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経営論の重要概念、バリューネットワークを読み解いてみた

スタートアップ立ち上げ中、
東工大修士1年の滝本です。
今回は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるクレイトン・クリステンセンによって書かれた「バリューネットワーク」について、読み解いていこうと思います。

新技術の開発と採用において、参入企業が既存企業よりも有利になる可能性があることは前回のイノベーターのジレンマから読み取れます。
そこで、今回はバリューネットワークが既存企業と参入企業のどちらがイノベーションを成功させる重要な要素であることを説明します。

この概念を理解することで、チャレンジャー側が取るべき戦略や、社内の事業や人事のマネジメントについて深い理解と洞察を得られると思います。


バリューネットワークとは?

バリューネットワーク(Value Network)は、製品やサービスを提供するために必要な様々な活動やプロセス、そしてそれらを行う組織や個人間の相互関係を表現したモデルです。このネットワークは、価値の創出と交換が行われる場として機能します。
下の図でコンピュータのシステムを例にあげて説明します。

バリューネットワークの中には、さまざまな「コンポーネント」が存在します。これらは、ネットワーク内で特定の役割を果たす要素で、企業、部門、チーム、個人、技術、リソースなどが該当します。例えば、製品を製造する工場、マーケティングを担当する部門、製品を販売する小売店などがコンポーネントとなります。
これらのコンポーネントは、「アーキテクチャ」によって組織化されます。アーキテクチャとは、コンポーネント間の関係性や相互作用を定義する設計図のようなものです。これにより、どのコンポーネントがどのように連携し、どのように価値を創出・交換するのかが明確になります。

具体例を作ってみた

視点により、コンポーネント、アーキテクチャは変わってきますが、今回は一般的な製造業を例に挙げてみます。

一般的な製造業のプロセス

この例では、製造工場、小売店、消費者がコンポーネントとして表現されています。製造工場は製品を生産し、それを小売店に提供します。小売店は製品を消費者に販売し、消費者からのフィードバックを製造工場に戻します。これがアーキテクチャ、つまりコンポーネント間の相互作用を示しています。

これらの概念を理解することで、バリューネットワークがどのように価値を創出・交換するのか、またそのプロセスをどのように最適化できるのかについて深く理解することができます。

示唆されたこと

この論文により、2つの重要な観点を得ました。

1つ目が、自分たちがチャレンジャーになるときに、その技術がコンポーネントを入れ替えようとするものより、いくつかの企業と連携してアーキテクチャレベルで入れ替えようというチャレンジをする方が既存のプレーヤーはついてこれないことです。
これによって、新規参入者のアタックの仕方が変わり、フレームワークから可視化して考察できるようになったのです。
属性が変わるような変化には既存企業はついて来れず、コンポーネントだけが変化するのであれば(バリューネットワークが変化しない)、圧倒的に既存企業の方が優位性があります。
逆にチャレンジャー側から見ると、モジュールレベル(技術レベル)で勝負を仕掛けるのではなく、アーキテクチャごと入れ替えることでイノベーションを起こし、優位性を確立しやすいです。
よって、新規事業を考え、イノベーションを起こしにアタックする際には、このバリューネットワークの基礎的発想をもとにして考えると整理しやすいと思います。

2つ目が、マネジメントにも示唆をもたらしたことです。
アーキテクチャによって、社内の構成の仕方が変わってくるのがわかりました。例えば、音楽のサブスク型とパッケージ型のそれぞれの構成単位によって、ビジネスの仕方、考え方は大きく変わります。
だから、そのようなことを考慮して意思決定を慎重に行わなければならないと言う示唆も与えました。
そこで、マネジメントする側の人は、アーキテクチャで考え、どう組織を構成していくかと言うことを考えていかなければならないと言う新たな視点を得たことも大きな気づきでした。

このように、バリューネットワークの基礎的発想はさまざまな点にて示唆を与え、本質を捉えた考え方となっています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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