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【回想録 由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い 第71回】

🔷 「由美子が書き遺したもの」の「最後の日記『入院日誌 あれやこれ』」(1)を掲載します。🔷

 『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)
2016年1月25日 発行 
著者   藤巻 隆 
発行所  ブイツーソリューション

 ✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第71回)✍

由美子が書き遺したもの

最後の日記『入院日誌 あれやこれ』(1)

 由美子が入院した日(二〇一五年七月二十一日)、私は緑色のプラスチック製の表紙のついた一冊のノートと、三色ボールペンを由美子に手渡しました。

 「何か書きたくなったら、書けばいいよ」

と私は声をかけました。由美子は、何度も頷いていました。

入院日誌 あれやこれ

 由美子がいつからこのノートに書き記していったかは、由美子が亡くなるまで知りませんでした。覗き見するつもりは毛頭ありませんでしたし、夫婦といえども、プライバシーの侵害はしたくなかったからです。

 結果的に、由美子が書き遺した最後の「日記」(『入院日誌 あれやこれ』)となりました。ノートとボールペンを渡しておいてよかった、というのがせめてもの慰めになっています。由美子の書き遺した「日記」には一切、手を加えません。「最後のメール」同様、由美子のその時々の心情をお伝えしたい、考えたからです。

入院日誌 あれやこれ

 では、『入院日誌 あれやこれ』をご紹介しましょう。この日誌は七月三十一日から書き始め、八月三日で終わっています。

 短い文章ですが、由美子の「魂の声」と捉えています。最後まで希望を捨てず、前向きに物事を捉える姿勢は見習いたいと思います。


2015/7/31 PM10:59 7/30(金)ステント?

むかつきがひどい。  なんとかしたい。

氷なめなければよかった。

でも痛みはおさまった。  いいこともある!!

きっとげっぷが出る。  あともう少し。。。

夜になると目が覚めてくる。  困ったな。。。

なんかこつがあるはずだ!  うまくいかない。。。

PM11:50 少し吐く

呼吸がおさまらない。  息苦しい。

気をまぎらすしかない。

今日は8/1(土)だ!  日付けが変わった。

今月はきっといい月だ。

一番暑いけど、ここは涼しい。  ラッキーだ!!

「トウモロー、イズ、アンザー<ママ>、デイ」

明日は明日の風が吹く、考えるより感じろ!


2015(H27)/8/1(土)晴れ  ホント暑いみたい

今日も暑そうだな。  私は冷房の効いた病室の中。

むかつきがひどい。。。

午後今度は息切れがひどい。。。

でも、明るくいこう。

女子サッカー「日本X北朝鮮」

・バックパス 大すぎ<ママ>

・先制される

・1X1 同点

かなと隆くる。

PM10:40 動きがする。

眠れないなあ。。。

大グモ登場→かなに殺虫剤たのむ


2015/(H27)/8/2(日)

朝から咳がひどくて最悪だ。

ネプライザーをしてもダメなんでトローチを処方して

もらった。

PM10:20 眠れない。

そういえば兄が来た。  兄には本当のことを言った。

たった2人の血の濃い肉親である。

お兄ちゃんありがとう!!

パパ午前中ヒートアップ。。。  Kでぶちギレ!

トイレに1人で行きたい。

お尻がイタイ!


<八月二日と三日の間に、左記のことが書いてありました。

「しゃべれなくてゴメンネ」と一度書いてから☓としています。

「無理にしゃべらなくていいよ」と由美子に伝えてはいたのですが、とても気にしていたのですね。>

(PP.183-187)



➳ 編集後記

第70回は「由美子が書き遺したもの」の「最後の日記『入院日誌 あれやこれ』」(1)を書きました。

由美子は自分の死期が近いことを悟っていたのでしょう。

「兄には本当のことを言った。
たった2人の血の濃い肉親である。
お兄ちゃんありがとう!!」

という記述にそれが表れていると感じました。

兄妹の会話は一切聞いていません。

涙・・・涙・・・涙



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