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堀 紘一 名言集 『リーダーシップの本質』(42)

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』(42)

 『リーダーシップの本質』(初版 2003年6月26日 ダイヤモンド社)は、堀 紘一氏が満を持して上梓した優れたビジネス書です。

 略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ創業者となり東京証券取引所に上場させた、単なる経営コンサルタントではありません。
 優れたビジネス書を数多く執筆しています。


野球のピッチャーが逃げに回ったとき崩れ、女子のテニス選手が攻めるための集中力をとぎらすと自滅するように、経営者も攻める心を一時たりとも失ってはいけないのだ

 経営者もこの二通りのスポーツ選手と同じように、一日の時間の九割方を耐えて耐えて耐え抜いている。経営者には悪い報告やつまらない相談が山ほど押し寄せてくる。ともすれば、そんな憂鬱なもろもろの問題に受け身になり、あるいは逃げたくなる。
 だが、そこで経営者が守りに回ったら、会社は終わりになってしまう。耐えている時間は九割あっても、つねに攻める姿勢を忘れず、十割攻撃だと思っていなければいけない。野球のピッチャーが逃げに回ったとき崩れ、女子のテニス選手が攻めるための集中力をとぎらすと自滅するように、経営者も攻める心を一時たりとも失ってはいけないのだ

    『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 1 <124>                  


経営者に始まって、社員全員の心が壊れないようにやっていけば、事業は決して敗北することはない
最後には必ず勝利するのである

 経営者の最大の敵はいらいらである。人間、睡眠不足になるといらいらが起こりやすい。同じような嫌な話でも、よく寝ているとそれほど苛立たずに冷静に聞くことができる。
 企業にとって、経営者にとって、一番怖いのは何か。デフレでも価格破壊でもない、自分たちの心が壊れることである。経営者に始まって、社員全員の心が壊れないようにやっていけば、事業は決して敗北することはない。最後には必ず勝利するのである

    『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 2 <125>                  


一番怖いのは心が壊れることだという意味は、死命を制する重要な勝負を左右するのはリーダー自身であり、企業組織自身だということである

 一番怖いのは心が壊れることだという意味は、ここの小さな勝ち負けはともかく、死命を制する重要な勝負を左右するのはリーダー自身であり、企業組織自身だということである

    『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 3 <126>                  


✔ 出典元

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』
2003年6月26日 第1刷発行 ダイヤモンド社




✍ 編集後記

🔶  『リーダーシップの本質』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。重要な点は「本質」です。すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。

私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。

勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも予兆はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!

何歳でも、何歳からでも勉強はできます。書籍を手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。

「この本は良書だ」と思ったらその1冊の本を何度も読み返すことが重要です。

一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。


🔷 「経営者に始まって、社員全員の心が壊れないようにやっていけば、事業は決して敗北することはない。最後には必ず勝利するのである」

この言葉とは真逆のお話をします。

経営者の心が壊れると、下ヘ下へと伝播します。末端の従業員にまで伝播します。そうなると事業はガタガタになり、取り返しの付かないことになります。

何が起こっても、問題解決をしようとする意識が麻痺し、なすがままになってしまいます。極論すれば経営破綻します。

私の体験談をお話します。
書籍、雑誌の流通を司る、いわゆる取次の会社に勤務していた時のことです。

黒船の来襲のように、Amazonが日本に進出し、洋書・洋雑誌の価格破壊、書店への納品のスピード(当社は船便で輸入に対し、Amazonは航空便で輸入)等で大差をつけられ、当社は業績が急激に悪化しました。

当社も手をこまぬいていませんでした。船便から航空便に変更し、納品スピードは以前と比べ相当速くなりました。

しかし、運賃コストが上がり、その上昇分を価格転嫁できませんでした。
書籍流通業界は特殊なところで、返品率が50%はザラで、中には90%という商品もありました。

買取商品もありました。例えば、美術書や写真集の類です。
もともとは高価な商品です。
安く仕入れることはできましたが、返品できないので自社の責任で売り切らないといけません。1冊も売れなかった商品もありました。赤字商品です。

経営者は現状にイライラを募らせ、部下を責めることが日増しに多くなってきました。

当然の結果として、社内の空気は悪くなり、各部署でミスが続出したり、商品がますます売れなくなるという悪循環に陥りました。

まるでボールが坂の上から転げ落ちるように、業績が悪化し、このままでは破綻を免れないところまで来ました。

そこで、経営者は最後の手段として、同業他社との合併に踏み切りました。
同業他社のほうが会社の規模は小さかったのですが、小が大を飲み込むという、吸収合併となったのです。

私は当時経理部門に在籍していて、自社の実態を以前から把握していました。このままでは近いうちに破綻すると確信していました。

合併が成立すると、私は経理部門から配送センターへ異動になりました。
完全に左遷です。私の存在が新経営陣にとって邪魔な存在だったのです。
決算書作成にも携わっていたので、会社の経営状態を詳しく把握していたからです。

ドアーツードアで片道2時間半の通勤時間でした。
今ではこのような懲罰的な人事異動は行われないと信じています。

デスクワークから力仕事へと変わり、異動から1年半ほど経って、会社側から退職勧奨がありました。私は受け入れました。

私が退職した数年後、ファンドに組み入れられていた当社は息の根を止められました。業績が回復することはなかったのです。

このように会社が破綻するには、いろいろな原因があります。
ですが、経営者に先を見通す能力が欠如し、上司は手柄を横取りし、ミスは部下に責任転嫁するという状況が続けば、会社が傾くのは避けられません。



✒ 堀 紘一氏の略歴

ドリームインキュベータ代表取締役社長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大学大学院経営学修士(MBA with High Distinction)。読売新聞、三菱商事、ボストンコンサルティンググループ(BCG)社長を経て、2000年にドリームインキュベータ(DI)創業。
BCG時代には、金融、ハイテク、消費財、Eコマース、中期戦略など数多くの戦略策定及び実行を支援。
『知恵は金なり』『強い会社はこうしてつくれ』『成功する頭の使い方』(PHP研究所)、『人と違うことをやれ!』『どんな「壁」でも突破できる』(三笠書房)、『挑戦! 夢があるからビジネスだ』『脱皮できない蛇は死ぬ』(プレジデント社)、『できることから始めよう!』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『21世紀の企業システム』(朝日出版社)など著書多数。
(『リーダーシップの本質』の著者紹介から)


✒ 堀 紘一氏の略歴補足

2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。




⭐ 出典元: 『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』


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