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盛田昭夫 『21世紀へ』(022) 第3章 マーケットの創造 「ソニー・スピリット」(1963年)から





盛田昭夫 『21世紀へ』(022) 第3章 マーケットの創造 「ソニー・スピリット」(1963年)から


この本の中で、盛田さんはソニーの原点を熱く語っています。

「若々しさを失ってはいけない」という言葉に集約できるのではないでしょうか。

ソニーが大企業になり、徐々に若さを失っていったように見えてなりません。

冒険する、チャレンジする・・・そういった姿勢が薄れて行ったのではないでしょうか。

企業が小さいうちは、いつか倒産するかもしれない、という危機感が全社に共有されています。

ところが、大企業になると、部署間で情報が共有されず、部分最適に陥り、全体最適が意識されなくなっていきます。

トップがビジョンを示し、方向性を明確化しても、末端にまで浸透していかなくなってしまうことがあります。

グローバル企業になれば、その傾向が一層促進されます。

自分が携わっている仕事が、会社全体の中で、どのような位置づけになるのか、継続的に意識化していかない限り、部分最適の陥穽にはまってしまいます。


   


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック


目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき




第3章 マーケットの創造

「ソニー・スピリット」(1963年)から


ソニーに対して独特なイメージを抱いてもらうこと、ソニーに親近感を持ってもらうこと、ソニーの将来に期待を持ってもらうこと、これらのことに、当社は常に最新の注意と努力をおしまない

 ソニーに対して独特なイメージを抱いてもらうこと、ソニーに親近感を持ってもらうこと、ソニーの将来に期待を持ってもらうこと、これらのことに、当社は常に最新の注意と努力をおしまない。ソニーの技術が生み出して いく、新しい、よい商品の価値を、SONYの四文字とぴったり関連させて、顧客のなかの一つのイメージとして定着させていくことが、販売をバックアップするソニーのPRの特色である。

21世紀へ 盛田昭夫 064 p. 117 



「ソニー・スピリット」(1963年)から


経験の乏しさも、何事も恐れぬ、若さの持つ奔放さと、あらゆるものを吸収する積極的な融通性とで補って、新しい、独特なステップを踏み出していきたいのである

 オーソドックスな商品のなかにも、一つ一つの方策の目的をはっきりと把握し、無批判に慣習に従うことを避け、常識的な考え方、合理的な考え方のもとに、あえてユニークな、新しいアイディアを実行する。経験の乏しさも、何事も恐れぬ、若さの持つ奔放さと、あらゆるものを吸収する積極的な融通性とで補って、新しい、独特なステップを踏み出していきたいのである。

21世紀へ 盛田昭夫 065 p. 117 



「ソニー・スピリット」(1963年)から


ソニーが目指しているものは、生産技術陣が意図し企画した精神を、流通機構の末端にまでしみ通らせるルートづくりである。いいかえるなら、ソニー・スピリットの理解者、同調者による販売機構をつくることである

 ソニーが目指しているものは、生産技術陣が意図し企画した精神を、流通機構の末端にまでしみ通らせるルートづくりである。いいかえるなら、ソニー・スピリットの理解者、同調者による販売機構をつくることである。そうすることによって、初めてソニーが持つ、未来へのビジョンを実現することができるはずである。しからば、ソニーの持っているビジョンとはいったい何であろうか。
 それは、まさにソニーの今日までの歴史が描いてきた、「誰もやらないものを、ソニーにたずさわるすべての人間が協力の旗印のもとに、全世界に向かって生産し、販売することにより、人類の文化の向上に、日本の繁栄の一助に、役立てること」である。

21世紀へ 盛田昭夫 066 pp. 120-121 

 


盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

本書をアマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられることでしょう。

⭐盛田昭夫氏の言葉の数々は、時として大言壮語と感じることがあるかもしれません。しかし、盛田氏はそれだけ、ソニーの行方が気がかりだっただけでなく、21世紀において世界の中の日本がどのように変貌していくのか、気になって仕方がなかったのだろうと推測します。

21世紀のソニーと日本を自分の五感を通じて確かめたかったに違いありません。しかし、その願望は叶いませんでした。1999年に亡くなられました。


🔴SONYの社名が決定されるにいたる背景を知ると、いっそうSONYに対する親しみを感じるようになるでしょう。

盛田昭夫さんは営業マンとして世界中(主に米国ですが)に出かけ、精力的に営業活動をしてきたことを知ることになりました。

井深大(いぶか まさる)さんは技術者として、また研究者として全力を尽くし、盛田さんは営業マンとして世界中を飛び回り、SONYという名と製品を広める伝道師となったのです。

つまり、盛田さんと井深さんは二人三脚でSONYの発展に尽力してきたのです。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。

ここ数十年で業態を変えてきたことは、世の中の変化に素早く対応できることを示しています。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-30 22:14:42)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  


ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。

(3,468文字)


⭐出典元



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