真っ黒なスミレとむっそ。
「ねえ、むっそ」
「なんだい?」
「どうしてぼくは、スミレの花なのに真っ黒なんだい?
どうしてぼくは、ほかのスミレと
チガウ のかい?」
「チガウ?」
「だって、ほかのスミレは、綺麗な紫色やピンク色をしているよ。
どうしてぼくは…、真っ黒で。
ほら、ススで汚れたみたいじゃないか。
こんな花ってあるのかい?」
むっそはすこし考えました。
そして、諭す(さとす)でもなく、ごく自然に、言いました。
「チガウ って、なんの損があるんだい?それはぼくは知らないな。聞いたこともないよ。
それに、君の黒い花びらは、
とても、とても良く、その真ん中の
小さなおしべやめしべを
キレイに見せているよ。
君のいのちの黄色を、とても引き立たせる色だ。」
「そっか。」
「…むっそ、ありがとう。」
黒いスミレは、小さくうなづきました。
いつもの自信なさげな口調でしたが、
でも、いつもよりすこし、笑顔でした。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後こちら(note)は、文章(絵本風、ショートショートなど)メインになる可能性が高いです。
えけものシリーズもできるだけ、ご要望があれば出します。
今後しばらく無料で提供して、コツコツ書いていくつもりなので、ご愛顧くださいませ( ´ω` )/