大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(8)
『ロウアーミドルの衝撃』(8)
「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。
しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。
派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。
そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。
現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
アメリカではディスカウントストアが自ら、その商品が世界でもっとも質が良く、なおかつもっとも安いところをリサーチし、直接調達してくる仕組みを作り上げている
収入が減り、負担が増え続ける生活者自身こそがすぐにでも意識を改革し、人生の戦略を立て直さなければならないのである
年功序列でしだいに地位も給料も上がるという前提が崩れ、「もしかすると一生、今のままロウアーミドルで終わってしまうかもしれない」という不安に苛なまれているのである
➳ 編集後記
ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 グローバル企業の多くは、原材料や部品は世界中で最も安いところから調達することは常識になっています。
マクドナルドは、例えばマックポテトの原材料を世界最低価格を提示する企業を選び出すシステムを稼働させています。
実際のところ、ハンバーガーよりマックポテトのほうが儲かるのです。セット価格にする意味はそこにあります。
話は変わりますが、「茹でガエル」になってはいけません。
ぬるま湯につかっていると、気持ちが良いため、周囲の環境が変化していることに気づかず、気づいた時には手遅れになり、茹で上がってしまう、という状況を示しています。
私は、「タコツボ」現象ではないかと思っています。
外界との関わりを絶ち、自分が属する組織の人間としか付き合わないことを言います。
発想が似通ってきて、新しい視点や発想が生まれにくくなってきます。
そうした状況が続くと、企業や組織は活力を失い、衰退へと向かっていきます。
異文化や異業種、異なる発想の人たちと意識的に接することを心がけることで、「茹でガエル現象」や「タコツボ現象」を食い止めることができます。
⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。
世界のビッグマック価格ランキング
2022年2月5日更新のデータです。
USドルベースで円換算した、ビッグマック価格の世界ランキングです。
1位(つまり最も高い)はスイスで6.98(USドル 以下同様)=804(円 以下同様)です。
以下、2位はノルウェーで6.39=737で、3位はアメリカで5.81=669です。
日本は33位で3.38=390です。
ちなみに中国は26位で3.83=442で、韓国は27位で3.82=440です。
つまり、ビッグマックは中国や韓国のほうが日本より高いということです。
ロシアは57位でなんと(!)1.74=201です! 日本のほぼ半額です。
対象国が57なので、この中でビッグマック価格はロシアが最も安いことになります。予想外でした。
企業の成長を止める「ゆでガエル理論」とは?
大きな変化が起きる前には必ず小さな予兆があります。その予兆に気づくことがゆでガエルになることを防ぎます。マンネリ化が主因となることが多いでしょう。
「脱皮できない蛇は死ぬ」という言葉もあります。変化できないこと、変化を拒否することは成長を止める行為です。成長できなければ後退するしかありません。
成長を止めるということは、自ら死を選択することに等しいと言っても過言ではないでしょう。
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-28 20:18:57)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]、高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。