【日記エッセイ】「自家製ねりけしの結末」
小学生低学年の頃、ねりけし集めが流行った。
ねりけしの中でも、匂いが付いているねりけしがあり、みんな、匂い付きねりけし同士を互いに交換して多機能筆箱に入れとくのである。
僕も匂い付きねりけしを交換したいのだけど、そもそもねりけしを持っていなかった。なので、僕は消しカスを集めて、スティック糊の液を少し垂らして、こねて、自家製ねりけしを作った。
僕は自家製ねりけしを既製品のように扱い、みんなの匂い付きねりけしと交換していくのである。
材料は消しカスのため、僕は自家製ねりけしを量産して、大量に匂い付きねりけしを集めていった。
多機能筆箱の中は、様々な匂いがするねりけしで一杯になった。
夏の日である。
鉛筆を取り出そうと多機能筆箱を開けた、強烈な匂いが鼻を襲った。
嗅いだことのない匂いだった。
その匂いの正体は、
匂い付きねりけしの混ざり合った匂いだった。
密閉されていたのと、暑さで、異臭を放っていた。
異臭があまりにもキツかったため、僕はなくなく、匂い付きねりけしを捨てるハメになる。
僕は自家製ねりけしという、消しカスの寄せ集めのねりけしを既製品扱いして、匂い付きねりけしを大量に集めた罰だと思った。
日本昔話のオチのような結末を迎えて、僕は全てのねりけしを失った。
悪どい商売は最終的に痛い目に会うのかもしれないと、僕はねりけしから学んだ。
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