『お金の流れが変わった!』(4)
『お金の流れが変わった!』(4)
新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷
<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか
第2章 お金の流れが変わった!
Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児
第3章 21世紀の新パラダイムと日本
Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
Ⅰ新興国で成功するための発想
Ⅱ日本経済再成長の処方箋
今日(2012年6月26日)午後1時から衆議院で「社会保障と税の一体改革関連法案」の採決が始まりました。
与党民主党内で、この法案の賛否で決定的な分裂が起こっています。
民主党(野田政権)は自民党、公明党との3党合意に基づき、「社会保障と税の一体改革法案」の採択を推進していく一方、小沢元代表を支持するマニフェスト違反の「消費増税」に反対する立場を崩さず、双方の動向が注視されていました。
結論は、テレビ報道のとおりです。
賛成378票、反対84票、計462票。
賛成多数で可決されました。
反対が予想を大きく下回りました。
鳩山由紀夫元首相は、数日前まで反対を表明していましたが、フタを開けると賛成票を投じました。
言行不一致とはこのことを言うのでしょう。
先日、ギリシャについでスペインも、EUから最大10兆円規模の金融支援を
受けることが決定しました。
これでユーロ危機は終息するのでしょうか?
ポルトガルやイタリアも危機に瀕している、と言われています。
ギリシャにしても、緊縮財政を条件にEUからの支援を取り付けたわけですが、今後も紆余曲折が予想されます。
最終的には、ギリシャはユーロから脱退せざるをえないのではないか、と思います。
さて、ユーロ危機を予言した学者がいます。
浜矩子同志社大学大学院教授です。
下記の本を読むとユーロ危機の背景がよくわかります。
第2章 お金の流れが変わった!
ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
では、本題に戻りましょう。
大前氏はユーロは今後どのような方向へ進んでいくと考えているのか。
こうした状況で、ユーロ圏はどのような対策を講じるべきなのでしょうか?
この回答の一つは次のことです。
リーマン・ショック以後、ヘッジファンドにしてやられつづけている欧州中央銀行は、きちんと対策を立てて二度と同じ轍を踏んではならない
上記記事は2012年6月22日のものです。
3年間で、原油関連で大きな変化がありました。
OPECの原油が値下がりしたのです。
一時、1バーレル当たり、130ドルを超えていた原油が、50ドル程度に大幅に値下がりしました。
それまでは、OPECは減産することで高価格を維持することが可能でした。
ところが、米国でシェールガスが発見され、採掘されることになると、米国は一気にOPECを凌ぐ、石油産出国に躍り出ました。シェールガスはOPECの原油よりも安いのです。競争力があります。
WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)
原油先物(WTI)価格の推移をグラフ化してみる(2015年)(最新)
Garbage NEWS.com から
WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)
原油先物(WTI)価格の推移をグラフ化してみる(2015年)(最新)
Garbage NEWS.com から
*WTI:原油先物(WTI、アメリカ南部などで産出される
原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト
(West Texas Intermediate)の先物価格
米国は自動車社会です。国民はシェールガスが発見されたことで、燃費を気にせずにクルマに乗ることができる、と期待しました。
もちろん、日本をはじめ、ドイツなどは化石燃料からの転換を図るべく、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)への開発でしのぎを削っています。
米国でも、イーロン・マスクCEO率いるテスラ・モーターズがEVを開発しました。日本各地に充電設備を建設ことを発表しました。
トヨタ自動車は燃料電池車(Fuel Cell Vehicle、FCV)の開発を推進しています。具体的には水素自動車です。究極のゼロ・エミッション(排出ゼロ)と言えます。
しかも、トヨタは1社だけで事業化しても、世界的に見て、あまり効果が期待できないと判断し、特許をすべて無償で公開しました。
どの自動車メーカーでも作ることが可能になりました。
普及促進のための選択でした。当然、リスク分散の意味もあります。
世の中の変化は速く、激しいものです。
昨日までグローバル・スタンダードだった世界が、今日の世界は全く異なることが現実化しています。
この傾向にますます拍車がかかることでしょう。
トップの決断の速さが事業の、企業の命運を左右する時代になったと言えます。後出しジャンケンや、やり直しは通用しません。
洞察力と資金力そして決断力が、カギを握るでしょう。
➳ 編集後記
『お金の流れが変わった!』という本について
『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。
時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。
経営資源
経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。
はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?
それは「流れ」です。
人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
現在になり、過去になります。
私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。
✅ 今日の世界の自動車業界は、EVへの移行が加速しています。
今や世界の自動車業界を牽引しているのは、イーロン・マスク氏が率いるテスラモーターズ(以下、テスラ)です。
テスラのクルマの生産台数、販売台数はトヨタよりはるかに少ないですが、テスラの株式時価総額はトヨタの約3.8倍です(2022年3月17日現在)。
このウェブサイトから重要なポイントを抜粋します。
EVの課題は自動運転と強力なバッテリーの供給体制の確立だ、と私は考えています。
テスラに対抗するトヨタの動向が注目されます。
私が考える大前研一氏の考え方
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。
しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。
構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。
どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。
それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。
時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。
そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。
⭐ 関連書籍
🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。
🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。
大前研一オフィシャルウェブ
このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-06-12 15:05:28)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。
⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。