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GigEカメラとフィールドバスは相性が悪い?

一言でいうと、「相性は良くないので、別々のネットワークを作りましょう!」です。規格上は同じネットワークにGigEカメラとイーサネットベースのフィールドバスの共存が可能です。ですが、以下の理由で共存は避けた方が無難だと思います。

・ 高スループット、低ジッタ、低レイテンシを全て両立するのは難しい
・ 低い確率で発生する通信阻害を事前の動作確認でつぶしきれない
・ 非暗号化通信のGigEカメラを工場内LANへ接続できない可能性あり

GigEカメラとフィールドに求められる通信性能

GigEカメラとイーサネットベースのフィールドバスは、どちらもイーサネット通信を行います。しかし、求められる通信性能は異なります。

GigEカメラに求められる通信性能
GigEカメラで撮像される画像はデータサイズが大きいので、通信速度(スループット)が重要です。また、高いフレームレートが必要な場合、撮像タイミングのばらつき(ジッタ)を抑える必要があります。一方で、露光時間や画像転送時間が長いので、パソコンからGigEカメラへ撮像コマンドを送ってから実際にGigEカメラで撮像処理が始まるまでの時間(レイテンシ)は問題にならないことが多いです。

フィールドバスに求められる通信性能
フィールドバスで接続された産業機器間でやり取りされるデータは小さいので通信速度(スループット)はあまり重要ではありません。実際、100Base-Tのフィールドバス規格もあります。一方で、機器間で情報が更新されるタイミングがばらついたり(ジッタ)、ある機器への問い合わせに対する応答に時間がかかったり(レイテンシ)すると、機器間の連携が乱れたり、機器間の意思疎通に時間がかかり生産効率が低下するといったことが起こります。

まとめると、以下の表のようになります。

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スループット、ジッタ、レイテンシについては、オライリーの「詳説イーサネット」を参考にしてください。一通りのイーサネットの知識が手に入るので、おすすめです。

理由①:性能の両立が難しい

ジャンボフレームを使用し、1回に送るデータサイズを大きくしてソフトウェアでのデータ解析回数を減らすと、画像転送のスループットを高くできます。データ1回当たりの通信時間は伸びますが、データの送信回数が減るのでトータルでは短時間で画像を転送できるというわけです。

一方で、1回に送るデータサイズが大きくなると、応答時間がのび、またそのばらつきが大きくなります。結果、フィールドバスを使った機器間の情報共有に、更新タイミングの遅れやばらつきが発生しやすくなります。

高スループットと低ジッタ、低レイテンシはトレードオフの関係になるので、必要な性能を満たせるようにバランスをとる必要があります。

理由②:手離れが悪くなる

フィールドバスの定期的な通信と、GigEカメラからパソコンへの画像転送がタイミング的にかぶる可能性があります。

フィールドバスの通信を優先処理する、画像データを送る間隔を長くすることでタイミングが被りにくくするといった対策が考えられますが、どちらもタイミングが被らないことを100%保証しません。そのため、設備導入時はうまくいっていたが、後からフィールドバス通信とGigEカメラの撮像がバッティングし問題になる可能性があります。

また、これらの対策はGigEカメラのフレームレートを低下させるので注意が必要です。

理由③:工場のネットワーク規則的にOUTかも

工場によっては、セキュリティの観点で暗号化していないイーサネット通信が許可されない場合があります。この場合、工場内LANに通信が暗号化されていないGigEカメラを接続することはできません。今後、セキュリティはどんどん厳しくなっていくので、今は暗号化していない通信がOKの工場も将来禁止される可能性があります。


イラストは

イラストは妻に描いてもらいました。良かったら妻のnoteも見に行ってください。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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