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【大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉】 Vol.22
大人の流儀
伊集院 静さんの『大人の流儀』から心に響く言葉をご紹介します。私は現在『大人の流儀』1~10巻を持っています。このうちの第1巻から心に響く言葉を毎回3件ずつご紹介していこうと考えています。全巻を同様に扱います。
時には、厳しい言葉で私たちを叱咤激励することがあります。反発する気持ちをぐっと堪え、なぜ伊集院さんはこのように言ったのだろうか、と考えてみてください。しばらく考えたあとで、腑に落ちることが多いと感じるはずです。
帯に自筆で「ちゃんとした大人になりたければこの本を読みなさい」と記しています。
ご存知のように、伊集院さんは小説家ですが、『大人の流儀』のような辛口エッセーも書いています。
「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から
伊集院 静の言葉 1 (64)
サハラからスペイン領のカナリア諸島、パリでの撮影……と強行軍の撮影を無事にやってくれました。一ヵ月が過ぎると顔が変わっていましたね。
人の注目を浴びることでの変化というか、おそらく本来内に潜んでいたものが表出しはじめたんでしょうね。最後はフランス”ヴォーグ誌”の表紙になって撮影してもヨーロッパの一流のモデルと比べても遜色ありませんでしたから。
「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から
伊集院 静の言葉 2 (65)
夏目雅子になってからは、それは驚くほどの勢いでスターダムに昇って行くのを応援しながら見ていました。再会したのは一年後くらいでしたが、今はなくなりましたが六本木の狸穴にある蕎麦屋でした。その店で私がかなり酒を飲んで帰ろうとしたら店の女将が駐車場まできて、飲んで運転しては困るから車は置いて行ってくれと言うんです。あの頃、飲んでも平気で運転する人が多かったんです。すると彼女が女将に、私が運転しますからと言い出して送ってくれたんです。免許はあるんですかと訊くと、ないと言われてびっくりしました。でもお父さんの車を内緒で運転したことがあるって。その時、彼女少し痩せていて顔色もよくなかったんです。大丈夫ですかと訊くと、連絡するのでまた蕎麦屋に連れて行って下さいと言われました。
「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から
伊集院 静の言葉 3 (66)
それから半年位してまた再会しました。もう女優さんでした。それでもスター振ったところがぜんぜんなくてパリで逢った頃と同じでした。私は結婚していましたし子供もいましたからつき合うということはまるで頭にありませんでした。当時、彼女は横浜の山手の大きな邸宅に住んでいました。
出典元
『大人の流儀 1』
2011年3月18日第1刷発行
2011年7月14日第11刷発行
講談社
✒ 編集後記
『大人の流儀』は手元に1~10巻あります。今後も出版されることでしょう。出版されればまた入手します。
伊集院静氏は2020年1月にくも膜下出血で入院され大変心配されましたが、リハビリがうまくいき、その後退院し、執筆を再開しています。
伊集院氏は作家にして随筆家でもあるので、我々一般人とは異なり、物事を少し遠くから眺め、「物事の本質はここにあり」と見抜き、それに相応しい言葉を紡いでいます。
🔷 『大人の流儀 1』の最後の章「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」についてお伝えします。
しばらく続きます。
やはり、運命だったのでしょう。最初は仕事上で出逢い、その後二度再会するということは……。
夏目雅子さんのことで思い出すことがあります。夏目さんは本名は小達雅子さんです。
小達雅子さんのお兄さんと、一世を風靡した、元キャンディーズのスーちゃんこと、田中好子さんが結婚したことです。夏目雅子さんと田中好子さんは姉妹のように仲が良かったそうです。
そして、これも運命なのでしょう。何と、田中好子さんも癌でなくなったのです。2011年のことでした。
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🔶 伊集院静氏の言葉は、軽妙にして本質を見抜いたものです。随筆家としても小説家としても一流であることを示していると私は考えています。
<著者略歴 『大人の流儀』から>
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。
91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。
作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』などを手がけている。
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![藤巻 隆](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71125230/profile_41e0fc7128adbeae646dbc6dcf9ce0c0.jpg?width=600&crop=1:1,smart)