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堀 紘一 名言集 『コンサルティングとは何か』(4)
堀 紘一 名言集 『コンサルティングとは何か』(4)
『コンサルティングとは何か』(2011年5月10日 第1版第1刷発行 PHP研究所)は、堀紘一氏が戦略コンサルティングの第一人者として、コンサルティングについて余すところなく書き綴った、優れた書籍です。
略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ(DI)創業者となり東京証券取引所に上場させました。単なる戦略コンサルタントではありません。
DIは現在電通グループ(電通G)の傘下にあり(電通GがDIの株式を20.95%保有しています。 2022年9月30日現在)、堀氏は代表取締役を退任されています。
著名な経営者と「経営の本質」を議論しあい得た知見は類まれなものです。
優れたビジネス書を数多く執筆しています。難しい言葉は極力排除し、エピソードを交え、誰にでもわかるように解説しています。
本当に優秀な人は、難しい内容を平易な言葉を用い、誰にでもわかるように説明できる人です。堀紘一氏はまさにそんな人です。
*<>は堀紘一氏の書籍で、このコーナーで紹介した書籍の中の名言の通し番号です。1冊の中の通し番号ではありません。
¶ ちなみにホンダの経営学とは、「ビジネスとは勝負事だ」という考え方に尽きる
ちなみにホンダの経営学とは、「ビジネスとは勝負事だ」という考え方に尽きる。勝負事である以上、喧嘩と同じで、やるからには勝たねばならない。勝てない喧嘩はやってはいけない。そして、勝つためには多少の出血や骨折は覚悟せねばならない。出血や骨折が怖いなら喧嘩をしてはいけない。そういうことをホンダから教わった。
堀 紘一の名言1<163>
¶ ホンダのような国際的で先進的な企業が、日本におけるコンサルティングの歴史の扉を開いたのは、大きな意義のあることだった
とにかく、日本の大企業で初めて本格的に戦略コンサルティング・ファームを使い始めたのはホンダであった。ホンダのような国際的で先進的な企業が、日本におけるコンサルティングの歴史の扉を開いたのは、大きな意義のあることだった。今から三〇年前のことである。
堀 紘一の名言2<164>
¶ ちなみに、コンサルティングの稼働率の計算は独特だ。「一日八時間×週五日×年五二週」を掛け算した二〇八〇時間を「年間労働時間」とし、それを分母に、顧客に料金を請求できる時間を分子に置き、稼働率を計算する
ちなみに、コンサルティングの稼働率の計算は独特だ。「一日八時間×週五日×年五二週」を掛け算した二〇八〇時間を「年間労働時間」とし、それを分母に、顧客に料金を請求できる時間を分子に置き、稼働率を計算する。
この二〇八〇時間という分母には、正月もお盆もすべて含まれているわけだから無茶と言えば無茶な計算だが、これがコンサルティングの世界の慣習となっている。そのため、コンサルティングの稼働率六五%は、実稼働で換算するなら八〇%に相当する。それ以外にもセミナーや採用等にも時間が取られるわけで、六五%というのは工場で言えばフル稼働に近いであろう。
堀 紘一の名言3<165>
✔ 出典元
『コンサルティングとは何か』
2011年5月10日 第1版第1刷発行 PHP研究所
✍ 編集後記
🔶 『コンサルティングとは何か』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。堀紘一氏が執筆したすべての書籍の底流に流れているのは、まさに「本質」です。
すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。
私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。
勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも必ず「予兆」はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!
「まだ若いし時間があるからまだいいや」とか「高齢だからもう勉強はしなくていい」という考え方は改めた方が良いです。
勉強は一生を通じて行なうことです。もちろん、読書だけが勉強ではありません。いろいろなことを経験するのも勉強です。
失敗から学ぶことはたくさんあります。失敗は経験したからです。チャレンジしたから失敗したのです。失敗したくなければ何もしないことです。
しかし、それでは何事もなしえません。
書籍は手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。
自分で「ここは重要だな」と思った個所に色鉛筆で線を引くとか、付箋を貼るとかしておけば、後で読み返した時、「当時はこんな個所に着目したのだな」と思い出すことができます。
逆に、見落としていた個所や、当時は重要と思っていなかった事柄が重要なポイントだったと気づくこともあります。
「この本は良書だ」と思ったらその本を何度も読み返すことが重要です。
一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。
私がnoteに「名言集」を投稿するのは、ごく一部を切り取って紹介するのではなく、その言葉はどのような文脈で発せられたのかが重要だと考えているため、関連した個所もできるだけ紹介するようにしています。
そして、投稿する際に、堀紘一氏をはじめ、数多の著名な人物の書籍を再読する機会を得ることが私にとって有益だと考えています。
なぜなら、最初に読んだ当時と、年を取ってから再読した時を比較すると、「気づき=重要な点」が異なると思ったことが何度もあったからです。
速読ですぐに読めてしまうような本は中身が薄いと思っています。
例えば、哲学書が速読で理解できますか? じっくり考えながら読まなければ理解のための手がかりさえ見つけることはできないと考えています。
つまり、速読できる本とできない本があると考えています。
🔷「ちなみにホンダの経営学とは、『ビジネスとは勝負事だ』という考え方に尽きる。勝負事である以上、喧嘩と同じで、やるからには勝たねばならない。勝てない喧嘩はやってはいけない」
「ビジネスとは勝負事だ」と当時のホンダの関係者がその通りに言ったかどうかは問題ではありません。
堀紘一さんが、ホンダとのビジネスを通して、肌感覚で捉えた言葉ではないかと思います。
そして、「勝負事である以上、喧嘩と同じで、やるからには勝たねばならない。勝てない喧嘩はやってはいけない」という言葉は、ボクシングの試合を頭に浮かべてみると理解できるかもしれません。
パンチの応酬で、相手からボディブローを受けたら、すかさずフックでやり返す。あるいはジャブで距離を詰めさせない。
またはストレートを打ってきたらカウンターで応酬する。
左右の連打で相手をロープに追い詰め、最後は強烈なストレートでマットに沈める。
肉を切らせて骨を断つという表現がぴったりくるかもしれません。
「『一日八時間×週五日×年五二週』を掛け算した二〇八〇時間を『年間労働時間』とし、それを分母に、顧客に料金を請求できる時間を分子に置き、稼働率を計算する」
コンサルティング業界ではこのような計算方式が世界の慣習になっているという事実は、コンサルティング業界で働いた人でなければ知らないことですね。
経営コンサルティングの料金はべらぼうに高いことは知られていますが、高い料金を払ってもそれ以上の成果がもたらされるならば、納得できることになります。
経営コンサルタントの費用相場と料金体系
上記ウェブサイトによれば、以下のようなポイントがあるそうです。
(2019年05月10日(金))
1 主に3つの契約形態
・顧問契約型 月に1~2回程度の訪問で月額20万円~50万円程度
・時間契約型 1時間あたり5000円~10万円
・成果報酬型 内容によりばらつきがあるため、一概には言えません。
2 契約費用の2つの変動要素
・経営コンサルタントの経験・実績
・会社の規模
3 顧問契約期間
・年間契約(1年~)
・短期契約(4~6か月)
・スポット契約(1か月)
4 経営コンサルタントの選び方 5つのポイント
・経営改善の実績が豊富な実力あるコンサルタントか
・自社が掲げる経営ビジョンをしっかり理解し、実現のためのアイデアを
提供してくれるコンサルタントか
・現状のキャッシュフローを的確に整理し、将来予想されるキャッシュフ
ローの把握もしたうえで、的確な経営助言ができるコンサルタントか
・ひざを突き合わせて、親身に相談に応じてくれるコンサルタントか
・目先の利益を優先せず、中長期的な視点に立ってアドバイスしてくれる
コンサルタントか
自明のことですが、経営コンサルタントも人間ですから、自社との相性も考慮する必要があるでしょう。
🔶「はじめに」にこんなエピソードが記されていました。
私は、ハーバード在学中の二年間、それこそ毎日休みなく勉強に励んだ。その努力が、ハーバード三〇〇年の歴史の中で、日本人初の金バッジの栄誉へとつながったかと思うと、感慨もひとしおだった。
ちなみに、ベイカー・スカラーの名は、ハーバードに多額の寄付をしているベイカー氏への謝意を表している。図書館もベイカー・ライブラリーと呼ばれている。東大に多額の寄付をした安田財閥の名を取って、安田講堂と呼ばれているようなものだ。
晩餐会のさなか、私は二年前に言われたビショップ教授の言葉を噛み締めるように思い出していた。教授は、私をからかったわけでも何でもなかった。「君は最高の学問をしている」という言葉の意味が、「何が問題か」を定義することがビジネスの世界では最も重要な問題であるということが、今の私にははっきりとわかる。そして、教授を訪ねたまさにあのとき、私は深い学びの場にいたということも……。
pp. 6-7
✒ 堀 紘一氏の略歴
ドリームインキュベータ代表取締役会長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞経済部を経て、1973年から三菱商事に勤務。
ハーバード・ビジネススクールでMBA with High Distinction (Baker Scholar)を取得後、ボストンコンサルティンググループで国内外の一流企業の経営戦略策定を支援する。
1989年より同社代表取締役社長。
2000年6月、ベンチャー企業の支援・コンサルティングを行なうドリームインキュベータを設立、代表取締役社長に就任。
同社を2005年9月、東証1部(現・東証プライム:注 藤巻隆)に上場させる。
2006年6月、同社会長に就任。
主な著者に、『世界連鎖恐慌の犯人』(PHP研究所)、『突破力』『「真のリーダー」になる条件』(以上、PHPビジネス新書)、『人と違うことをやれ!』『30代から大きく伸びる人の勉強法』(以上、PHP文庫)、『一流の人は空気を読まない』(角川 one テーマ21)、『新版 リーダーシップの本質』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『「心の時代」の企業革新』『21世紀の企業システム』(以上、朝日文庫)、『一番いいのはサラリーマン』(扶桑社文庫)など多数。
(『コンサルティングとは何か』の著者紹介から)
✒ 堀 紘一氏の略歴補足
2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。
⭐出典元: 『コンサルティングとは何か』
クリエイターのページ
大前研一 名言集
カリスマコンサルタント 神田昌典
堀紘一 名言集
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