LEADER'S AWARD

私は社会人になる前、新聞配達から始まりたくさんのアルバイトをしてきました。その中でもっとも印象に残っているのが、大学二回生の頃から始めたアイスクリームの卸問屋のアルバイトです。そのアルバイト先では夏の間、アイスクリームの配送の仕事をしていたのですが、冬になると新規開拓の仕事も任されるようになりました。しかしそこでは、他社よりも卸値が高い商品だけを扱っていたのです。当然、「当社商品を扱ってください」と、ただお願いしただけでは取り扱ってくれません。そのことを卸問屋の社長に話したところ、「当社で扱っている商品は卸値が高い代わりによく売れる。安いけれども在庫として残る商品と、高いけれども回転が良い商品のどちらが良いのか、よく考えてみろ」と言われました。そういう考え方に切り替えて新規開拓を行ったところ、新たに取り引きしてくれるお店を増やすことに成功したのです。この考え方を教えてくれた当時のアルバイト先の社長は、今でも私が尊敬できる人物に挙げているほどです。

大学を卒業し就職したのは、三井不動産販売(現:三井不動産リアルティ)です。そこでも営業を任されたのですが、私は他の社員とは異なる営業スタイルでした。それは、「真正面だけでなく異なる角度から見る」というスタイルです。不動産を購入するとき、もっとも気になるのは価格でしょう。しかし、その価格がお客さんの予算が合わなければ購入はしてもらえません。そこで「この家は駅近なので、5年後には購入した以上の金額で売れますよ」とか、「節税対策にもなりますよ」とか、私の知識を総動員して別の角度から提案するわけです。だから私自身、不動産営業の仕事をしていながら、「家を売っている」という意識はありませんでした。自分を売っていたのです。しかしながら、この営業スタイルで優秀な成績を収めることができました。

若者たちに対しては「年長者には常に敬意を持って接してほしい」と思っています。だからといって年長者の意見にはすべて従えというのではありません。若い人の意見が正しいこともあるので、自分の意見は正々堂々と主張してください。もちろん、年長者と意見が異なりぶつかることもあるかもしれません。どちらが「正しいか、間違っているか」が重要なのではなく、お互いの考え方の違いを知ることがもっとも大事なのではないでしょうか。

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