【短編小説】ハーモニー
和江お姉さんは相対音感というやつをもっているようだ。
お姉さんはどんな音階に対しても、瞬時にハモることができるのだ。
だから私は毎日でたらめな歌を歌っている。
でたらめなメロディーを何回か歌っていると、和江お姉さんがそこにハモってくることになる。
そんな遊びを、もう10年以上もやっている気がする。
いつも、ホテルの部屋のなかで。
黒いワンピースに白いエプロンという揃いの衣装で。
ふたりでベッドカバーを替えながら、掃除機をかけたり、拭き掃除をしたり、タオルを替えたり、アメニ