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『お金の流れが変わった!』(3)

『お金の流れが変わった!』(3)

新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷


<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界

 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋


メキシコで開催されたG20が閉幕し、野田首相は今日(6月20日)帰国しました。

国際舞台でも税制改革を公約し、現政権が責任を果たすことを明言しました。

民主党内での政策論争が解決していない中で、民主・自民・公明3党合意をもって強引に消費増税を推し進めていくのでしょうか?

「社会保障と税の一体改革」は、またもやお題目に過ぎなかった、ということなのでしょうか?

そうだとすれば、国民に対する裏切り行為と言われても仕方がありません。

それでなくとも、民主党が自民党から政権を奪還した際にマニフェスト(政権公約)に消費税増税は書かれていません。

「議員定数削減」や「公務員の人件費削減」、「1票の格差是正」には全く手を付けず、すべて先送りしようとしています。

前与党自民党の政策と何ら変わりません。


以前、私が読んだ本の中で、大前研一氏は「自民党Aと自民党B」という表現をしていました。

民主党は自民党から独立した党ですから何をか言わんや、ということです。言い得て妙です

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界

この本のタイトルになっている『お金の流れが変わった!』から大前氏の鋭い指摘を見てみることにしましょう。

「ホームレス・マネー」とは何なのか? 

このマネーの問題点は?

どう対応したらいいのか?

こうした点に注意しながら読んでいきましょう。


ホームレス・マネーとは、投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任きわまりないお金のことだ。

その額は、最盛期には約6000兆円にまで上ったが、リーマン・ショックで各国の株式市場が軒並み暴落し半減。

現在は約4000兆円にまで回復している。

 (中略)

ホームレス・マネーはウォール街の(一部はロンドン、エディンバラ、シンガポール、香港などにも分散)、わずか600人ほどのファンドマネジャーによって組織的に運用されている。

運用といってもそのじつは、アセット・アロケーション理論に基づいてプログラム売買するにすぎない。

いわば彼らは巨額の資金を使ってマネーゲームに興じているのである。

(中略)

21世紀の世界経済は、ホームレス・マネーという神出鬼没の巨大なカネに翻弄(ほんろう)されざるをえなくなった。

もはやマクロ経済政策は旧世紀の遺物といっても過言ではない。

国家はもとより、企業も個人も、このカネの性質と流れを正確にとらえなければ、一夜にして泣きを見ることになるのである。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 1 〈498〉               
                             
            

ホームレス・マネーについて、次回以降もじっくり大前氏の考え方を見ていくことにしましょう。

上記記事は2012年6月20日のものです。


大前氏の本を読んでいつも感じることは、物事の本質を的確に見通す目です。

なぜ、大前氏はこのような鋭い目を持っているのでしょうか?

私が考えたことは次のとおりです。
大前氏の経歴を振り返ってみることが鍵です。

大前氏は評論家ではありません。
まず、この点に留意するべきでしょう。

大前氏は、経営コンサルティングファームとして、世界最高と言われる
米マッキンゼー・アンド・カンパニーの本社常務を歴任するなど、頭がキレる人物であることは言うまでもありません。

早稲田大学理工学部を卒業後、東京工業大学大学院に進み、修士を取得し、日立製作所に入社しました。

日立製作所に勤務していた時に、MIT(マサチューセッツ工科大学)に留学し、原子力工学の博士号を取得しています。

日立製作所時代には、高速増殖炉もんじゅの設計をしていたそうです。ですから原発の危険性を熟知しています。

その後、日立製作所を退社し、米マッキンゼーに転職しました。原子力工学の技師から経営コンサルタントへの華麗な転身でした。

マッキンゼーに勤務して数年して、30代になって初めて書いた本が、
『企業参謀』です。

この本は、現在、講談社文庫に入っていますが、まさに超一流の経営コンサルタントならではの、ものの考え方を独自の切り口で語っています。

この本は、その後、英訳され海外で出版され、米国の大学でテキストとして使われたそうです。

名著だと思います。

大前氏は、年齢が私より一回り(12歳)上です。

私が『企業参謀』を読んだのは30歳頃でしたから、大前氏は40代になっていました。その頃には大前氏はすでに著名人でした。

この本のベースになっていることもそうですが、大前氏は机上の空論を並べるのではなく、疑問が湧いたら、現地に足を運び、自分の五感をフルに使って徹底的に調べます。

その上で、ロジックを駆使して、独自の考え方を構築します。他人が書いた本を読んで分かった気には、決してならないのです。

私はその気になってしまうことが、多々ありますが(苦笑)。

事実を見て、徹底的に考えて、自分の考え方を提示します。

大前氏の本を読むとよく分かりますが、他の人が書いたような内容の本は、ほとんどありません。

大前氏は「自調自考自働(自分で調べ、自分で考え、自ら働き、他人に働きかける)」の人です。

自調自考自働


なかなか実行することは難しいですが、大前氏を手本にしています。

今までに何度も書いていますが、大前氏は、私にとってメンター(師匠)であり、グル(思想的指導者)です。

この気持ちは一生変わらないでしょう。



➳ 編集後記

『お金の流れが変わった!』という本について

『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。

時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。

経営資源

経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。

はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?

それは「流れ」です。

人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
 時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
 現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
 現在になり、過去になります。

私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。


私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-06-11 15:50:26)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。















⭐ 私のマガジン (2022.09.07現在)




















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藤巻 隆
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