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26年前の今日 1997年10月11日 Pride.1 高田延彦vsヒクソン・グレイシー なぜここにヒクソンの名刺があるのか?

26年前の今日 1997年10月11日 Pride.1 高田延彦vsヒクソン・グレイシー 
なぜここにヒクソンの名刺があるのか?
この話は前にも書きましたが10月11日が来ると思い出すのでボリュームアップしてお届けします😀

1997年6月のとある日、僕とK先輩は目黒駅のフルーツパーラーでエイデンサカキヤのMさんに呼ばれて、IさんH2OのMさんと話していた。東海テレビ事業のSさんが居たかどうかは記憶が定かでない。

パーフェクTV!にも籍も席もあったMさんがみんなを紹介して、話し始めたのが「10月11日に東京ドームを押さえてある。元UWF高田延彦と400戦無敗のヒクソン・グレイシーと契約して、二人のバリトゥード(総合格闘技、【なんでもあり】の意味)での対戦に合意している。ついてはパーフェクTV!で放送して欲しい。血だらけになったり文字通り骨折したりする総合格闘技は(当時はそんな言い回しは無かったが)地上波では放送してくれるところは無い。」という衝撃的な話だった。

K先輩の目が光った。(後からか聞いたらUWFの大ファンだったとのこと)
「時間が余りにもありませんね。」と月額課金の有料放送であるパーフェクTV!では放送月の2ヶ月前に確定しないと月刊誌などでのプロモーションが出来ない事を危惧して言った。
でも、1996年10月に有料サービス開始したばかりのパーフェクTV!の1周年記念イベントとしてはかなり魅力的だ。

前年に「TVCMなどの広告予算に30億円以上かけるなら中身の番組を充実させないと加入者を伸ばせない」と主張してS田常務の理解を得て1997年度はオリジナル番組予算10億円を確保したばかりだった。しかしその内の確か4億円がJリーグに使うコトになり、新しい番組に飢えていた放送企画部の僕も非常に乗り気になった。

二人が社に持ち帰り、関係者に相談した反応は凄かった。
「そんな事、東京ドームでできちゃうの!」「スゲ〜」という好意的なもの、「興行の放送なんてアブナイ」「本当に来るのか」「どこで放送するのか」という批判的なものもあった。

結果はご存知の通り、無事に開催された訳だが、様々な準備を終えて、当日を迎えた。
会場で会ったMさんが言った「瀧川さん、ちょっと裏で挨拶してくれませんか?怖くないから。」
僕「はい?」
するとMさんは東京ドームの裏にあるデカい宴会場のようなところに丸テーブルがいくつもある所に僕を連れて行き、それぞれのテーブルで「一言、自己紹介」をさせて回った。
殆どのテーブルの男たちは角刈り、パンチパーマ、サングラス、太いチェーンネックレス、太い指輪、ゴッツイ高そうな腕時計、サテンのスーツ、黒シャツ、白シャツ黒ネクタイ、指の数が少ない方など非常に迫力のある方々だった。
「本日、放送関連を担当しているパーフェクTV!の瀧川です。よろしくお願いいたします!」と何度も挨拶して回ったが、いずれのテーブルでも、みな一瞥をくれるだけで会話は無かった。

Mさんが「ありがとうございました。次は控え室に行きましょう。」との言葉を追いかけて、長い廊下を歩いて行くと【ヒクソン・グレイシー様 Mr. Rickson Gracie 】という張り紙のある部屋に着く。

中に入ると短パン姿のヒクソンがいた!
そりゃいるか。

僕が英語で”Very honored to meet you.”みたいな挨拶をしてパーフェクTV!の名刺を出したら
“Oh” とヒクソンさんはスポーツバッグ👜をゴソゴソと探して
“Here is mine.”と言ったと思う。
そこには
Los Angels Jiu-Jitsu Center
Rickson Gracie
の文字があった。



“(名刺あるんかい!)
Thank you so very much.”
と返事して、一言二言、お話をした。
ヒクソンさんは礼儀正しいとても紳士な方だった。(さっきまでのイカつい方々とはエライ違いだ。)

Mさんは眼鏡の奥の目も含めて凄くニコニコしていた。

心臓がバクバクしつつ、控え室を出て、試合会場に戻った。

スタッフとして席は無いが動き回れるパスを貰い比較的リングに近い通路にお客様の邪魔にならないように座って、時には場所を動き、17時から始まった7試合を観た。

トリの8試合目が高田延彦対ヒクソン・グレイシーの試合だ。

満員のファンから物凄い声援を受けながら高田延彦が入場し、会場が暗くなった。
「たかだー!」と叫ぶ声もたくさん聞こえた。

真っ白い花道奥からスッポリとフードをかぶった悪魔👿のようなオーラを纏った男がゆっくりと歩いて来た。

その数秒後、東京ドームを埋める満員の観客から地響きのような
ぅぅぅぉぉぉおおおおおおおぉぉぉおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」という唸り声みたいな歓声が上がった。

その瞬間、僕の全身の毛という毛が鳥肌を立てた。
ゾゾゾぞゾゾゾー。
ZOZOTOWN(まだ無いねw)

その男がフードをあげると
さっきとは全く違う
殺気を帯びたヒクソン・グレイシーが現れた。

「このコンテンツはとんでもないことになる!」と確かな予感を感じた。

PPV(ペイパービュー方式:番組ごとの課金)で委託放送事業者ペイ・パー・ビュー・ジャパンによって放送されパーフェクTV!がマーケティング、プロモーション、課金をしたこの番組はいまだに有料加入者あたりの課金視聴率で一位🥇だと聞いている。

高田延彦の弟子筋である「プロレスラーは本当は強いんです」桜庭和志がグレイシー狩りを始め、2000年5月1日にはホイス・グレイシーを撃破するのは、これからの事でまた、別のお話。


この時、企画はしておりませんが「企画力」が大切だと分かりました。
数千万円の稟議は通ったんですが「記者会見にパーフェクTV!の代表者が出てください」と言われて、ラインの上司が出ないとの事で、主任だかの僕が高田延彦さんらと雛壇に並んで記者会見したのも良い思い出です。
あと何故か、「Pride.1」の商標権訴訟を尾道だかのTシャツ👕作ってる会社に起こされて、これも人生で初めて裁判所に出廷しました。
女性の裁判官に、「Pride.1」は大会名であり、決めているのはKRS、更に、放送事業者はペイパービュージャパンであり、パーフェクTV!は、デジタルプラットフォームとして、マーケティング、プロモーション、加入者獲得、課金などを行っているに過ぎず、大会名が変わればそれに従って告知を変更するに過ぎない、従い被告としての要件を満たしていません、みたいな説明をしたのを覚えてます。
裁判官は割と混乱した様子でしたが、当然、罪に問われることはありませんでした。
ただ、KRSとしては、配慮したのか次の大会からは「Pride.2」とナンバーが増えて行く大会名になりました。
これも一種の突破力でしょうか?😅


(因みにブラジル🇧🇷ポルトガル語ではRは英語でのHに近い発音です。
従って、Ricksonは日本語にすると「ヒクソン」に近くなります。
例えば
ホイス・グレイシーはRoyce Gracie、
ホイラー・グレイシーはRoyler Gracie、
ホリオン・グレイシーはRorion Gracie、
ベンゾ・グレイシーはRenzo Gracie、
です。

つまり、本来、サッカー選手の
ロナウドRonaldo はホナウド、
ロナウジーニョRonaldinhoはホナウジーニョ
が近い発音です。
何故かサッカー界ではRの発音がRのまま、総合格闘技界ではRの発音が本来のHになった模様です。

似たような例ではテニス界におけるスウェーデン🇸🇪語のgがあります。
実は、テニス界のスーパースター、ビヨン・ボルグはBorgですが、
スウェーデン語のgの発音はほぼyなんです。なので、カタカナで書けば、ボリーになります。
同様にスウェーデンのテニスの貴公子ステファン・エドバーグはEdbergですが、これもエドベリになります。
「あれ?名前変わった?」って思ったことがある人も多いのでは無いでしょうか?)

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