大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(6)
『ロウアーミドルの衝撃』(6)
「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。
しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。
派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。
そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。
現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
総中流社会が崩壊し所得階層が二極化したことは、日本のマーケットにも変動をもたらしている
ZARAは今、買い物客から「六本木ヒルズで一番魅力的な店」とまで評価されているのである
パラサイトは自分の収入だけでなく、他からの収入を自分の支出に充てることのできる人たちで、「未婚、職持ち、子供なし」で親と同居しているのが典型的なタイプだ
彼らの人口は、推計で1200万人を超え、しかも20代、30代の人口に占める割合は今後増えていくものと予想される
➳ 編集後記
ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 35歳独身女性でも独身男性でも親と同居していれば、個人消費・支出に費やすことのできる割合が、収入の大半を占めても困ることは、ほとんどないでしょう。
そうした生活が当たり前になってしまうと、結婚相手を見つけることは、
かなり難しくなってくるでしょう。
もちろん、「結婚だけが人生ではない」と、言われればそれまでです。
個人消費だけを取り上げれば、GDP(国内総生産)を維持できることになりますので、望ましいことです。
ただ、少子化に歯止めがかからず、このまま推移すれば、近い将来、人口が減少することが確実な状況です。
結婚することと、子供を産み育てるか否かとは別の問題ですが、国にとってはかなり深刻な問題です。
国力が失われることが、憂慮されるからです。
「そんなことは知ったことではない」「私には関係ない」と言われたら、
返す言葉はありません。
それは、個人に「産むか産まないかの選択の自由」があるからです。
だれにも強制する権利はありません。
個人消費を増加させる方法を考えるか、将来の少子化に歯止めをかける方法を模索するか。
どちらにせよ、国が解決案を策定したとしても、国民に強制することはできず、選択権は国民一人ひとりにあります。
ここは割りきりが必要で、人口が減っても国力を維持できる方策を、考えたほうがいいかもしれません。
例えば、移民の受け入れを増やすという政策を実施するのはその一つです。
税制やあらゆる法律、法令、システムを根本から見直す良い機会になるかもしれません。
⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。
世界の移民人口 国別ランキング
このデータを見て、日本は想像以上に移民を受け入れていたことに驚きました。
2020年のデータですが、日本の移民人口ランクは24位で、2,770,996人でした。この数値の半数以下と予想していました。
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-24 16:55:47)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]、高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。
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