見出し画像

違いを生み出す1つのコントロールワード Onerが見せたヴァイの5分ドラゴンへの回答



1.ヴァイの5分ドラゴンとは?その強みとそれを活かす戦術


プレイオフチームも出そろい、いよいよ大詰めを迎えるLCK CUP
フィアレスドラフトで様々なチャンピオン、戦術が登場する中でも、よく登場するシーンが一つある。


ヴァイをピックしたチームが5分ごろにドラゴンが登場するとすぐに狩る姿だ。


1つ目のドラゴンを迅速かつ安全に獲得できるというヴァイというチャンピオンの特性を利用して、序盤のオブジェクトレースで先行し、一つを余裕をもって試合を進めるというこの戦略はグループステージを終えた段階でのこの大会でも既に多く見られた。


メタを問わず、序盤のドラゴンの価値はいつでも高いのは競技シーンでも同じだ。

バンピックの段階でヴァイを出したという理由だけでドラゴンを簡単に与えたくないチームは、この5分にドラゴンを獲得する戦略を阻止、または妨害するためにヴァイと対戦するチームは様々な戦略、JGルートを組む。

その後、ヴァイを選んだチームは相手チームにドラゴンとヴォイドグラブの選択を迫り、ヴォイドグラブでファイトを仕掛けたりと序盤のヴァイはチームに与える影響がとても大きい。ヴァイの動きから序盤の展開が決まるといっても過言ではない。

試合を観戦する人たちにとってもトイレに行く時間さえ許されない時間とファイトが続く。


・ヴァイを活かしたファイトの例

これはLCK CUPグループラウンド T1 vs DKにてヴァイの強みが見られた場面である

ヴァイを中心に囲い込むDK


囲い込まれたT1はバードのスキルを利用して離脱

TOPとBOTがスワップし、T1はグラブの獲得を狙った。
しかし、それを咎めたのがLCK屈指のヴァイの使い手LucidとDKだ。

DKはグラブを簡単に与えて、ドラゴンとトレードするのではなく、ヴァイを活かした戦闘を選んだ。

完全に囲い込まれたT1サイド。T1は戦闘不能と判断し、バードのゲートを利用して離脱。

結果的にDKはグラブを2個獲得し、ここで一つ序盤のヴァイを活かして有利を作ることに成功した。

2.Onerが見せたヴァイの5分ドラゴンへの回答

・NS戦で見せたT1の集団戦

8日のプレイイン第2ラウンド、T1と対戦したNSはヴァイをピックし、5分台にドラゴン獲得を狙った。

しかし、これを予測していたのがOner。


あらかじめドラゴンピット内にコントロールワードを設置し、相手のドラゴンを阻止して逆にキルを獲得することにT1は成功した。

状況を整理しよう。
シンジャオを選んだOnerは4分10秒頃初めてリコールを行う。ロングソード・ルビークリスタルを購入し、コントロールワードを1つ買った。
そして、Onerは上のキャンプを狩ってから下に下がるルートを組んだ。

ブレードをつかみ、ゴーレムを狩るために降りていたうち5分21秒頃、ドラゴンピット内にワードを設置した。

コントロールワードを設置するOner

NSサイドが5分52秒頃、BOTデュオを寄せて、ドラゴンを狩ろうとした。ヴァイのQを使用しながら、ドラゴンピット内に入るヴァイの姿が先に設置したコントロールワードにそのまま映る。T1とOnerはこの一瞬の好機を逃さず、そのまま集団戦を挑んだ。 コントロールワードを破壊しようとするヴァイに正確にOnerはシンジャオのWを当てて飛び込んだ。


Wを当てて飛び込むOner

飛び込んだ直後にドラゴンに寄るポッピーがブリッツクランクに引っ張られたが、慌てずにキルを獲得。
T1がこのトレードで一方的に有利を得た。

ブリッツクランクをキル


・Onerが置いたコントロールワードとその意図

この試合ではヴァイ側が5分台に出てくるドラゴンをグラブ出現前にこっそり見つめるシーンもあった。
NSはこれより前のシーンでT1に2キルを獲得されており、試合序盤から不利な展開となっていた。
そんなNSとヴァイがチーム単位で背負った不利を取り返そうとリスク承知でドラゴン獲得を試みた。

しかし、それをしっかり警戒していたのがOnerとT1である。

このOnerが置いたこのコントロールワード1つでその動きを把握し、チーム全体でそれを咎めると共に更なる有利を得た。

試合後のインタビューでこの場面を振り返ったOnerは「ヴァイというチャンピオンはソロドラゴンの獲得を好むチャンピオンです。NSはヴォイドグラブよりはドラゴンを選ぶ確率が高いと思った」と話している。

また、「私たちはとにかくファイトを起こしたかった。グラブで戦闘となれば有利に展開できそうだったが、ドラゴン側には視界がなかった。コントロールワードを設置して相手の位置を捕捉し、戦おうとした」とも話している。

OnerとT1は序盤で得た有利からとにかく戦うことを望み、チームの不利をドラゴンで取り返そうとするヴァイとNS側の位置をこのワードで正確に把握することで戦闘を有利に進めることが出来たのだ。

3.まとめ

5分ドラゴンをかけて行われる心理戦は日を追う事に高度なものとなっている。
同インタビューでOnerは「チャンピオンによって異なるが、ヴァイはソロドラゴンを一番牽制しなければならないチャンピオンだ。相手チャンピオンがヴァイならば、牽制する確率が高いだろう」と話した。

プロの大会は一つ一つのプレーが非常に高度で、意味を持っている。

今回取り上げたヴァイの5分ドラゴンはその1つに過ぎないが、これからの試合観戦の注目ポイントとして、意識してみてほしい。

いいなと思ったら応援しよう!