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日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.073 2013.01.07 ~ 2013.01.28



ここに掲載している内容は、管理人・藤巻隆が携帯サイトで運営していた当時のコンテンツです。

2007年1月8日号からスタートしています。1カ月分毎にまとめてあります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。データを消失してしまったため再現できません。


日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.073 2013.01.07 ~ 2013.01.28


✪ 2013.1.7 (No.1)<302>
中国とは「徳」で接せよ
稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
[日本航空名誉会長]

優れたリーダーとは、人格を含めたトータルの人間性に魅力があり、確固たる信念に満ちて、独善ではなく、みんなの意見を吸収して、説得するだけの力がなければいけませんから、作られるものじゃなく、それを持った人がいなければいかんのです。

リーダーは、策を弄する連中もぐっと抱えて、収めるだけの大きな度量と力量のある人じゃないといけない。ただそれは作ろうと思って作れるもんじゃありません。「傑物、出でよ」ということしかないでしょう。

リーダーの方も含めて日本全体が、自らこの状況を打開し、回復する気持ちが横溢しなければ、現状を変えることはできないと思っています。

「利他の心」がいると私は説いています。自分が儲けようと思うなら、相手も利益が得られるような思いやりの心、つまり利他の心がなかったら意味がありません。


✪ 2013.1.14 (No.2)<303>
説き、訓じて心を1つに
稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
[日本航空名誉会長]

JALはいわゆるピラミッド型の官僚組織のような企業でした。一握りのエリートがすべてを企画し、約5万人の社員に指示を出していた。幹部からは人間味は感じられず、非常に冷たいエリート官僚のような感じがしました。

装置産業であると同時に、究極のサービス産業だとも私は思いました。

現場で働く人たちが素晴らしい人間性を持つようになって初めて、お客様はJALに乗ろうと思うようになる。そこで私自身が様々な現場に出向いて、現場の従業員にこんこんと説きました。

イージーな経営がすべてをダメにしたと思っています。景気のいい時は派遣社員を使い、悪くなったら辞めさせる。いつからか、こういうイージーな経営をするようになってしまった。欧米流の人材派遣を日本も導入してきましたが、その結果、忠誠心の高い従業員の心がすさんでしまった。正社員で残った人も、自主性を認めてもらえず腐っていった。そして結局、全体がダメになった。


✪ 2013.1.21 (No.3)<304>
ブランドの根幹は信頼
小泉 光臣(こいずみ・みつおみ)氏
[日本たばこ産業社長]

景気が回復することを考えれば、付加価値の高いプレミアムの分野を先取りして拡充しておくということも、経営の安定成長のために手を打っておく必要があると考えたわけです。

JTの経営を語る時、私はリスクヘッジとリスクテーキングの2つの概念を重要視します。ポートフォリオとは経営資源を分散させるリスクヘッジの概念です。一方で、選択と集中というリスクテーキングの概念も必要になります。ただしこの2つは相反する概念ですから、両者をどれだけマネジメントできるかが、経営陣の役目だと考えています。

ブランドの根幹を言い当てろと言われたら、私は常に信頼だと言っています。

もともとたばこというのはマヤ文明からひもとくと、薬だったんですから。今までにない範疇の商材を世に送り出すことで、たばこというカテゴリー全体のプロダクトライフサイクルを伸ばして行きたいですね。


✪ 2013.1.28 (No.4)<305>
R&Dの常識を変える
柳 弘之(やなぎ・ひろゆき)氏
[ヤマハ発動機社長]

ヤマハ発動機は連結売上高の約9割が海外で、世界中で約7万4000人いる連結従業員のうち、日本人は1万人程度しかいません。

工場にはマシン(機械)、マン(人)、マテリアル(材料)、メソッド(手法)の“4M”が必要ですが、それぞれがどう機能しているかが一日でわかるレイアウトになっていることが重要です。「分かりにくい工場」で働く従業員は、絶対に苦労します。

当社は2輪車以外にも、船外機(船舶用エンジン)やスノーモービル、プールと、多様な事業を持っています。それぞれを個性豊かな事業に育て、経営の太い幹にしていきたい。

個性は3つの観点で高めていきます。1つがモノ作り。モノ作りには大きく、新しい価値を想像するコンセプト、製品の機能や性能、そしてデザインの要素があります。(中略)2番目がマーケティングです。とにかく市場に密着して顧客との接点を広げていきます。3つ目は新規事業です。今夏に、開発中の今までにないモビリティー(乗り物)を披露する予定にしています。



🔷 編集後記


この元記事をアメブロに投稿したのは、9年前のことです(2014-02-07 22:45:33)。そして、オリジナル記事は11年前のものです。

読み直してみますと、「こんなことも書いていたのだな」「この個所に関心があったのだな」ということが思い出され、当時の自分の心境に思いを馳せています。

それだけ歳をとったのだと実感しています。

読み返してみて気づいたのですが、故稲盛和夫さんが2週連続で「編集長インタビュー」に登場していました。

私の記憶では、同一人物が2週にわたって「編集長インタビュー」に登場したことはありません。

どのような経緯でこうなったか、当時の『日経ビジネス』で調べてみることにしました。残念ながら当時掲載された『日経ビジネス』(雑誌)ははるか昔に処分してしまったため、ウェブサイトで確認することにしました。

そして、判明したこととは……。

新春特別版・前編(2013.1.7号)と後編( 2013.1.14号)で取り上げられていました。

幸せな資本主義 2013.01.07


写真:古立 康三
幸せな資本主義 2013.01.07


2030年のモノづくり 2023.01.14


写真:古立 康三
2030年のモノづくり 2023.01.14

尚、特集のタイトル部分の日付(週刊 日経ビジネスのウェブ版)と雑誌の日付が異なるのは、雑誌の日付は月曜日であるのに対して、ウェブ版は雑誌の発行の前週の金曜日に公開されているためです。


編集長インタビューの記事を読み返してみると、当時の経営者の心意気・信念・余裕・揺るぎない自信といったものが伝わってきます。
月日が経ち、自分だけでなく身の回りにも、環境にも変化があります。

しかし、経営に限らず、物事の本質は変わらないものです。

今回のインタビューの中から興味深い言葉を拾い出してみます。

稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
[日本航空名誉会長]


の言葉から。

現場で働く人たちが素晴らしい人間性を持つようになって初めて、お客様はJALに乗ろうと思うようになる。そこで私自身が様々な現場に出向いて、現場の従業員にこんこんと説きました。

イージーな経営がすべてをダメにしたと思っています。景気のいい時は派遣社員を使い、悪くなったら辞めさせる。いつからか、こういうイージーな経営をするようになってしまった。

🔴「現場で働く人たちが素晴らしい人間性を持つようになって初めて、お客様はJALに乗ろうと思うようになる。そこで私自身が様々な現場に出向いて、現場の従業員にこんこんと説きました」


稲盛和夫さんは松下幸之助亡き後の「経営の神様」と言われました。
ご本人がそのように呼ばれることを名誉だとは考えてはいなかったと思います。そんなことで喜ぶ人ではなかったと思います。

破綻したJALの再建を託されるまでには、躊躇逡巡した時間が去来したかもしれません。周囲の人たちに「晩節を汚すことになるので辞退した方がいい」と何度も言われたそうです。

しかし、最後は再建の重責を引き受ける決断をし、JALの再建を数年で果たしました。

もちろん、批判もありました。短期間で再建できたのは債権者に莫大な債権放棄をお願いし、認めてもらったからです。

例えそうであっても、JALは蘇りました。批判した人たちが「私が再建する」と立ち上がったでしょうか? 否。

稲盛さんは口先だけの人ではありませんでした。現場に足を運び、自分の目で見て、どこに問題があるのかを見つけ出し、解決策を策定し、真摯に実行する、そういう人でした。

例え、現場の人たちに不満があっても、破綻に至ったのは事実です。
JALは半官半民の企業でしたから、何かあったら国が助けてくれると油断していたのでしょう。

全社に気の緩みが蔓延し、そうした状態が続き破綻に至ったのでしょう。
責任を取るべき人が取らなかったという点もあったかもしれません。組織構造に問題があったとも言えるかもしれません。

JALの現在の企業業績はどうなっているでしょうか?

日本航空(9201)の業績予想 株探 2023/12/08


2020年に新型コロナウィルスが世界中に蔓延したため外出規制が起こったため、航空業界や旅行業界、観光業界などは大打撃を受けました。

そのため、2021年3月期と2022年3月期の決算は大赤字となりました。
しかし、2023年3月期には黒字転換し、2024年3月期は大幅増収増益予想となっています。

自律回復力が備わっていると見るべきでしょう。



1回の投稿ごとに1カ月分にまとめたインタビューの概要を掲載します。
2007年1月8日号からスタートし、2013年7月までの6年7カ月分のバックナンバーだけで79件あります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。

データを消失してしまったため現時点では再現できませんが、日経ビジネス電子版では「2011年10月から最新号まで」のバックナンバーが閲覧できるようですので、抜けている個所に該当する部分が見つかれば、追記します。

⭐ 『日経ビジネス』の電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で2022年9月12日号 No.2157 から定期購読をスタートしました。


「日経ビジネス 電子版使い方ガイド」(全24ページ)を見ると
「雑誌『日経ビジネス』のバックナンバーの閲覧について」で、
閲覧できるのは2011年10月から最新号と書かれています。

そのため、2008年8月18日、25日分の記事は確認できません。
しかも紙の雑誌は、はるか昔に処分しています。


『日経ビジネス』の記事を再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


(4,657文字)


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藤巻 隆
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