さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない 2014.05.19 Vol.75 1/2 2014-06-12 22:49:43
日経ビジネスの特集記事 Vol.75
さらば使い捨て経営 「正社員化」だけでは解決しない 2014.05.19 Vol.75 1/2 2014-06-12 22:49:43
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
今週号の特集記事のテーマは
限りある人材を“使い捨て”にする経営と決別する。それが実現できない企業に未来はない
ということです。
ブラック企業の明確な定義がなされずに、言葉がひとり歩きしているのが現状です。
そんな中、牛丼チェーンの「すき家」でアルバイト社員の退職が相次ぎ、
夜間の書き入れ時に閉店する事態に陥っている、と報道されました。
詳細が把握できなかったため、気にかけていました。
『日経ビジネス』最新号(2014.05.19)<今号>で、「すき家」の実態がレポートされました。
非正規雇用労働者の過酷な労働実態が明るみになったのは、「すき家」だけではありません。「すき家」のケースは氷山の一角にすぎません。
PART 1 バイト反乱で営業不能
「すき家」は年中無休・24時間営業の店舗であるはずが、4月中旬の午後7時、東京都世田谷区にある桜新町駅前店だけが電気が消えていたそうです。
その状況を示す画像が、日経ビジネスに掲載されていましたので、ご覧ください。
周囲の店は電気がこうこうと点き、異様な雰囲気を漂わせています。
なぜ、このような状況になってしまったのでしょうか?
そこには深刻な問題が横たわっていました。
この説明では、人手不足の原因がはっきり分からないでしょう。
本社と店舗で働く人たちとの間に、大きな意識のズレがあったのです。
すき家が他の牛丼チェーンと異なる点は、メニューが豊富(約30種類)であることです。
そのため、店員に負荷が高まるという事情があります。
さらに、「ワンオペレーション(ワンオペ)」という過酷な1人勤務があります。
「ワンオペ」を実施してきた理由は明らかです。コスト削減です。
深夜勤務中に、強盗に入られた事件が発生しています。1人勤務ですから、防犯が手薄なところを狙われたのです。
最悪な場合、店員の命に関わる事態を引き起こしかねない出来事でした。
石川さんの勤務実態は下記のとおりです。
アルバイトの仕事を逸脱していますね。むちゃくちゃだと思います。
このような勤務を続けていくと、体調を崩すことになってしまいます。
肉体的にも精神的にも追い詰められてしまう恐れがあります。
実際、石川さんは、「過酷な勤務で体調が悪化し、3つの病院に通」(p.026)っているそうです。何のために仕事をしているのか分からなくなります。
ここまで聞いただけで、ブラック企業と言われても、反論はできないはずです。と言いますか、完全にブラック企業ですね。
さらに驚いたことがありました。
「パワーアップ工事」があるそうです。言葉だけから判断すると、店舗を改装することなのだろう、と思いますよね。
ところが、実態はまったく違いました。
問題が噴出しているすき家を運営している、ゼンショーホールディングスの小川賢太郎社長に、日経ビジネス取材班は再三取材を申し込んだそうですが、「『第三者委員会に任せているので、現時点で私が答えることはない』と、応じることはなかった」(p.026)ということです。
ここで言う「第三者委員会」というのは、企業法務で著名な久保利英明弁護士を委員会とする第三者委員会のことで、委員会の報告を待って、労働環境の改善に乗り出すという経緯があるからです。
PART 2 「正社員化」ブームの理想と現実
ユニクロがパート・アルバイト1万6000人を正社員化するという発表を、今年3月に行いました。
詳しくは、ユニクロ大転換 柳井正の決断 2014.03.24をご覧ください。
「正社員化」の動きが顕著になってきました。優秀な人財を確保しておきたいという企業の思惑が透けて見えます。
今まで正規雇用と非正規雇用で待遇に大差をつけていた企業が、ここにきて「囲い込み」を進めているのです。
こうした傾向は、普通に考えれば、非正規雇用労働者にとって追い風になるはずですが、一概にそうとはいえない現実があります。
キーワードは「限定正社員」。
限定正社員とは? 日経ビジネスの解説を見てみましょう!
疑問が残りました。
果たして、本当に限定正社員は身分が保証されているのだろうかという疑問です。
日経ビジネスは「『限定正社員』に3つの懸念」と題して、問題点を指摘しています。
企業は口先では従業員を「人財」と言いながら、実はコストと見なし、人員削減を行ってきました。
昔は「窓際族」、今は「追い出し部屋」へ押し込み、一切仕事を与えず、モチベーションを低下させ、自主退職へ追い込むという常套手段を使ってきました。
逆に、過重労働を与え、達成できないと「無能」呼ばわりするということも慣例となっていました。
ところが、ここにきて近い将来、人手不足が顕在化することが明らかになってきました。少子高齢化が加速し、労働生産人口が大幅に減少する可能性が
出てきたからです。
そうなると、現在の買い手市場が一転して、売り手市場となります。人手が足りなくなると、奪い合いになることは必至です。
次回は、
「PART3 今こそ、『人財』経営」
他をお伝えします。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-06-12 22:49:43)のものです。加筆修正してあります。
当時の「すき家」は特殊な事例ではありませんでした。
「多くの小売り・外食企業も深刻な人手不足に直面している。パート・アルバイトに無理を強いる経営」を行なっていたのです。
ワンオペに関してですが行われているという報道はされていません。
また、新型コロナ禍の影響で、感染拡大を防ぐために「非接触」が重要なことになり、外食産業では券売機を設置し、コンビニやスーパー、ドラッグストアでは顧客が自ら機械を操作して決済するようになっています。
スマホで「⚪⚪ペイ」を使い、決済がその場で完了するのも当たり前で、その都度クレジットカードを出さずに済むことも可能です。
今現在、外食産業で問題化しているのは、回転寿司店での「寿司テロ」を始め、店の備え付けの備品を悪用し、その様子をスマホで撮影し、ネットで公開するという悪質極まりない行為を平気で行なう一部の人たちがいることです。
また、同様に「バイトテロ」もありますね。顧客ではなく、店員が行なう行為です。どちらも営業妨害です。
今日(2023/06/10)、下記の内容で報道されました。
「悪いのは私たち」騒動後、贖罪語った母は別人のように憔悴…“ペロペロ少年”家族に待つ「6700万円損害賠償」の苦難
倫理観の欠如が甚だしい事件です。問題は、刑事罰よりも民事の損害賠償です。判決が確定すれば、支払い義務が発生します。
本人は軽い気持ちや英雄気取りでやった行為かもしれませんが、代償は大きすぎます。