FIREに関する検索クエリを解析してWord Cloud にしてみた
FIREに関する情報がだんだんと世の中に広がってきていますね。私もFIREを始めて3ヶ月目の初心者ですが、皆さんはFIREについてどんなことに興味があって、どんなキーワードで検索しているのか気になり、解析してみました。
いきなりですが、全体の結果をご覧ください!
これらの単語は、"FIRE" で始まる Google 検索クエリの、"FIRE" の後の部分をまとめたものです。たくさん検索されているクエリが大きく表示されています。この表示方法を Word Cloud といいます。
これを見ると「FIREとは」という検索が最も多いことがわかります。「FIRE 意味」や「FIRE 読み方」のように、FIREそのものを知りたいというクエリも結構あります。一方、「FIRE 4000万」や「FIRE いくら必要 30代」のように、FIRE実現に必要な資金面を調べるクエリもたくさんありますね。そして、「FIRE やめとけ」というクエリが光っているのも興味深いですね。
解析の手順
この画像を作るまでの手順をざっくり説明します。
今回は結果がメインの記事なので、技術的な部分や自動化手法については別の記事で詳しく解説します。
"FIRE" の後にひらがな一文字を足したクエリ ("FIRE あ", "FIRE い", ...) を作成し、それぞれのクエリのサジェスト候補をスクレイピングしました。
この方法で約710個のクエリを集めました。
例:fire アプリ, fire アーリーリタイア, fire アプリ 削除 できない, …, fire いくら, fire いくら必要, fire 1億, fire いくら必要 30代, ...
FIREには様々な意味があるので、"Financial Independence, Retire Early" に関連するクエリのみを抽出するために、LLM(大規模言語モデル)のプロンプトを作成しました。
関係ないクエリの例
fire 防水ケース → Amazon Fire HDに関するものなど
fire 無糖 → 缶コーヒー
fire bird → 曲名
このプロンプトで314個のクエリを抽出しました。
Google Ad キーワードプランナーを使って、過去1ヶ月のクエリの検索ボリュームを大まかに取得しました。
LLMを使ってクエリをクラスタリングし、ラベル付けしました。
Word Cloud Generatorを使って、クエリの集計結果を視覚的にわかりやすいWord Cloudにしました。
FIRE に関する10のカテゴリ
画像には上位100個のクエリが表示されていますが、様々なクエリがあって面白い反面、少しごちゃごちゃしていますね。そこで、AI(Gemini 1.5 Pro)を使って314個のクエリを自動分類(その後少し手直し)しました。
10個のカテゴリが生成されたので、それらをクエリの検索ボリューム順に並べてみました。以下、カテゴリ別に見ていきましょう。
1. FIRE実現のための目標設定
やはり一番ボリュームが大きかったのは
具体的にいくら必要?
この金額で大丈夫?
何歳からできる?
という質問系のクエリでした。まずは実現可能かどうかお金の計算から入るということは大事です。
2. FIREに関する基礎知識や定義
やはり、FIREの意味自体を調べるクエリも多いですね。
3. FIRE実現に向けた具体的なステップや計画
FIRE実現に向けて、具体的なステップや計画を立てたいと考えている人が多いようです。特に、シミュレーションに関する関心の高さが伺えます。
私も最近、FIREシミュレーター作りにハマっています。世の中の簡易シミュレーターは、分散投資を考慮していなかったり、正規分布や定常過程を仮定していたりと、現実と乖離しているものが多く、不安を感じています。そこで、もっと現実的なシミュレーターを作りたいと思って、現在時系列分析を猛勉強中です!
4. FIRE実現に必要な資金調達方法
FIRE実現のための資金調達方法に関する情報や疑問を目的とするクエリです。やはり、株式投資、投資信託、副業などが人気のようです。
5. FIRE実現に向けた具体的な行動や戦略
資金調達以外の方法を探しているクエリですね。単に「FIREしたい」というクエリも含まれていて、少し AI による分類が雑になっているかもしれません。
6. FIRE実現におけるリスクや課題
急にネガティブな話題になってしまいましたねw
これらのクエリは、FIRE実現におけるリスクや課題、困難さや懸念に関する情報や疑問を目的としています。FIREを目指す前に、これらの点を一度検討する必要があるでしょう。しかし、幸いなことに、FIREの先駆者たちの情報が豊富に揃っています。
これらのトピックをFIREのネガティブな側面と捉えるのではなく、チェックリストとして活用するのが良いかと思います。
7. FIRE後の生活に関する情報
このカテゴリは、FIRE後の生活全般に関する漠然とした不安や疑問に焦点を当てたクエリです。半分は、悠々自適、自由、ライフスタイルといったポジティブな側面に関する検索ですが、もう半分は暇すぎる、末路、鬱といったネガティブな側面に関する検索です。
繰り返しになりますが、これらのクエリは検索行動を表しています。FIRE後の生活が暇すぎるという事実を示しているのではなく、多くの人が「FIRE 暇すぎる」と検索した(=調べたい、結果を見てみたい)という事実を示しているだけです。
私はまだFIREを始めて3ヶ月で、暇すぎる経験はありません。しかし、私はFIREをFIRE = Retire Experiment (リタイア実験)として捉えているので、今後どうなるのか自分の身をもって経験していきたいと思っています。
8. FIREに関する書籍や情報源
FIREに関する情報源として、本やブログを探しているクエリたちです。今回の抽出方法では、九条さんのサイト が唯一の個人名として挙げられています。
ちなみに、「FIRE youtube」などの検索は、今のところあまりされていないようです。今回の解析はWeb検索に偏っているため、YouTube上での検索は考慮されていません。
9. FIRE実現における税金や社会保険に関する情報
FIREしたら税金はどうなるの!?年金は!?国民健康保険は!?といった、FIRE実現に伴う税金や社会保険に関する疑問が多いことがわかります。
10. FIREに対する個人的な意見や感想
このカテゴリは、AIが自ら分類したもので、FIREに対する個人的な意見や感想、共感や疑問を目的とするクエリとされています。言い換えれば、「それってあなたの感想ですよね?」というクエリの集まりかもしれません。
フォントサイズは大きいですが、一番ボリュームの小さいカテゴリです。ただし、「FIRE やめとけ」というクエリは、とりわけ多く検索されています。実際、多くの記事がこのワードを使っているのも事実です。
まとめ
お遊びで始めた作業でしたが、結果を見るのは非常に楽しかったです。
今回の解析では、スプレッドシートを駆使したり、LLMを利用することで、関係ないFIREの検索結果を取り除いたり、教師なしクラスタリングを行ったりするなど、作業を半自動化することができました。LLMの進化は目覚ましく、本当に良い時代になったと感じています。これらの技術的な部分は、別の記事で詳しく解説していきたいと思います。
今回は"FIRE"で始まるクエリをテーマに分析しましたが、他のトピックでも同様の分析は可能なので、何か面白そうなテーマを探しています。
今回の解析を通して、FIREに対する関心の高さを改めて実感しました。多くの人がFIREについて情報収集し、実現に向けて努力していることがわかりました。私も引き続き、FIREに関する情報発信を続け、皆さんのお役に立てれば幸いです。