
世界に挑む「紅い旋風」 ハイアール2014.03.17 Vol.59 1/2 2014-05-11 21:32:35
【『日経ビジネス』の特集記事 】 Vol.59 バックナンバー
⭐『日経ビジネス』とは、「日経BPから発行されている経済・経営分野の話題を扱う週刊誌である。1969年9月創刊。当初は月刊だったが、翌1970年9月より隔週刊となり、1991年4月より週刊となった」(出所:「日経ビジネス」 Wikipedia)
⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所や重要と考えた個所を抜粋しました。
⭐当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。
⭐1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当します)には、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。
🔴2022.11.26以降、1つのテーマについて複数回に分けて投稿します。
⭐一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」と「雑誌発行年月日」を表示します。
再投稿することにした経緯
再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。
自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。
当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。
記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。
さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
(プロフィールから)
新たに日経ビジネス電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で、2022年9月12日号から定期購読を開始しました。
日経ビジネスの特集記事 Vol.59
世界に挑む「紅い旋風」 ハイアール2014.03.17 Vol.59 1/2 2014-05-11 21:32:35
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
今や家電メーカーとして、洗濯機や冷蔵庫で、トップを走り続ける、ハイアールとはどんな企業なのか?
が主要テーマです。
中国が「世界の工場」と言われてから歳月が経ちました。
今は、「巨大消費地」と捉え直されています。
13億人という世界総人口の20%以上を占める、世界一の消費者が存在します。
ユニクロをはじめとするアパレル産業は、中国の低賃金と豊富な労働力に目をつけ、衣料品の生産拠点として利用してきました。
中国内の工場は、あくまで日本企業などの「下請け」という位置づけでした。
ところが、その状況に変化が起きています。
世界一のパソコンメーカーとなったレノボや、今回お伝えするハイアールは家電メーカーとして、中国国内に敵なしの存在となっただけでなく、日本の家電メーカーの強敵となってきました。
日本の家電量販店との取引でも、力関係が逆転してきています。
量販店は大量に発注するため、メーカーは低価格で卸すことが慣例となっていました。
ところが、ハイアールは自社が目指す利益が確保できない場合には、取引をしないという強硬姿勢を示すようになったのです。
これは大きな変化です。
ハイアール恐るべし! です。

PART1 IT武装でアマゾン超え
ハイアールは2014年、新型エアコン「天樽」を発売しました。
「旧モデルの初年度販売台数を数週間で突破」(p.030)
したそうです。
ハイアールが他の中国メーカーと異なる大きな点は、
「インターネットを通じ、エアコンに関する消費者の意見を国内で広く募った」(p.030)
ことです。
収集した情報を元にモノづくりに活かしていったのです。この手法は、日本メーカーが得意としてきたことです。
さらに、もっと驚くべきことは、次期製品づくりのために、
ウェブ上でテーマを公開し、皆の技術を持ち寄って、一緒に開発しようと、世界の企業や研究機関へ英語で呼びかけた
p.031
ことです。
その結果、「応募した中から選ばれたのが、政府系の中国科学院、パナソニック、三菱電機など」だったそうです。
日本企業のノウハウをそっくり奪われはしないか、一抹の不安を感じますが……。
ハイアールグループの総帥、張瑞敏CEO (最高経営責任者)はこう語っています。
「顧客ニーズは多様化し、変化も速くなった。優れた技術を持つ企業も、単独では利益を得続けることは難しい」。
p.031
利益配分についてハイアールらしいシステムがあるそうです。
技術ライセンス料や部品の納入金額とは別に、あらかじめ設定した目標を上回って商品の販売が増えた場合、そこで得られた超過利益は各社の貢献度に配慮しながら山分けする。
天樽の場合、「半分以上は外部の企業へ分配する」(開発担当者の)雷(永鋒)氏は明かす。
p.032
ハイアールの企業業績を見てみましょう。高業績です。
ハイアールは世界シェアが約2割でトップの冷蔵庫、洗濯機のほかエアコンやテレビなども手掛ける総合家電メーカー。
2013年の売上高は約3兆円で10年前の約2倍。売上高税引き利益率は6%で3%のパナソニックなど日本勢を引き離す。
p.032
ハイアールが中国で敵なし、という明確な理由があります。
それは先進的なITを活用し、高騰する人件費に対処するために自動化を推進しているのです。
2012年に傘下に収めたニュージーランドの家電メーカー、フィッシャーアンドパイケルが効果を上げています。
青島本社の洗濯機工場と、1万km離れたニュージーランドをネット経由で遠隔操作しているそうです。
ハイアールの強みは、多くの系列店と発送拠点、トラックを保有していることです。
ハイアールはグループで、中国に約3万5000の系列店、約6000カ所の発送拠点、5万台のトラックを保有する。
中国にはハイアールよりも速く商品を全土に届けられる企業は存在しないのだ。
p.033
PART2 一人ひとりがCEO
ハイアールは先進的なITを駆使し、物流システムを整備し、国内に敵なしの存在になったことで、満足しているわけではありません。
従業員の能力向上を図る、人事登用システムが存在します。
ハイアールでは本部の多くの役職で、人事登用に立候補制を採用している。
意欲のある人材を組織の活性化に役立てるためだ。だが、立候補すればだれでも役職に就けるわけではない。
待っているのは同僚らによる“選挙”だ。
p.035
日本でも「360度評価」という従業員評価システムがありました。
本人を中心に上下左右の従業員によって評価するシステムです。上司と部下、同僚による評価で給与、ボーナスを決めるシステムです。
最近では、「360度評価」を見聞きすることがなくなりました。
企業各社はこのシステムを捨ててしまったのか、最初から採用していなかったのか知る由もありません。
ハイアールの象徴的な造語があります。
「人単合一」
この意味は、
「人」は個人。「単」は顧客からの注文、つまり収益だ。全体では「従業員個人の仕事と、それによって得られる収益を結びつける」という意味になる。
すなわち、一人ひとりの収益への貢献度を、白日の下にさらすということだ。
p.036
従業員を競わせ、成果に応じた報酬を与え、企業活力にするというシステムです。
競馬馬のように、勝てば将来が保証されるのか、ラットレースの後、疲弊して落伍し、企業を去ったり、短命で人生を終わるのか。
それはどちらとも言えません。
ただ一つ言えることは、若くして才能がある人は、ハイアールの人事システムを活用することをチャンスと捉え、上を目指して行くだろうということです。

次回は、
「PART3 中×日で世界目指す」
他についてお伝えします。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-05-11 21:32:35)のものです。加筆修正してあります。
過去10年間、中国は目覚ましい成長をしてきましたが、新型コロナウイルス禍の影響で、成長が鈍化してきました。日本と同様に、人口減と高齢化が急速に進んでいます。
そのような中で、ハイアールの現状はどうなっているでしょうか?
ハイアールジャパンセールス 売上/利益/業績推移の決算グラフで経営分析 2021 グラフで決算|投資、分析、金融、就職転職に役立つから 2023/1/20
上記ウェブサイトを見る限り、ハイアールジャパンの業績は堅調に推移していることが分かります。
別のウェブサイトも見てみましょう。
ハイアールの事業構成と市場シェアの分析


ハイアールグループ全体の業績も堅調に推移していることが見て取れます。
⭐回想録
⭐マガジン (2023.05.05現在)
いいなと思ったら応援しよう!
