【NPB全般】今年の沢村賞は該当者なし。基準は改めるべき?
プロ野球で先発投手最高の名誉ともいわれるタイトル「沢村賞」の選考委員会が28日、都内で行われ、2024年は5年ぶりの「該当者なし」となりました。
沢村賞ってどんなタイトル?
史上初のノーヒットノーランを達成し第二次大戦で戦死した伝説の大投手、沢村栄治投手を偲び、1リーグ時代の1947年に制定されたタイトルです。シーズンで最も優れた「先発完投型」の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに広げられました。当初は記者投票で選出していましたが、82年からは元投手のOBらによる選考委員会で選出しています。
選考基準は以下の7項目ですが、必ずしも7項目全てクリアしなければならないという規定はありません。
登板試合数 - 25試合以上
完投試合数 - 10試合以上
勝利数 - 15勝以上
勝率 - 6割以上
投球回数 - 200イニング以上
奪三振 - 150個以上
防御率 - 2.50以下
過去の受賞者の顔触れは?
昨年までは山本由伸投手(オリックス)が他を圧倒する成績で3年連続受賞。過去20年を遡ってみても、早々たる投手が抜群の成績で受賞をしていることが分かります。堀内委員長は「基本的には1人、ベストピッチャーを選びたい。ここ3年は選考しやすかった。今年は甲乙付けがたい。たくさん名前が出るということは、成績が並んでいるということ。比べていっても1人にならなかった」と説明しました。
時代とともに選考基準の緩和を求める声も
現在、プロ野球では先発・中継ぎ・抑えとピッチャーの役割の分業化が進んでいて、沢村賞の選考基準になっている「完投10試合以上」や「投球回数200イニング以上」は非常に高いハードルになっています。実際に今シーズンの最多完投数は日本ハムの伊藤大海投手とロッテの小島和哉投手の5回。投球回数はDeNAの東克樹投手の183イニングとなっており、基準と大きな開きが出てしまっています。
選考基準の見直しについて問われた堀内委員長は「本当は変えたくないが、数字が出てこないとなると完投数や投球回数は少し考えていかなくてはいけない。」と今後の見直しについても含みを持たせました。
一方で伝統的な選考基準を尊重する考えも
一方で堀内委員長は、「この賞は最優秀投手ではなく、沢村栄治さんの賞だ。ある程度の格式、威厳を持って選考させていただきたい」と話しており、大リーグのサイ・ヤング賞よりも古い1947年に設けられた歴史ある賞の伝統的な基準を尊重していく考えも示しています。
ちなみに私は数年連続で「該当者なし」となっても構わないので、現在の選考基準は残すべきだと思います。
そもそもNPBはMLBより長い、中6日でローテーションで先発投手を回しているので、各球団のエース級の投手は120球ぐらいを目途に交代を考えても良いと思います。ただ、現在の野球界は野手のレベルも上がっており、少しでも球威が落ちるようなら一気に大量失点というケースもみられるようになりました。今後も先発投手の完投試合の減少に歯止め止まらないのではと予想します。
中継ぎ投手を称える賞を新設してみては?
前述でも述べましたが、ピッチャーの役割の分業化が進む現代野球。ぺナント争いのカギとなるのがブルペンを支える「中継ぎ投手」であることは間違いありません。連投もあれば、何度も肩を作りながら出番が来ない日も。さらにはリードを守る終盤から大差負けの展開まで役割も様々です。過酷な仕事を担うリリーバーたちの栄誉を称える賞を新設してみてはどうでしょうか。例えば選考基準に「50登板以上」などといったものを設けても良いかもしれません。
投手の分業化が進んだのはここ数年の話ではありません。過去3年間は山本由伸投手という文句なしの沢村賞投手が日本のプロ野球界に君臨していたため、この問題は全く表に出ていませんでした。
来シーズンは、佐々木朗希投手や宮城大弥投手などの今後の野球界を引っ張る若手投手達が文句なしの活躍をし、満場一致で「沢村賞」を受賞してくれれば嬉しいですね。