いします。
1.古代ケルト人
ハロウィンは古代ケルト人の祭祀が起源です。
ケルト人は、紀元前4世紀~2世紀頃の西ヨーロッパを
ほぼ網羅していたくらい広大に活動していました。
その後、共和制ローマの支配下となり、
徐々にキリスト教圏に同化されていきますが
アイルランド、スコットランドあたりに
今もケルト文化が色濃く残っています。
古代ケルトはその神話体系も含めてすごく神秘的で惹かれます。
「自然崇拝の多神教」というところも
八百万の神々を持つ日本人として親近感があります。
そもそも現在の宗教の9割が一神教で(ヒンズー教・仏教を多神教と見るか
どうかで違ってきますが)多神教はかなり少ない。
日本の神道も世界的には「かなりマイナーな民俗信仰」です。
紀元0世紀くらいの世界にはどんな宗教があって
何が崇拝されていたのか、考えるだけで楽しいです。
2.万聖節とサウィン
ハロウィンという名前はキリスト教の万聖節(11月1日)の前夜祭(All Hallow's evening)に由来すると言われています。
これと別にケルトの「サウィン」(10月31日)という
ケルトの収穫祭があります。
この「サウィン」はケルト人の大まかな季節の変わり目(夏から冬)の日で、死者の霊が現生に帰って来る日でもあります。
また悪い魔物なども現生に入ってきます。
祭祀が魔物除けでかがり火を焚き、
各家庭はその火を家に持ち帰り暖炉にくべます。
これがハロウィンの祭りの始まりです。
興味深いのは、元々の万聖節は5月だったらしく、
キリスト教側がケルト文化に合わせて11月に移したということです。
これは「ケルトのキリスト教への同化」に見えますが、
「キリスト教がケルト人に日和った」「忖度ではないか」
という声もありますね。
いずれにせよそれだけ民衆にケルト文化は根ざしていた、
ということでしょう
3.ハロウィンのイベント化と現在
その後、19世紀にケルト文化が色濃く残るアイルランドや
英国からアメリカに大量移住が始まり、万聖節及びハロウィンの儀式が
徐々にアメリカ全土に広まっていきます。
ハロウィンはどんどん宗教色は薄まり、派手なイベントと
なっていきます。
ジャック・オー・ランタンやトリック・オア・トリートのイベント、
魔女・吸血鬼・狼男・ゾンビなどの仮装はもちろん
近年から始まったものです。
ちなみに、キリスト教圏でのハロウィンの扱いはどうなのか。
調べてみましたが、
カトリック・プロテスタント・東方教会などで
ハロウィンは「ほぼ無視」されています。
場所によっては「邪教」扱いです。
(ヨーロッパではアメリカ日本のような盛大な祭りはないそうです)
今も、「ケルト人VSキリスト教」は続いているのかも
しれないですね。
現代の日本では「仮装イベント」の側面が強いハロウィンですが、
2000年の時と地域を超えた祭祀と考えるとなんとも壮大ですね。
現代のハロウィンに元々の「先祖の霊を敬う」側面があってもいいな
・・・と思いましたが日本には「お盆」がありますね。
ではもう、騒いで楽しみましょう。