パナソニック シャープを辞めた人たち 2013.5.20 #7 2014-01-17 20:53:52
【『日経ビジネス』の特集記事】 #7 初出 2014-01-17 20:53:52 <バックナンバー>
⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所や重要と考えた個所を抜粋しました。
⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。
⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当します)には、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。
⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」と「雑誌発行年月日」を表示します。
再投稿することにした経緯
再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。
自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。
当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。
記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。
さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
(プロフィールから)
2022年5月25日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の6月以降に定期購読する予定です。
日経ビジネスの特集記事 #7
パナソニック シャープを辞めた人たち 2013.5.20 1/3 2014-01-17 20:53:52
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雇用流動化の理想と現実
一度入社すれば一生安泰と言われた大企業で、早期退職が相次いでいるそうです。
パナソニックとシャープの例を見ながら、雇用流動化の理想と現実を考えてみましょう、というのが日経ビジネスの今週のテーマです。
パナソニックからアイリスオーヤマへ転職した人
真野一則さんはパナソニックで約36年間勤務。
真野さんの専門は製品デザインでした。
ここ数年は現場を離れ、ユニバーサルで材の普及などが主な仕事になっていたそうです。
もう一度現場でデザインを手がけたいという気持ちがふつふつと湧き上がってきましたが、このまま会社に残ってもその願いは叶いそうにない、と思ったそうです。
そんな思いが込み上げてきた時、アイリスオーヤマがパナソニックやシャープの技術系社員の採用に乗り出すことを知り、応募しました。
59歳という年齢を考え、大きな決断をした背景には現場復帰という強い気持ちがあったからです。
ただ、真野さんにとってバラ色の未来が待ち受けているわけではありません。
巨大安定企業だったパナソニックから、若い社員が多く、オーナー企業で意思決定が速いアイリスオーヤマへの転身は、環境に慣れるだけでも容易なことではないでしょう。
真野さんのケースは決して稀なことではなく、確実に増えている、と日経ビジネスは伝えています。
松下(パナソニックの前身)は、かつては人を大事にする社風であったのが、時代が変わり、「ベテランは邪魔とでも言わんばかりの施策が目立ち、疎外感を覚えるようになった」(パナソニックの経理部門で30年以上勤務し、2011年末に退職した長谷川誠さん(仮名)、56歳)ことは、個人的意見とは言い切れない状況があるのでしょう。
起業する道を選んだ人
シャープで液晶関連の技術者として働いていた中原真さんと(52歳)と、米国の技術研究所の副社長だった廣嶋規さん(54歳)のケースを見てみましょう。
2人が今秋立ち上げようとしている教育関連のサービスは、もともとシャープの事業として手がけるつもりだったそうですが、会社の方針と合致せず、望みが絶たれ、早期退職することになります。
日経ビジネスは次のように伝えています。
「大和総研によると2012年末時点の社内失業者の数は246万人。完全失業者数に匹敵するこうした埋もれた人材の再活用なしに日本経済の再生は望めず、今以上の人材流動化は不可欠だ。
そのためには企業も個人も変わらなければならない」
次回は、「解雇先行の危険性」について日経ビジネスはどう考えているのか、をご紹介します。
日経ビジネスの特集記事 #7
パナソニック シャープを辞めた人たち 2013.5.20 2/3 2014-01-17 21:30:25
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解雇先行の危険性
政府の産業競争力会議で議論された「解雇規制の緩和」は大きな話題になりました。
日本企業が社員を解雇する際に、ハードルが高いのは、整理解雇を行なうための次の4要件です。
(1)人員整理の必要性
(2)解雇回避努力義務の履行
(3)被解雇者選定の合理性
(4)手続きの妥当性
実態はどうなのでしょう?
中堅電子部品メーカーの人事担当部長である横田光男氏(仮名)は「クビにするのは簡単」と豪語しています。
横田氏は350人いた社員のうち2年間で250人ほどを解雇したそうです。
どうしてこのようなことができたのでしょうか?
大企業であれば、マスコミで話題にされ、企業ブランドに傷をつけてしまいかねません。
ところが、横田氏は「中小企業なら、ブランドの毀損もそれほど気にすることはない」と断言しています。
そう断言できる根拠は、こういうことです。
250人をクビを宣言して、「4要件が成立していない」として裁判になったケースはわずか1件だったそうです。
しかも、解決に必要な和解金は70万円だったのです。
「日本人で会社を訴えようと思う人は少ないのではないか」と横田氏は言及しました。
もちろん、今後も同様なことになるとは限りません。解雇宣告を受けた人たちが団結し、裁判を起こすことがない、とは断言出来ません。
雇用問題に詳しいリクルートキャリアの海老原嗣生フェローは、解雇規制について次のように語っています。
「全体の大半を占める中小企業では、既に解雇が当たり前のように実施されている」
私の体験談をお話しましょう。
約20年間、東京にあった洋書・洋雑誌輸入卸会社(のちに倒産)に経理担当として勤務しました。
アマゾンという黒船が日本に進出してから企業業績が大きく悪化しました。
そこで同業他社と合併することになりました。
合併が決まった後、私は人事異動を告げられました。
大阪支社か浦和(埼玉県)物流センターのどちらかに即座に決めろ、というのです。
当社の方が規模は大きかったのですが、小が大を飲み込む合併となったため、小さい会社出身の役員から有無を言わせず命令されたのです。
当時、私は50歳になろうとしていたため、単身赴任で大阪に赴くことはできず、浦和を選択しました。
いつから行けばよいのか尋ねると、「明日から行け」と言われました。浦和でする仕事は、約20年間携わった経理ではなく、出荷業務でした。
センターに納入された雑誌を定期配本先の書店毎に分け、梱包する作業でした。
日本の雑誌と違い、1冊の厚さが10㎝くらいもある雑誌があり、その雑誌を5冊ごとに束ねることもしました。かなりきつい仕事でした。
完全に「いじめ」でした。自己都合による退職を強いるためだったのです。
自宅の横浜から勤務先の最寄り駅東川口までは、片道2時間半かかりました。往復で5時間です。小旅行をしているようなものでした。
そうした仕打ちを受けましたが、私は意地になり歯を食いしばり、慣れない出荷業務に励みました。
センターに勤務している人たちは20代から30代の人が多く、最初のうちは冷たい目に晒されました。
「本社の経理出身の人間ができるわけない」と思われていたのです。
自己都合退職すると、失業保険を取得する期間が短く、かつ金額も少なくなるため、1年半頑張りました。
悪いことばかりではなく、若い人たちとも打ち解け、冗談を言い合える仲になりました。
会社は私が自己都合で退職しないという想定外の状況に「会社都合による退職勧奨」を伝えて来ました。
「割増退職金を支払うので辞めてくれ」と言ってきました。
従わざるを得ませんでした。
経理に携わっていた当時からの休日出勤を含め、振替休日が20日以上残っていて、有給休暇を併せて45日くらいになっていました。
私が退職してから2年くらい経って、元の会社が倒産した記事が新聞に掲載されました。
あなたも、その記事をご覧になったことがあるかもしれません。
その会社は、日本で最初に「タイム」「ニューズウィーク」「リーダーズ・ダイジェスト」などを輸入した会社でした。
長い話にお付き合いして下さりありがとうございました。
このような体験をしていますので、日経ビジネスの今回の記事を他人事とはとても思えないのです。
最後に、世界で見て日本の解雇規制は甘いのか否か、見てみましょう。
経済協力開発機構(OECD)が2008年に発表した解雇保護法制指標の国際比較があります。
それによると、解雇しやすい国のトップは米国で、日本は40カ国中8番目に解雇しやすい国にランクされています。
私を含め、想像が外れたのではないでしょうか。
日本よりも解雇しやすい国は、1位のアメリカ以下、カナダ、英国、ニュージーランド、南アフリカ共和国、豪州、アイルランドとなっています。
韓国は17位、中国は32位です。ちなみにトルコは40カ国中40位です。
次回は、「人材流動化のために企業がすべき5項目」と「働く人1000人が選んだ転職したい企業ランキング」を新卒学生が選ぶ「日本経済新聞社 就職希望企業ランキング」と比較してご紹介します。
日経ビジネスの特集記事 #7
パナソニック シャープを辞めた人たち 2013.5.20 3/3 2014-01-17 21:53:08
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
流動化のため企業がすべき5項目
日本で雇用流動化を促進するには次の5項目に集約できる、と日経ビジネス
提示しています。
(1)中途採用の積極化
(2)社外でも通用する人材教育の拡充
(3)非正規社員の待遇の改善
(4)成長産業の育成
(5)会社の垣根を超えた新たな雇用の仕組み作り
この5項目を見ると、すぐに実現できるようなことは何もありません。法制の問題だけではなく、採用する側の企業と転職希望者との関係が改善されない限り難しいでしょう。
大企業に勤めれば一生安泰と考えるようであれば、企業の活力は失われ、「大企業病」に苛まれ、パナソニックやシャープのような状況が他人事ではない、と実感できないでしょう。
「ゆでガエル」の話をもう一度振り返ってみる必要があるかもしれません。
【ゆでガエルの話】
<カエルにとっては生死にかかわる温度(40度くらいといわれる)のお湯のなかに、カエルをいきなり放り込むと、カエルはびっくりして必死に容器の外へ飛び出して助かる。
しかし同じカエルを水をはった器に入れ、じょじょに熱していくと、カエルはぬるま湯に慣れて飛び出すタイミングを失い、やがてゆでられて死んでしまうというものである。
環境にどっぷりつかっていると、その変化に鈍感になり悪化しても気づかない。
微温的な居心地のよい環境に馴れてしまうと、自分の情報感度の鈍さ、視野のせまさにも気づかないまま危機的な状況を招いてしまうという教訓である>
『やる気 やるチャンス やる力』(高原慶一朗 日経BP社)
「次」に選ぶべき会社
まず、日経ビジネスの独自調査「働く人1000人が選んだ転職したい企業ランキング」(A)をご覧ください。
1 グーグル
2 トヨタ自動車
3 オリエンタルランド
4 ANAホールディング
5 三菱商事
6 ベネッセコーポレーション
7 サントリーホールディングス
8 資生堂
9 リクルートホールディングス
10 宇宙航空研究開発機構
次に、日本経済新聞社が調査した「就職希望企業ランキング」(B)をご覧ください。
1 日本生命保険
2 東京海上日動火災保険
3 第一生命保険
4 三菱東京UFJ銀行
5 三井住友海上火災保険
6 三菱UFJ信託銀行
7 みずほフィナンシャルグループ
8 三井住友銀行
9 三井住友信託銀行
10 明治安田生命保険
この2つのランキングを見ますと顔ぶれが全く違いますね。
(B)は上位10位がすべて金融機関です。
ちなみに、11位はANAホールディングスです。
転職希望者は、それなりに仕事に関する経験値があるため、それに基づいて転職先を検討していることが伺われます。
一方、社会経験の少ない学生は世間で話題になる企業や親から勧められた企業を優先的に選択しているように思います。
(A)のランキングで面白いと思ったことがあります。
1位のグーグルと2位のトヨタ自動車とで選ばれた理由が異なっていることです。
グーグルに限らず、転職したい企業ランキングで上位に入った企業は「社風が良さそう」「やりたい仕事ができそう」「他社にはできない技術・商品があるから」という理由で選ばれた企業が多いということです。
ところが、トヨタ自動車は「業界上位だから」「安定しているから」といった安定志向的な理由が上位を占めたそうです。
「革新意欲の強いイメージのグーグルと保守傾向が強い印象のトヨタが居並ぶ異色の構図は、働く人の意識の2極化を示していると言える」ということなのでしょう。
私は、どこか「寄れば大樹」の意識があるのではないか、と感じました。
(A)と(B)を比べ、違いがあると思うのはグローバル企業は(A)に集中していることです。
日経ビジネスは最後にこう述べています。
「1つの業界にこだわる人も現れれば、あえて業界を転々とする人も登場。働き方はかつてなく多様化し、「パナソニック シャープを辞めた人たち」が注目されることもなくなるだろう」
🔷 編集後記
今回の記事は、身近な問題を取り扱っていたため、当時(2014-01-17)に自らの体験談を書きました。
今から振り返ってみても、酷い扱いを受けたものだと憤ります。権力者の横暴がまかり通る企業は遅かれ早かれ内部崩壊します。
⭐ 参考データをご覧ください。
企業が抱える労働環境問題とは?労働環境を改善する方法について徹底解説
このサイトを見ると、「労働環境の問題点」として下記の4点について詳細に述べています。
1 給与の減少
2 長時間労働
3 人件不足
4 生産性の低迷
改善策として3つを提言していますが、どれも実現するには時間がかかりそうです。一朝一夕ではできません。
1 多様なワークスタイルを導入する
2 人材の多様化
3 ITを活用する
最後にこのように述べています。
「企業が経営を続けられるように、生産性を向上できるような労働環境にしなければ意味がありません」