盛田昭夫 『21世紀へ』(005)
盛田昭夫 『21世紀へ』(005)
CSR(Company's Social Responsibility、企業の社会的責任)という言葉があります。
ステークホルダー(利害関係者)には、株主、顧客、従業員、取引先、社会などがあります。
このため、企業は社会に利益の一部を還元しなくてはならない、ということになります。
ところが、利益が激減したり、赤字に転落すると、とたんに社会貢献活動を取りやめてしまう会社があります。
CSRを競合企業がやっているからと始めてみたものの、思うように行かなくなるとやめるくらいなら、最初からやらないほうがいいのです。
『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック
目次
はじめに
第1章 経営の原則
第2章 人材の条件
第3章 マーケットの創造
第4章 国際化への試練
第5章 経済活性化の原理
第6章 日米関係への提言
第7章 変革への勇気
第8章 日本国家への期待
第9章 新世界経済秩序の構築
あとがき
第1章 経営の原則
「競争に勝つことがすべて」(1967年)から
技術的知識と経理の知識の両刀使い
社会的責任を果たすとは
企業は社会保障団体ではない
盛田昭夫公式ウェブサイト
➳ 編集後記
『21世紀へ』を読み返して感じたこと
『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田氏が、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという気持ちがビンビンと伝わってくる本です。
盛田氏の「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。
この警世の書に書かれていることは多くが当たっています。
盛田氏の慧眼は本当に素晴らしいと思いました。
アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。
その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられるでしょう。
🔴「社会的責任とは、まず企業が栄え、その企業を通じて良い製品をつくり、そして社会に貢献してこそ、初めて果たせるというものであろう」
CSR(Company's Social Responsibility=企業の社会的責任)という言葉は、最近ではあまり聞かなくなりましたね。
ESG(Environment、Social、Governance=環境、社会、企業統治)のほうをよく見聞きします。
企業の公式ウェブサイトを見ると、ESGを標榜した経営をしていると明示しているところがあります。
ESGのEは、自然環境、住環境、経営環境等に配慮した経営。
ESGのSは、男女やLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング)を差別しない、あるいは反社会的行動によって社会に悪影響を及ぼさない経営。
ESGのGは、 Corporate Governance(企業統治)で、企業は誰のものかとか誰がどうチェックしていくのかといった経営理念に根ざした経営。
では、CSRとESGの違いとは?
⭐出典元: ESGとは?SDGsやCSRとの違い、企業の対応方法について考える東芝テック 2021.09.03
盛田氏は、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンです。表現がダサい? 古い?
⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)
ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
さらに、ここ数十年で業態を変えてきましたね。
ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。
極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。
ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。
スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。
⭐『21世紀へ』について
『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで8年前(2014-06-21 21:50:26)のことでした。
note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。
『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。
今やソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。
✑ 盛田昭夫氏の略歴
巻末の「著者紹介」から
盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。