「セレブレーショングリッド」を一年間やってみて
セレブレーショングリッドとは?
セレブレーショングリッドは振り返りのツールです。
「成功」と「失敗」に対して、「習慣的に行ったこと」、「間違ったやり方で行ったこと」、「実験としてやったこと」の2×3=6個に分けて振り返りをフセンに書いていきます。
私はITエンジニアとしてチーム開発を行っており、チームでの振り返りのツールとしてセレブレーショングリッドを約一年間使ってみての気づきや学びを書いてみたいと思います。
セレブレーショングリッドの好きな点
このツールは、振り返りのツールになっていて、好きなポイントは3つあります。
行動の中から「学び」に繋がるものはあったかを見つけることが出来る
学びが大きい「実験」のエリアがあるので、実験することを推奨出来る
実験を行ったことを賞賛しあい、学びがあったことを皆でお祝いすることが出来る
特に3番目がこのツールの素晴らしいところだと個人的には感じています。
成功したことをお祝いするのではなく、学びがあったことをお祝いするという視点は、これまで私の中には持っていない部分だったので、このツールに出会ってそれを知ったときは、胸を打たれる思いでした。
挑戦することの大切さは以前から大事にしていましたが、私が過ごしてきた環境では、成功したら褒められ、失敗したら叱られる、というのが普通だったので、とても衝撃的でした。
成果を出すには成長が必要で、その成長は学ばないと得られなく、その学びが一番大きいのは実験したときで、実験を推奨し、成功だけではなく学びに対して祝うというのは、本当に良いことだと思います。
はじめた頃
このような気持ちを、チームの仲間と共有したいと考え、チームでのレトロスペクティブで取り入れていて、これまで約30回ほど実施してきています。
最初の頃は、「実験をしてみる」という文化が無かったためか、中央の実験のエリアのフセンは少なめでした。数回やってみても枚数は増えなかったので、各6エリアに最低1個以上を書く意識でやってみようというアイデアが出てきて、私たちのアクションプランとしてやってみたところ次第にフセンの数は増えていきました。
実験のエリアにフセンが増えると、自然と学びに繋がることも増えていき、多くのことを学びに変えられるチームに少しずつなってきています。レトロスペクティブの終わりには、学びをお互いに祝いあい、拍手して終了するのですが、その祝福の行為はとても気持ちが良いものです。
フセンの数は多くなってきたけれど・・・
その後、全体の枚数は多くなってきたものの、左下の失敗のエリアのフセンは増えませんでした。失敗が少ないのであればそれはそれで嬉しいことですが、書きづらい状態になっている可能性があることがチームの中の話し合いで出てきました。誰かが行った間違いは、誰かの成功のヒントになる可能性があるからチームで共有をしたいところですが、他のメンバーの目が気になって書かないことがあるかもしれません。
その状況を変えるにはどうしたら良いかを話し合っていくと「心理的安全性」の大切さの話になり、心理的安全性をチームの中で高めるための新たな取り組みをやってみようという話になっていきました。チームとして仕事を一緒に数年やってきているがお互いに知らないところがまだ沢山ありそうだね、という話になり、Slackを使って近況や心境を共有し合う取り組みを始めてみました。
この取り組みはまだ実験段階だと思っていますが、お互いの人となりが少しずつ見えてきている気がして、今後に期待したいと思っています。チームとしての心理的安全性が高まると、より活発にフセンが作られるようになると思います。そうなっていくと、より多くの学びを得て、成長の速度がもっと早くなっていくと想像すると、非常にワクワクします。
一年間やってみて
このセレブレーショングリッドは、成功に対してだけではなく、学びを得たことを祝福しますが、それを継続してやっていくことで、学びを賞賛する文化が作られていくと思います。
失敗を責めるのではなく、成長するためにチャレンジした実験を褒め合うことが出来るようになれば、とても幸福な職場になっていくと思います。このプラクティスは、そのやり方を教えてくれる、とても素晴らしいツールだと思います。