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WE R!で考えた。『日向坂46とは?』を問い続ける魅力

3月1日より開催されている日向坂の展覧会『WE R!』見に行きました!

展覧会は日向坂の誕生から現在に至るまでの軌跡を、生み出された作品の展示やメンバーへのインタビューを通して追体験していくような構成になっています。

この展覧会のテーマになっているのは、『日向坂とは?』という問いです。WERはドイツ語で『誰(who)』を意味する言葉でもあります。
日向坂は大きな節目を迎えています。人によっては停滞を感じ、目標を失い迷走していると感じたでしょう。運営による謎のムーブもファンを困惑させました。4期生加入後定まっていなかった体制も、選抜制をとりいれる事が決まりました。ファンのなかには日向坂のアイデンティティを危惧したり、残念ながら日向坂そのものに魅力を感じられなくなって離れた人もいるはずです。

今回WE R!を拝見し、自分なりに『日向坂とは?』というテーマについて、そして自分が感じる日向坂の魅力について考えてみました。

長いです。(4000字)


日向坂の歴史は自分探し


WE R!ではひらがなけやきとして誕生したグループが改名や目標の達成、その後の迷走(敢えて言うなら)期を通して、日向坂がグループのアイデンティティを探し続ける姿が描かれています。

結成の経緯

 ひらがなけやきはご存知のとおり長濱ねるの特例加入を認めるための措置として結成されました。目的をもって募集、結成された乃木坂46や欅坂46とは違い、もともと生まれる予定がなかったグループなのです。

公式ライバルとして、妹分として結成された先輩グループに対して、ひらがなけやきは『長濱ねる加入のため』というフワフワした理由により結成されました。ところが、そのフワフワした理由もたった一年で崩壊してしまいます。

ねるの兼任解除

 ねるの兼任解除により、ひらがなけやきは結成当初の目的を失いました。失った、というよりも、ねるを欅坂46に加入させるというグループの目的を達成した、という表現のほうが正しいかもしれません。これにより、ひらがなけやきは初めからあやふやだったアイデンティティを早々に無くしてしまったのです。滅茶苦茶な無計画から始まったひらがなけやきは、何のために存在しているのか、運営もメンバーもファンも分からない状態でした。

 ひらがなけやきは自分たちで存在理由を構築しにいきます。『君達はエンターテインメント集団を目指すんだ』『ひらがなの強みはハッピーオーラだ』と、ひらがなけやきの輪郭を形作る作業を行い、それと同時に新規メンバー追加を行い、徐々に欅坂から独立したグループとしてのひらがなけやきが形作られていきます。『長濱ねる』という根本的な存在理由を失ったひらがなけやきは、メンバー加入や東京ドームライブという夢、最終的に日向坂46という新しい名前を獲得します。コロナ禍、相次ぐライブの延期やドーム公演の延期はグループにとって試練でしたが、向かい風にも負けない日向坂というイメージや、目標に向かうメンバー・ファンの一体感の醸成にはプラスになった側面もあるでしょう。

しかし東京ドームという大きな目標を叶えたことで、再び日向坂は自分たちのかたちをグラつかせてしまいます。個人活動の進展、それまで共有化されてきた目標の達成、ずっと一緒に歩んできたメンバーの相次ぐ卒業、そして4期生加入、脈絡なく始まった聖地、突然途切れたひなくり、そして大所帯になったことから想定された全員選抜制からの変更…挙げればきりがありませんが、これらのことが昨今の『停滞感』や『迷走感』につながっていたと思います。

 上記のように、日向坂は前身のひらがな時代から現在まで、存在理由を失ったり見つけたり、強みを見つけたり手放したりを繰り返してきました。名前を変え、目標を変え、システムを変えて(時に迷走し)進んできました。
でも、ここで言いたいのは、日向坂の歴史というのは、その誕生から現在までずっと続く『自分たちのアイデンティティとは…?』を模索し続ける旅そのものだということです。

4期生が教えてくれた日向坂の姿



 WE R!から遡ると、日向坂4期生による新参者ライブがありました。11thシングル特典には、新参者に挑む4期生が「日向坂4期生って…?」という問いに苦悩する姿が映ってます。乃木坂5期生や櫻坂3期生と比べて、自分たちを形作るイメージが定まっていないことに不安を感じるわけです。これはかつてひらがなけやきが直面した問いと同じであり、日向坂がずっと向き合い続けてきた問いなのです。計画のない混沌から生まれ、目的の見えない闇の中で育ったのが日向坂なのです。『自分たちは何者か?』という問いは、ずっと日向坂自身が向き合い続けてきたものでした。

4期生が新参者公演のなかで見つけた答えが『一体感』でした。一体感。自分たちの形を明確にするには不明瞭でぼんやりした言葉です。

でも、私は日向坂にはこれしかないと思うんです。生まれながらにして自らのアイデンティティや存在の目的を探し続ける日向坂にとって、ただ一つ確かな存在はメンバー、『人と人の関係性』だけなのです。

4期生曲に見たことない魔物という曲があります。不安や自信のなさに押しつぶされそうな4期生にとってのエールなのですが、WE R!のテーマである『日向坂とは?』という視点でみると、4期生だけではなく日向坂全体の姿を現したものだと受け取れます。

答えが見つからない
出口はどっちだろう
僕ならここにいるよ
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『見たことない魔物』

『答え』は見つからない。でも僕はここにいる。暗闇のなか進むべき方向もわからない、それでも仲間はいる。日向坂を日向坂たらしめるのは、進む方向でも答えでもなく、ただ仲間の存在なのです。新参者での4期生の姿は先輩メンバーにとっても改めて日向坂を見つめ直すいい機会になったと、キャプテンもKアリーナで話していました。

日向坂46とは何か


 WE R!は日向坂の歴史を紐解く展覧会であると同時に、日向坂とは何か問うのがテーマでした。では展覧会の最後の展示にその答えはあったのでしょうか。

WE R!

 展示の最後にはメンバーが手にしていたフラッグが刺さってます。ひとつひとつにメンバーの「自分は日向坂としてこうありたい」という決意が書かれています。そこには『日向坂とは○○だ』という言葉はありません。ひとりひとりが、日向坂への想いを語る空間が展覧会の最後に用意されていました。

『日向坂とは?』というテーマへの回答は、ハッピーオーラというイメージを表した言葉でもなく、当然ながら選抜、全員選抜というシステムですらありません。それは最初から何も持たず全てが不確かな道を辿ってきた日向坂に唯一確かに存在し続けているもの、メンバーであり仲間です。『日向坂とは?=WER (誰?)』という問いへの回答は『私たち=We are!』でした。

平尾さんのフラッグに凄く印象深いことが書いてあります。これ、ここまでの文章書いた後に初めて見ましたが、ドキッとしますよ。

(なんでこんなに撮りにくい位置なんだ…)

『グループのかたちは変わりゆくけれど、日向坂は日向坂のまま。メンバーとおひさまと、言葉にできない【らしさ】を守っていきたい』


日向坂46の魅力


 さて、WE R!を通して考えてみた『日向坂とは?』ですが、最後に私が感じ、考えている日向坂の魅力について書いていきます。

 わたしは、日向坂の魅力とは『迷い、戸惑いながら自分たちは何者なのかを探し続けること』だと考えています。

日向坂はアイデンティティを持たず生み出され、目標への全力ダッシュと混乱と迷走を繰り返してきたわけです。多くの理不尽やどうにも出来ない状況に翻弄されてきました。生まれながらにしてなぜ生まれたか分からない…そんなグループあるでしょうか?そうした困難にメンバーが手を取り合って立ち向かう姿に心を打たれたのです。

『ってか』のイメージ

 でも、それって我々みんなの人生も同じではないでしょうか。
目的を持たず生まれ、自分の人生に意味を見つけていくこと。
全て思うがまま計画通りに進むわけではなく、迷い失敗していくこと。
先行きが見えず不安に思うこと。
期待した結果が得られないこと。
自分自身の価値に自信が持てないこと。

 日向坂が単に『みんなで元気で可愛いハッピーなグループ』であればここまで興味を持たなかったはずです。その元気さと多幸感の裏にある、自分自身の存在理由の不確かさからくる迷いと憂い。カオスのなかで誕生して以来宿命づけられた『自分たちは何者なのか、問い続けるアイドル』こそ日向坂の姿であり、他のどのグループにもない日向坂だけの魅力だと思います。自分を見失い迷走することも含めて日向坂の魅力なのです。歌唱力やダンスパフォーマンスやビジュアル、まして大喜利力でもバラエティセンスでもない。迷いや憂い、カオスすらも自らを形作る歴史にしてきた日向坂だけの魅力だと思っています。

正解も間違いも
そう、その採点はいらない

『何度でも何度でも』

グループが混乱し迷走していることをファンが感じ、「これでは駄目だ」と不安に駆られることもあるでしょう。現状の反省点を見つけ改善を欲することもあるでしょう。アイドルの楽しみ方は人それぞれで、それぞれの推し方で、推したいならファンでいる。無理なら離れる。仕方のないことです。

 でも もし混乱と迷走に戸惑うファンの方がいたら、『もしかしたら、そういう日向坂も結構面白いかもですよ』と声をかけてあげたい。混乱も迷走もカオスも自分探しの遠回りも、愛すべき要素と受け入れることができるかもしれませんよ。サザエの肝とかうなぎの肝みたいな。

長くなりました。拝啓日向坂46さま、これからも存分に迷って悩んで下さい。『憂いとは可能性』って歌詞、いいですよね。


#日向坂46
#日向坂46_WE_R


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