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アストランチアの押し花で壁紙を作ってみた
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一番下に壁紙にしてみたサンプルもあるので、ぜひ見てみてください。
今回は、前回記事にした「白と緑のアストランチア」を押し花にして壁紙にしてみました。
本来は夏時期の花を、12月に何度もアップしてますがお許しを。
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■梶谷 奈充子さんの「美しい押し花図譜」が良すぎて、真似した。
私タキツネの2022年は、誠文堂新光社の本を買ってきては真似する1年でした。
花を染めてみたのは「染めの花」を見つけたから。
透明オブジェを作ってみたのは「固まるハーバリウムで作るインテリア雑貨とアクセサリー」を見つけたから。
で、今回の押し花はこの「美しい押し花図譜」を見つけたからです。
本屋でこの本を見たときの第一印象を正直に言えば「押し花・・・? いま?」でした。
子供の頃にクローバーか何かで押し花の作り方は教えてもらった気がするけど、「押し花」という単語自体を最後に聞いたのはいつだっけという感じだし、反射的に「押し花=古い」という印象が先行しました。
しかし、なにせこの本自体が圧倒的に美しい。
2,500円で、B5版で、ずしりと分厚い。
ページをめくるたびに押し寄せてくる、形・色・レイアウト。
「あ、これは手元に持って、いつも見なきゃダメな本だ」と直感しました。
持ってなきゃいけないというか、怒られたような気すらしました。
「おいオマエ、なんで必修の教科書を買ってないんだ!」みたいな(笑
この本のすごさって、単に押し花が綺麗かどうかって話じゃない。
「ほぼ完全に平面、かつ水気のない押し花だけで、大きな空間を美しくレイアウトできるか?」という問いへの解答集なんです。
そもそも問い自体が上級者向けすぎる。
なのに、その問いへの答えを1種類の押し花だけで次々と提示し続けていくというのがかっこよすぎるんです。
アートディレクション、撮影、カリグラフィー、etc
本の奥付けは上記のような方々の名前もありました。
(もちろん、編集・校正・企画・アシスタントの方も)
この企画(2,500円、B5版で、押し花の本)をやること自体、出版社はもちろん、関係者全員に覚悟を感じる、最高に大人な本でした。
ぜひ本屋で手に取って見て下さい。
これは紙の本でぜひ見ていただきたい。
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大事という話が載ってます。
まさにこの本の価値はここで、押し花のイメージがアップデートされました。
本のサイズも、B5版だからこそ余白の価値を感じられます。
これがもっと小さい版だったら、この感動は生まれないはず。
価値のある空白というのは、コストをかけ、狙い澄まし、覚悟を決めて初めて生み出せるものだなぁと思わされました。
旅館で広い部屋に泊まらせてもらったときの感じかな。
そんなわけで、この本を出してくれてありがとうございます、という思いです。
リスペクトを込めて押し花を作り、今回の壁紙を作ってみました。
で、押し花自体は2週間くらいかけて無事にできたんですが、これをそれなりに壁紙にするというのがまた難しくて難航しました。
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影なしバージョン。
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明るさ・背景・レイアウト・影をどうするか。
ピンセットで押し花を弄り回すこと数時間・・・。
■撮影と壁紙化が難しかった。
最初は、押し花は平面、壁紙も平面だから、俯瞰で撮るだけで勝手にサマになるんじゃないかと甘く見ていたんですが、とんでもない勘違いでした。
もちろん撮影はできるんですが、全然「作品」にならない。
撮っても撮っても、理科的な「記録写真」か、スキャン画像にしかならないんです。
私は押し花を作ってみたこと自体がゴールではなくて、それを使った「壁紙」を作りたいわけなんですが、どうしたら「壁紙」にできるのか分からなくて途方に暮れました。
ただ紙に置いて上から撮影してみる → ダメ、驚きの薄っぺらさ。
下から光を透過させてみる → ダメ、汚い色味のレントゲン写真でしかない。
ガラスのフォトフレームに押し花だけを入れて撮影 → ダメ、結局背景が必要。
フォトフレームに半紙ごと挟んで撮影 → ダメ。「古い・色褪せた」イメージをわざわざ作り出してしまう。そうじゃない。
とまぁ、何度も撮影失敗を繰り返しました。
やり方次第で、上のやり方でもうまく撮れるとは思いますが、その時は対処法が思いつかず、すごすごと退却。
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右上のがふわっと飛んでる感じが好き。
最終的には、どうにか影をはっきり入れたいと思い、アクリル板の下に背景を貼り、左上から光を当てたら良い感じになりました。
上から押し花、アクリル板、背景の順になっているので、背景に影が落ちて面白い距離感になっています。
アストランチアの造形を強調できて絵になったので、今回はこれで良しとしました。
「写真は光と影をどう操るか」だとよく言われますが、今回はそれを痛感しました。
ただピントを合わせてシャッターを切っただけでは「記録」でしかないんですよね。
毎回、ちゃんと考えて臨まないといけません。
プロの話を聞いていると「仕上がりをイメージして、そこから逆算して作っていく」なんて仰ってますが、そんな夢十夜の運慶みたいなこと、とてもとても。
こちとら、朧げながら仕上がりイメージがなくはないですが、「撮ってみたらこう撮れたから、じゃあこう仕上げれば見られるものになるかなぁ。うーん、まあサマになってる、か・・・?」くらいが本音です。
果てしない距離を感じる・・・。
余白を取ったレイアウトも、これがベストだとは思えないので、まだまだ別の花でも試行錯誤してみたいところです。
修行修行・・・。
■ここから下は、壁紙にしてみたサンプル。
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■アストランチアの他記事はここにあります
紫色の「ローマ」という品種も綺麗です。
今回は以上です。
見てくれて、ありがとう!