「新しさ」を生むものは、きっと才能(だけ)ではない。
僕のnoteは恥ずかしながら、もはや「年記」である。以前の投稿から約一年。ひさびさ(仕事以外で)文字を打ち込んでいるのは、企画メシに久々(オンラインで)顔を出したからだ。
企画メシについての説明やら、2016年度の卒業生である僕がお邪魔できる理由などは、気になる方がいれば一年前のnoteを見てほしい。それらを書いていると、このnote自体の締め切り(があるんです)にきっと間に合わない。
そんなこんなで先日、企画メシの「放送の企画」の回で、放送作家の大井洋一さんの講義を聞いていた。
大井さんについては、ご本人のTwitterを見ていただくのが一番だが、
テレビプロデューサー、佐久間宣行さんのYouTubeにも度々しれっと出演されていたりもする。
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難しかった。ほんと、難しかった。
20年ほど放送作家をされていて、現在「水曜日のダウンタウン」などにも関わる大井さんから見て「新しい」と思うドッキリって、どんなものなんだろう?
僕自身が多少お笑い好きなのもあって、いくら考えても、「どこかで見たかもしれない(本当に見たかは定かではない)」案しか思いつけず、「新しい」って難しいなぁと思った。
とはいえ、「新しい」ものを考える上で、「古い」ものを知っているのは意味がある、というか、「古い」ものを知らないのに新しいと言い切るのがそもそもよろしくはない(講義を受ける前にそんなツイートもした)。
見たことありそうなものは捨て続ける中で、ちょっと考え方を変えた。
正攻法で言ったら、大井さんに「新しい」と思わせることは、少なくとも自分にとっては難しそうだ。
そこで、あくまでイメージだが、「大井さんがそこまで詳しくなさそうで、かつ自分が好きだったり、得意だったりする分野」をまず決めた。
ヒップホップ、お金(今更だが、普段は「マネー現代」というメディア編集の仕事をしている)、SNS(特にTwitter)、飲食店…
もう、完全なる大井シフト。自分と大井さんの知識差?が生じそうなところからドッキリを考え、何かしらの「新しさ」が生まれないか、という作戦である。
*なお、大井さんは立ち技の格闘技をやられているが、それに対してグラウンドに引きずり込もう的な発想だ(ちなみに自分は柔道部だった)
我ながら泥臭いやり方しかできなくて恥ずかしいが、そうやって一点突破できないかと思い、上記分野を中心に発想したドッキリのアイデアを15本ほど提出した。
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当日、他の企画生の新しい発想のドッキリに驚かされつつ、僕は神妙な面持ちで、大井さんの課題への講評を聞いていた。
今の自分の仕事にも生かせそうなお話をいくつも聞く中(今回の流れで一つシェアすると)、彼が、他の優秀なクリエイターと話していて感じること、が耳に残った。
放送作家であれ、テレビ関係者であれ、大井さんがすごいなと思うクリエイターは、とにかく(エンタメ関係の)インプット量が半端ないのだという。だから、大井さんはテレビはとにかくよく見るようにしているし、そうしないと同じスタートラインに立つことができないとも言っていた。
最後に、大井さんはそんな言葉でまとめられていた。ろくに才能もない自分にとって、まずは「入れる」しかないなと思った瞬間だった。
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ところで、僕は結局「新しい」ドッキリを考えられたのか。大井さんは正直、すごくやさしい対応だったので、新しいかどうかを厳密に言わずに、いくつか自分が考えたドッキリに対してコメントをくださった。
もし僕が本気で「放送」に携わる(あるいは携わろう)と思っていたら、自分の発想レベルの低さを恥じて、それらの案は墓場まで持っていくだろう。
ただ、幸か不幸か、自分はこれまでも(多分これからも)編集者なので、恥をかき捨てて、提出したドッキリ案をいくつか記しておく。
自分自身、さして新しいものが出せたと思わないけど、ヒップホップが好きで、お金のニュースを日々扱って、ファミレスに入り浸って仕事して、数少ない余暇をお笑い番組・動画の視聴にあてて、そんな「インプット」がなければ、この程度のものも出てこなかったのだと改めて思う。
いつかこんなドッキリをテレビやYouTubeで見たら個人的には超ドッキリだよなぁと思いながら、「入れるから、出る」仕事をし続ける難しさと楽しさを感じている。