伊藤雅俊の商いのこころ 第5回
伊藤雅俊の商いのこころ 第5回
伊藤さんは、「原理原則」を何度も何度も繰り返し説いています。
「基本」と言い換えてもいいのですが、「応用」は「基本」ができていないと、行えません。
家を建てることを考えてみれば、分かります。
基礎(土台、基本)がしっかりしていなければ、その基礎の上に建てた家は、小さな地震でも傾いてしまい、倒壊してしまうこともあるでしょう。
英語でもBack to basics.(基本に戻れ!)という言葉があります。
基本を疎かにしてはいけないのは、洋の東西を問わない「鉄則」です。
「守破離」という言葉もあります。
まず、最初は師匠の言うことを聞き、原理原則、基本を「守る」。
基本が身についたら、敢えて一部を「破る」。個性を出していくと言ったらよいでしょうか。
「自分ブランド力」とも言い換えられます。
「自分ブランド力」が身につき、自他共に認める存在になったら、師匠のもとを「離れる」、独立する時期です。
いつか必ず、そういう時期が来ます。
一人ひとりのお客様に信頼され、満足していただくのは、一人ひとりの社員であって、社長の私ではありません。商売の基本はお客様ありきで、利益は商売の結果であるという、当たり前のことに過ぎません
小山五郎さん(三井銀行元社長、会長)が「ソニーとヨーカ堂を育てたのは三井の誇りだ」と言ってくださったのは、大変、ありがたいことだと思います
需要が数%増えれば価格は数割上がり、需要が数割増えれば価格は数倍に上がります。逆に、需要が数%減れば価格は数割下がり、需要が数割減れば値付かずの状態になるのが、市場原理であり、市場経済というものです
➳ 編集後記
この記事を最初にアメブロに投稿したのは、9年前(2014-04-21 19:54:25)のことです。
伊藤雅俊さんは2023年3月10日に逝去しました。享年98歳でした。
ご冥福をお祈りします。
伊藤雅俊さんが亡くなられてから、セブン&アイグループHDで大騒動が巻き起こっています。
アクティビストと言われる「物言う投資家」である、バリューアクト・キャピタル(以下、バリューアクト)がセブン&アイグループHDの経営陣と対立しています。
経営陣の刷新を要求しています。
バリューアクトはセブン&アイグループHD(以下、セブン&アイ)の大株主です。そのため、強い要求を行なうことができます。
それでも、セブン&アイは要求をはねのけようとしています。
結末はどうなるでしょうか。予断を許しません。
セブン&アイ、激化するアクティビストとの対立 求められるのは「人」選ではなく「事業案」選
🔴「商売の基本はお客様ありきで、利益は商売の結果であるという、当たり前のことに過ぎません」
お客様が存在しなければ商売は成り立ちません。
お客様がいないところに店舗を作ってもお客様は来ません。
当たり前のことです。
店舗に来店していただくのが基本ですが、急激な高齢化が進み、歩行が困難な人たちや、お一人様に食料品や日用品などを宅配する事業が、今後伸びてくるでしょう。リピーターの獲得競争が激化してくるのは間違いありません。
流通業でよく使われる言葉に「ラストワンマイル」があります。
お客様との最終接点にいかにして接近するかが重要になっています。
「ラストワンマイル」を制する者が流通を制すると言えるでしょう。
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⭐マガジン (2023.05.02現在)