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短編小説

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一話完結から、三話くらいまでの短めの小説を集めています。
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#少年

【短編小説】君から君へ (一話完結)

 十二月三十一日の長岡駅発寺泊行きのバスは、十六時が最終だ。  こんな日まで仕事をしてい…

秋ノ宮 陽菜
1か月前
30

【短編小説】夏の終わり、道の始まり

 心地よい夢をみていた。  胸につかえていたなにかが、すっきりと洗い流されるような、ほっ…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
13

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・6(最終話)

 かっちゃんが死んだのは、それから二週間と経たない頃だった。かっちゃんは土間にうつ伏せに…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
21

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・5

 事件が起こったのはそのあとだった。かっちゃんより少し前に男湯を出た僕は、フルーツ牛乳を…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
23

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・4

 そこへ母ちゃんが入ってきた。 「勝治、あんた、悠馬を連れて銭湯へ行ってきてくれない?」 …

秋ノ宮 陽菜
7か月前
20

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・3

 そんな会話をしているうちにも、トタン屋根にはばちばちと雨が当たり、雨受けの茶碗たちはり…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
20

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・2

 僕が行くと、かっちゃんは畳敷きの上の布団を畳んで脇によせ、おいでおいでと手招きした。僕は昔から、かっちゃんの話を聞くのが好きだった。 「かっちゃん、なんかお話して?」  僕がせがむとかっちゃんは必ずなにか話をしてくれた。 「じゃあきょうはおじいさんランドのはなしをしよか」 「おじいさんランド?! してして!」  僕は声を弾ませる。 「ええんか? 途中で怖なってもしらんよ」  かっちゃんは言うけど、かっちゃんの話が怖かった例がない。 「南半球って知ってるか?」 「うん。

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・1

 僕がかっちゃんの家に行くのは、雨の日が多かった。雨の日は友達がまっすぐに家に帰るので遊…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
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