妻(歴戦の同人作家)に原稿を添削してもらったら学びが多かったので共有する
こんにちは!Reihou19です。
イラストメインで描き続けていた私ですが、先日2冊目のマンガ同人誌を出しました。
その新刊作業終盤、歴戦の同人作家である妻に最終チェックをしてもらったところ、出るわ出るわ。修正箇所の山。
とても役立つ学びが山盛りなので記事にしました。
マンガエキスパートの方には常識かと思いますが…私のようなビギナーには大いに役立ちます。
なお、途中から有料記事です。
というのも、サンプルで出してない部分を結末付近まで、ガッツリお見せする事になるからです。
お金を出して買ってくれた方に申し訳ないので、サンプルで公開しているページ分より先(10ページ目より先)は有料記事です。
サンプルだけでも9ページあります。
非常に役立つので、お気軽にお読みください。
1:フキダシはお行儀よくする
序盤は軽いジャブみたいな感じです。
ただ、この修正は本全体に及ぶものでした。
フキダシです。
左が妻チェックを受ける為、プリンタで出力したもの。
右が完成版です。
「はみ出したって良いじゃない、人間なんだもの」という謎思考です。
非常に多くのコマでコマ枠からフキダシがはみ出ていました。
どこかで、はみ出してるマンガを見かけて「はみ出て良いんだ!」と思ったのです。そして真似ました。
妻は言いました「はみ出すという表現に意味があるなら」良いけど、そうじゃないならきちんと収める。
たとえば、2コマ目のクリークさんの「あっ!はい!大丈夫です!」
これは元気なフキダシなので、多少コマ枠をぶち破っても良い訳です。
これは「勢いや元気の表現」として狙ってのハミ出しです。
そういう意図があってやるなら良いけど、何も考えないで漫然とハミ出すのはダメってことですね。
全体にわたって発生していたので、これは全面的に修正しました。
2:時が経過し過ぎている
さて、続いて時間経過です。
コマ枠の最後の方を切り刻んで、時間経過を表現する手法。
便利なので、場面転換時に毎回多様しておりました。
妻は言いました。
「これは1時間単位くらいの大きい時間経過時によく使う表現」
駅前から次のシーンの靴屋さんはそれくらい遠いの?と…
10分もあればつきます。
ということで、最終的にはこのようになりました。
3:[超重要]フキダシで絵を読ませる
変化が大きいページになってきました。
個人的に、このページの修正は非常に重要な学びがあると思っています。
最初の修正は、フキダシの配置です。
人間はマンガを読むときに
「フキダシの文字」から「次のフキダシの文字」へとジャンプします。
そして「その道中にある絵を流れるように見る」のです。
修正前は靴を選んでいるシーンにも関わらず、靴が視界に入りません。
修正版は全体を少し左に寄せて「はいっ♪」という返事を左側に入れました。
これによって読み手の視界に入る絵をコントロールしているのです。
このページは、所詮は靴なので効果はそこまでですが、同様の修正は今後も出てきます。
これもそうですね。
自分は「キャラとキャラの間にフキダシ」を描きがちでした。
ですが、自然に絵を読ませるには
「フキダシとフキダシの間にキャラを描く」のが大事だったのです。
4:アオリ構図で、背景が無いと位置関係が伝わりにくい
ここは手抜きです。返す言葉もございません。
というか、サラサラっとフリーハンドで靴屋背景描くのヤバって思いました。
5:[超重要]見せ場の前には引きを作れ!
さて「見せ場」ってありますよね。
ここもその一つです。
ページをめくると、魅せページです。
1ページ丸ごと照れるクリークさんが大写しになるページです。
そのようなコマは「ページをめくった先に現れる」と効果的とは知っていました。
ですが、そこにさらにプラスアルファの仕込みを加えるのです。
それが、ヒキとなるコマです。
(え?履か…せる?)
というこの顔アップのコマです。
このコマの有無は、かなり大きい違いを産んでいます。
読者側の「え?はかせる!?」みたいな期待感を煽れます。
オチや見せ場のページの前には
「期待を煽るコマを入れる!」大事ですね。
6:演出濃すぎ&演出弱すぎ問題
ここはそんなに大した問題ではなくて、演出が濃すぎたというものです。
確かにグルグル模様の圧が強いので薄くしました。
少し手前のページですが、こちらは逆にフキダシの装飾性が弱いと言われたところです。
もっとキラキラさせて!可愛いフキダシに!
そして心の声的なところは、心の声らしいフォントにしましょう。
知ってました?
「心の声はイワタアンチック体bじゃない」です。
これが正しい心の声です。
今回は、源柔ゴシックPノーマルです。
これは全体に関わってくるのですが、イワタアンチック体bは通常の発声に見える。という事は意識しておくべきのようです。
通常の発声ではないシーンでは他のフォントを使うと効果的ですね。
7:フォントでキーワードを分かりやすくする
さて、クリークさんはお買い物を続けていきます。
クリークさんが激しく掛かってしまう言葉が色々出てくるシーンです。
中央の大コマでクリークさんが
「恋人以上⁉」「責任⁉」と心の声で狼狽えています。
ここに物言いがつきました。
1コマ目のセリフの中にある「恋人以上」とか「責任」というワードとの関連性が見えない。という事です。
しかも1コマ目は結構な長セリフです。そこで、このようになりました。
同じフォントを使ってやる事で、セリフ間の繋がりが可視化されました。
8:「移動」の表現
大きく変わっているのが左下のコマです。
冒頭にも出てきた「時間経過表現の濫用」問題です。
本作は、非常に場面転換が多いお話です。
できれば、画面転換はすみやかに終わらせたいのです。
そこで、時間経過コマで強引に切り替えるという、乱暴な事をしていました。
これはひとえに「場面転換のシーンにはエスタブリッシングショット(その場所の遠目の風景)を入れる」というセオリーをバカの一つ覚えしていた為です。
そこに提案されたのが「行くぞ?どしたの?」という表現です。
クリークさんが赤面して照れまくっている姿も表現できて一石二鳥です。
9:ちょっとした所でもフキダシ位置を考える。
次のページです。
まずは軽いところからやっていきましょう。
フキダシで絵を読ませるというヤツですね。
ここまでに出てきたフキダシによる視線誘導と同じです。
フキダシの位置が左に寄っていたので、自然に読んでいった時に絵が目に入りにくくなっていました。
10:時系列の乱れ
重めの修正案件です。
結論から言うと左右が変わりました。
では、このコマの何が悪かったかと言うと
「会話の因果関係が狂っていた」のです。
マンガにおいて時間は常に右から左に流れます。
なので「カァアア」という赤面の原因となるセリフが左に居るのは、因果関係が逆転しているのです。
ここを修正するために、コマの左右反転を行いました。
なお、髪形は非対称なので、前髪描きなおしです。
有料部分のご案内
さて、ここから先は有料部分となっています。
この先もかなり有用な知識が続きます。
さらに話が佳境に入ると、添削にも熱が入り、デジタルになります。
マンガを描き慣れている人が、当たり前に意識している事が上手に言語化されています。
私のようにマンガビギナーの方には役立つ知識が非常にたくさんありますので、よろしければぜひご覧ください。
なお、有料部分を読むか考えるにあたり、何者が添削してるんだよ!と、
添削側の技量や経歴に疑問を持っている人も居るかと思うので書いておきます。
妻の簡単な紹介
・歴戦の同人戦士 主戦場は 国→刀→魔法使い と変遷している。
・同人誌とっても沢山出している。(1年に10冊近く出した年もある)
・株式会社栄光のプラチナ会員になるくらいヘビーユーザー。
・●ブーさんのイベントで、オンリーのメインビジュアル描いたりもした。
・ちょいちょいBL商業誌からウチで描かない?と誘われるものの、二次創作以外一切興味ないので断り続ける。
というような人物が、添削をしてくれております!
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