農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる 2013.6.24 #12 2014-01-30 21:08:57
【『日経ビジネス』の特集記事】 #12 初出 2014-01-30 21:08:57 <バックナンバー>
⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所や重要と考えた個所を抜粋しました。
⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。
⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当します)には、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。
⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」と「雑誌発行年月日」を表示します。
再投稿することにした経緯
再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。
自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。
当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。
記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。
さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
(プロフィールから)
2022年6月10日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。
日経ビジネスの特集記事 #12
農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる 2013.6.24 1/3 2014-01-30 21:08:57
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
脱・農協が止まらない
アベノミクスの3本の矢の3番目は、「成長戦略」です。
その「成長戦略」の目玉は、農業再生です。
農業は今まで、国の手厚い保護を受け、海外からの安い農産物に高い関税をかけてきました。
農業の中で、特にコメに対しては、コメ専業農家はほとんどいないにも拘らず、収入面で長年にわたり多額の補助をしてきました。
コメは日本にとって絶対に外国米にその地位を譲ることのできないモノとされてきました。
しかし、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)に遅れて参加表明をしてから、コメを取り巻く環境は激変しようとしています。
関税が撤廃されれば、外国から安いコメが大量に流入することは火を見るより明らかです。
以上のような現状を踏まえて、日経ビジネスの特集記事をつぶさに見ていくことにしましょう。
果たして、農協は、コメ農家はどうなっていくのでしょうか?
そもそも、農協とはどのような組織なのでしょうか?
ここからスタートしましょう。
日経ビジネスは次のように解説しています。
「日本農業を守ると言い切る農協とはどのような組織なのか。JAグループとして全国で組合数708、組合員数約970万人、職員数約22万人を擁す。金融(信用)、共済、医療・福祉など農業以外の事業も幅広く手がけているのが特徴だ」。
つまり、農協は巨大組織であるということです。
その巨大組織を根底から覆すような動きが、国内外から起きています。
今まで、私たち一般の国民にあまり知らされることがなかったことは、農協と生産者とは主従関係にあったということです。
農協が生産者の生殺与奪の権を握っていると言ったら、言いすぎでしょうか。
「農協向けに卸すと販売手数料が高い。直売や契約栽培のほうが儲かる」
「農協以外に売ると補助金の申請がしづらい」
こうした生産者の嘆きが聞こえてきます。
つまり、「生産者を守ると言いながら、搾取して弱体化させているのは農協なのではないか。農家もさすがにこのことに気づき始めている」ということです。
農協グループが手がける「JAバンク」の貯金総額の巨大さに瞠目しました。
「今年4月末時点で約90兆円。メガバンクのみずほフィナンシャルグループと肩を並べる規模なのだ」そうです!
問題は約90兆円のうち、どれくらいが農業資金に貸し付けられているかです。
「90兆円を超える貯金を集め、貸し出しに回すのは21兆4285億円。その割合(貯貸率)は23.8%と、地方銀行など地域金融機関と比べてもはるかに低い。その貸し出しの内訳がさらに興味深い。
2011年3月時点の内訳は個人向けの住宅ローンが33.5%、次いで農地を住宅整備する際などの建設資金が19.6%を占める。農業資金はたった3.8%にすぎない」
次回は、農家の現状と厳しい未来についてお伝えする予定です。
日経ビジネスの特集記事 #12
農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる 2013.6.24 2/3 2014-01-30 22:02:38
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
農家の現状と厳しい未来
前回は、巨大な組織の農協の実態をお伝えしました。
今回は、農家の現状と厳しい未来そして、異業種参入の現状をご紹介します。
日経ビジネスはコメ農家の驚くべき実態を伝えています。
「農林水産省の『農業経営統計調査』によれば、2011年のコメ農家の所得を平均すると、純農業所得が約9万円で、総所得約446万円のうちのわずか2%にとどまる。
コメ農家が困窮しているかといえば、勤め先の給料など『その他所得』のおかげでほかの農業分野と遜色のない収入を確保している。
要は、コメ農家は兼業率が非常に高く『週末農家』が多いことが分かる」
以前から指摘されていたことですが、農業従事者の高齢化は深刻で、「基幹的農業従事者の65歳以上の割合は平均61%に対し、コメ農家は74%と突出して高い。高齢で零細なコメ農家が問題の本質であることを如実に示す」ということで、改めて農業従事者の高齢化の実態を知ることになりました。
コメを筆頭に高い関税率がかけられているということは聞いたことがありますが、関税率の実数は知りませんでした。
まさかこんなに高い関税率がかけられているとは驚くと言いますか、呆れてしまいました。
ここまでして保護する意味が本当にあるのか考えさせられました。
それだけに、関税が撤廃されれと相当深刻な状況に追い込まれるな、と素人ながら思わずにはいられませんでした。
コメ、麦(小麦、大麦)、食肉(牛肉、豚肉)、乳製品(脱脂粉乳、バター)、砂糖の関税率とTPPに参加するとどうなるかを日経ビジネスの記事から掲載します。
関税率 TPPに参加すると
コメ 778%(精米) 国内生産量の32%が輸入品に置き
換わる
麦 小麦 252% 国産の99%が輸入品に置き換わる
大麦 256% 主食用、味噌用を除き、79%が
輸入品に置き換わる
食肉牛肉 38.5% 3等級以下は輸入品への置き換え
が進み、60%減少
豚肉 4.3% 銘柄豚の他は輸入品に置き換わり、
70%減少
乳製品脱脂粉乳 218% 生クリームを除き、輸入品に置き
換わり、45%減少
バター 360%
砂糖 328%(粗糖) 100%輸入品に置き換わる
TPPに参加すると、農林水産物の生産額はどれくらい減少するのでしょうか?
「政府の試算では、TPP参加による影響で農林水産物の生産額は約3兆円減少」となるそうです。
一方で、安倍政権のTPP参加表明を受け、このままでは生き残れない、危機感を募らせ、行動している人たちがいます。
和牛の生産量が国内で最も多い鹿児島県で、「産地の銘柄でなく、個人の名前に由来する『のざき牛』を日本で初めてブランド品として確立した」人がいます。
農業生産法人のざきの野崎喜久雄社長です。
野崎社長はこう述べています。
「TPPが成立すれば、牛肉にかかる38%超の関税は今後10年で0%になる。その時代に備え、日本のどんな和牛がウケるか研究する」
農業は全産業で最もIT(情報技術)を活用していない産業と言えます。
そうした中で、青果生産に従事してきた若い世代の人たちによって新しい試みがされています。
畑にカメラ内臓のセンサーを設置し日々の気温、湿度、雨量などのデータを蓄積し始めたそうです。
農作業を見直したところ、キャベツの収穫量が3割増えたそうです。
さらに、異業種から参入するケースもあります。
人材派遣企業のパソナは、農業の見直しを図り、若者に農業の魅力を教える場を提供しています。
「パソナは、兵庫県を通じて地権者から借りた農地を利用して最大3年間、給料を保証する農場を作った」そうです。
「毎年10人近くがチャレンジファームに応募してくる」ということですから意欲のある若者たちに期待したいですね!
次回は、コメ問題について掘り下げてご紹介します。
日経ビジネスの特集記事 #12
農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる 2013.6.24 3/3 2014-01-30 23:29:27
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
コメ問題にメスを
前回は、コメなど重要5品目にとてつもない関税率がかけられていることをお伝えしました。
コメには約800%つまり8倍もの関税率が適用されているのです。
外国産のコメは9倍の値段で輸入されていることになります。
国内産のコメ農家を保護するために、これだけの関税率を当てるのは異常としか言いようがありません。
アベノミクスの3本の矢の3番目は、成長戦略です。
その中心に農業の構造改革を取り上げています。
日経ビジネスは成長戦略の農林水産分野のポイントを5つにまとめていますので、下記に掲載します。
1 旧戸別所得補償を見直し
新たな直接支払制度を創設
2 担い手への農地集積、耕作放棄地解消へ
都道府県単位に受け皿を整備
3 農林漁業成長産業化ファンド活用などで
6次産業化を推進
4 2020年に農林水産物・食品の
輸出額を1兆円に倍増
5 情報技術を活用した生産・流通システムの
高度化
この5つのポイントを眺めてみると、それぞれはとても素晴らしい方針ですが、既得権益にあぐらをかいている官僚組織に一石を投じ、思い切ったディレギュレーション(規制緩和)が断行できるのか、が問われていると思います。
よく言われることですが、あらゆるところに細かな規制が設けられ、1つの規制が緩和(廃止)されると、同様な規制が新たに設けられるということが繰り返されました。
こうしたイタチごっこを続けている限り、問題解決が先送りされることは、私たちが長い間体験してきたことです。
政府(主に与党議員)と官僚(役人)とのせめぎあいの中で、国民(有権者)に選挙によって選ばれ、国益を付託された議員、つまり国民の代表が、国民のパブリックサーバント(公僕)である役人に、国益を最優先した政策を実践させることができるかどうかが問われています。
減反政策を取り続けた結果、耕作放棄地が野ざらしになっています。
これも国産のコメの高価格維持のためになされたことです。
「現在コメの生産費は60kg当たり約1万6000円」だそうですが、本間正義・東京大学大学院教授によると、「耕作地の分散を解消して15ヘクタール以上の規模に集約すれば、これが6000円弱まで低下する試算もあるという」。
山下一仁・キャノングローバル戦略研究所研究主幹は、次のように指摘しています。
「農地所有者の転用期待は根強く、耕作放棄地の固定資産税も安い。米価が高く維持されれば、農家が農地を手放そうとしない」
問題は山積し、一筋縄ではいかないのが現状です。
日経ビジネスは、今回の特集を次のような言葉で、締めくくっています。
「今度こそ日本の構造問題の象徴の農業再生に道筋をつけ、TPPなど経済連携の加速につなげる。アベノミクスの成長戦略の成否はこの1点にかかっていると言っても過言ではない」。
🔷編集後記
アベノミクスとは何だったのか、TTP(環太平洋経済連携協定)に参加してどうなったのかを検証してみましょう。
アベノミクスとは何だったのか。「大胆な金融緩和」が残した「地味な偉業」とは?
このウェブサイトを見ると、次のように指摘しています。
「アベノミクスは『為替に始まり、為替に終わった』ということだ」
「大胆な金融政策は、『機動的な財政政策』『投資を喚起する成長戦略』とともに『三本の矢』の一構成要素にすぎないものの、安倍首相の任期中を通じて『困ったときの日銀頼み』が断続的に顔を出していることを踏まえれば、実際には、大胆な金融政策なくしてアベノミクスを語ることはできない」
「国債を大量購入してベースマネーを拡大するという行為は、白川前体制と何ら変わっていないのに、黒田新体制の派手なコミュニケーション手法で円安・株高は勢いづいた」
「白川前体制の円高も、黒田新体制の円安も、ドルを基軸通貨とする変動為替相場においては、なかば『宿命』だった」
「あくまでもともとあった潮流を強める『追い風』であり、潮流そのものを生み出したわけではない」
「円相場や円金利の変動が抑制され、日銀の存在感が薄れ、『表舞台から消える』ことに成功し、少なくとも第二次安倍政権後期においては『為替との戦い』に終止符が打たれたことは、実は同政権の『地味な偉業』だった」
「「金融政策の無効性(=金融政策だけで物価や景気が改善することはない)」を世に示したことが、アベノミクスによる『大胆な金融緩和』の最大の収穫だった」
🔶 これらの記述を読むと、成長戦略は上手くいかなかったことは明らかです。
もっとはっきり言えば失敗だったのです。「3本の矢」という言葉が先行し、実態が伴わなかったと言えます。
⭐ 出典元: BUSINESS INSIDER Sep. 04, 2020, 06:30 AM
TPPをめぐるこれまでの経緯とこれからの課題
このウェブサイトを見ると次のように指摘しています。
「さて、本年2021年は日本がTPP委員会の議長国である。この2021年のTPP11の運営上の課題は次の3点があげられるだろう。TPP11にとって重要な年になりそうである。
(中略)
第1に未締結国の国内手続きの支援である。
第2に、日本は議長国として、これまでの実績を引継ぎ、委員会や多くの小委員会等を開催するなど活発なTPP11の運営に努めていく考えである。
第3に、TPP11の拡大に取り組む考えである」
🔶 TPPをめぐる経緯は知ることができても、現時点でどのような成果が上がっているのか確かめることはできませんでした。新型コロナウイルス感染が世界中に拡大したことは認めますが、先が見えてきません。
⭐ 出典元: 一般社団法人霞関会 公開日: 2021年2月25日