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愛憎芸 #13 『転じて言葉にすること、終わることのないおしゃべり、異性として友人を紹介する行為』

 間が空いてしまった。それでもなんとか続けよう。前回とうって変わって、言外の感覚も大切だけれど言葉にすることの尊さはやはりあるという気持ちになっている。その絶妙なバランス感覚は確かに大切で、結婚式の入場時に花嫁の母親がかける「幸せになってね」という言葉だったりは確かに存在してほしい、幹事を上手くできたかなとこぼす友人には良かったことをきちんと言葉にしてそこそこの文字数を割いて伝えたい(口頭で)。

 しつこいほど言葉にしている姿が好きだ。GLAYの『HOWEVER』の「恋した日の胸騒ぎを〜」からの流れのような。省略されてもおかしくない部分なのにしつこく歌い上げていて好き。言語化、言葉の変態性である。Mr.Childrenの『GIFT』の終盤も同じ理由で好き。

 演出の仕方を反芻している友達には「良かったよ」ではなくきちんと細部を挙げたうえで「良かったよ」と伝えたい。その時は覚えていられなくとも、あとから振り返ったとき、その言葉が助けになることを知っているからだ。自分の気持ちなのに他者にしか既定できない部分が多々あることは本当に不思議で、そういう意味で人は一人では生きていけないのだと思う。他人からもらった言葉で形成されていく人格が確かにある。私はまだまだ言葉の力を信じている。

 終わることのないようで終わることができるおしゃべりを友達としていた。「Call If You Need Me」というPodcastを愛聴しているのだが、そことも共通する、終わることのないおしゃべり。それはつまるところ日々の疑問や違和感、いらだちといった小さな感情を拾い上げ会話にする行為である。私や友人にとってこれは本当に大切な行為であり、なかなか常々行えるものでもない。誤ってそれらを話題にしてしまって話題が止まる経験をしている。あれの何が悲しいって、その小さな気持ちを拾い上げることこそが尊いものであれ大切な時間であるのにそれをふいにしてしまうということ、寄りかかろうとしたところに何もなくて頭を打つとき実際に悲しいのは痛みそのものよりもそこに何もないことにある、というようなことが人間関係のあいだにも起こる。それらはおおよそホモソーシャルの間では実現しにくいもので、自分の結婚式には女友達の参列者が圧倒的に多いことが容易に想像できること。野球部という組織にいたときの居心地の悪さの正体をここ最近ようやく知って、楽しかった思い出だけをしまっておくことにしたこと、たぶん京都には帰らず、どうあれ東京に根を張るんだろうということ…ほんとうはこの行為を常々行えたらいい。けれど、それではこの時間が特別なものではなくなってしまい、それはそれでさみしくて強欲さを自覚する。

 その中で、男女交際における「友人の紹介」という文化について話題が移った。友人がそのまた友人に「紹介してほしいわ」と言われたらしく、それこそ瀧本くんとか…と思ったけれど何か怖かったらしい。その怖さの正体が「Aを男として女であるBに紹介する行為」を可視化してしまったことによるらしく深くうなずいた。「何か恐ろしいことに加担してしまっているのではないか」と言っていて「紹介」文化への違和感を言語化していただいた気分だった。

 そう、友達として、いや人間として紹介するならば、それは楽しく尊い行為だと思うのだけれど、異性としての交際が前提である関係へ男/女として差し出す行為、それは加害性や暴力性を孕んでいる。それに、なんかめちゃくちゃ嫌だ。結婚、制度、仕組み…自分が決して100%受け入れきれないそれらの場所に自分の友人を組み込んでいく、それはできたもんじゃないのである。そういえば一度も「紹介してくれ」と言ったことがなかったのは深層心理なのだろうか。社会が抱えるいろいろが解決してフラットになったら気も変わるのかなと思ったけれど、フラットになった社会ではそもそもこの行為自体滅んでいる気がする。

 金曜日は星野源ライブに行きました。前回の有観客ライブ(2019年12月マークロンソンとのツーマン)に引き続き横浜アリーナ。しかしセンターステージなので天空席であっても良く見える。大好きソング「不思議」の大迫力!!最高!しかし一番良かったのは「ミスユー」から「Present」のシークエンスである、特に「Present」の照明演出!ドームの時もそうだったが今回は会場が中央にあるので本当に雲が晴れていく様を体現しているようですごい!「SUN」はやっぱりみんな大好きで好き放題踊って楽しかった。でもほんとうに、アリーナレベルでのハコの手拍子問題は考えた方がいい。ずとまよのライブのあとだけに「手拍子で演奏が聞こえない」を今まで以上に感じだ(ずっと真夜中でいいのに。のライブでは主催側が手拍子できる/できないタイミングを制御しているのだ!最高!)。まして裏拍子の曲を表で叩くのホンマに。ブルーノマーズブチ切れてたやん。もしかしたら裏叩いてたかもしれんけど音は遅れていくから後の方ではズレて聞こえてノイズになる。かといって手拍子ってでかいアーティストの醍醐味でもあって…どうにかならんのかねあれは。今のところずとまよの手段が最適解だと思います。

 ニセさん、4曲やってて笑った。

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