
ビットコイン 国家に突きつけた挑戦状2014.04.21 Vol.69 1/2 2014-05-27 13:56:37
日経ビジネスの特集記事 Vol.69
ビットコイン 国家に突きつけた挑戦状2014.04.21 Vol.69 1/2 2014-05-27 13:56:37
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
今週号の特集記事のテーマは
仮想通貨「ビットコイン」を普及させているのは、既存の金融制度に欠陥があるからだ
ということです。

「ビットコイン」と聞くと、すぐに思い出されるのは、
東京・渋谷のマウントゴックスという怪しい会社が倒産し、ビットコインなる仮想通貨の存在が世に広まった。
p.024
ことです。
マウントゴックスのCEO(最高経営責任者)は、「何者かにサーバーに侵入され、ビットコインを盗まれた」というような説明だった、と思います。
被害にあった人の中には、数千万円に達する損失を被ったとのことです。
この記事を読むまで、「ビットコインは仮想通貨の1つにすぎない」ということを知りませんでした。
さらに、「ビットコイン」を容認/黙認する国と反対する国、様子見の国の3つに分かれていることも、知りませんでした。
今日(2014.04.24)、オバマ米国大統領が大統領専用機・エアーフォースワンで来日しました。
米国はビットコインの容認派に属しています。
ビットコインは通貨ではなく「資産」
3月25日、日本の国税庁に当たる米内国歳入庁(IRS)が公表した仮想通貨に対する税務指針に、米国のビットコイン関係者は一様に胸をなで下ろした。
IRSはビットコインは通貨ではなく「資産」と見なし、株や債券と同様に譲渡益に課税する方針を示した。
p.026
この方針はどういう意味なのでしょうか?
「課税をするということは、その存在を正式に認めたということ」
「課税をするということは、その存在を正式に認めたということ」。
ビットコインに詳しいデロイトトーマスコンサルティングの荻生泰之・執行役員はこう説明する。
「ビットコインの普及はやむなし。ならば関連規制の整備や取引を捕捉する仕組み作りを急いだ方がよい」。
そんな米国の決断は、各国のビットコイン対策に少なからず影響を与えそうだ。
p.026
では、日本の対応はどうでしょうか?
日本は新しい問題が起こると、いつも同様な対応しかできません。様子見です。そのため「後手に回っている」(p.026)のです。
オバマ大統領が来日し、日米両国の閣僚会議が東京で開催されます。
その中心議題は「TPP(環太平洋経済連携協定)」「ロシアによるウクライナ侵攻」「日中韓に横たわる領土問題の早期決着」の3つになるでしょう。
とりわけ、「TPP」は、米国にとって早急に、日本に認めさせたい課題です。米国に押し切られてしまう結果になりそうな状況です。
さて、話を戻します。
ビットコインの最大取引量を誇る国がどこかを知り、なるほどと思いました。
それは中国です。中国は、今では世界一の米国債保有国です。以前、日本が世界一でしたが中国にとって代わりました。
01 動揺する国家 VS 躍動する個人
ビットコインの黙認/容認、様子見/グレー、違法/禁止の3つに属する国は下の図表のとおりです。
黙認/ 米国・英国・ドイツ・カナダ・ノルウェー
容認 シンガポール・スウェーデン・ブラジル
タイ
様子見/ キプロス・インド・日本
グレー
違法/禁止 中国・ロシア

この図表をご覧になってお分かりのように、「主要国ではっきり違法と打ち出している国は中国以外はロシアだけなのが現状」です。
国家としては、中央政府に管理されない通貨を受け入れられるものではありません。
一番大きな問題は、通貨の流通を捕捉できず、徴税できないことです。金融政策も打てなくなります。
ビットコインは地域によっては急速に浸透し始めている
国家権力の及ばない仮想通貨などなくなってもらいたい。それが多くの国のホンネだ。
だが現実にはそうした国家の思惑をよそにビットコインは地域によっては急速に浸透し始めている。
p.028

ビットコインで特徴的なことは、「採掘者」の存在です。
実は、「採掘者」がいないとビットコインの仕組みは成り立たないのです。
「採掘」について、日経ビジネスの解説を読んでみましょう。
採掘とは、ビットコインの最大の利点である手数料の安さを支える重要な仕組み
採掘とは、ビットコインの最大の利点である手数料の安さを支える重要な仕組みである。
ビットコインの取引では採掘者が安全を担保するので、利用者の負担する手数料は極めて低い。
採掘者が進んで信頼性を確かめる作業に協力するのは、報酬としてビットコインを無償で受け取れる仕組みがあるからだ。
p.028
旨味がなければ、誰もやらない、ということですね。
マウントゴックスの破綻のようなリスクと常に背中合わせの「投機」であっても、一獲千金を狙う人たちが集まってくるのは、自然な流れと言えます。
ビットコインに関連した産業が広がっているそうです。
ビットコイン関連のセキュリティーや情報提供、規制対応サービスなども登場
ビットコイン産業の幅は広い。欧米では既にビットコイン関連のセキュリティーや情報提供、規制対応サービスなども登場した。
p.030
世界には、銀行口座やクレジットカードさえ未発達な国が多く残されています。
アフリカや南米、アジアでは、銀行口座やクレジットカードさえ未発達な国が多く残されている。
ビットコインは、そうした国々にとって金融取引を促すインフラの役割を果たす。
p.031
ビットコインの1日当たりの取引高が気になりませんか?
なりますよね? 現状は下記のとおりです。
多いのか少ないのか、何とも判断することは難しいです。
流動性がどうなのか、という点に疑問が残ります。
ビットコインの1日当たりの取引件数は約6万5000件と、2012年当時の2倍になった。
仮想通貨の登場に動揺する国家を横目に、ビットコインは静かに世界を覆い始めている。
p.031
ビットコインの取引の仕組みを説明します。
1 台帳に載せる取引のデータを作成する
2 多数の採掘者が難しい数式の計算を競う
3 誰かが数式を解くのに成功すると晴れて取引が承認される
これだけでは、何のことだか分からないと思いますので、補足説明します。日経ビジネスの解説から引用します。
図表と合わせてご覧ください。

ビットコインは、ネット上に分散して置かれた“ブロックチェーン”と呼ばれる巨大な「台帳」を使う。ここにはビットコインが誕生して以来、「誰がどんな取引をしたか」がすべて記録されている。
この台帳の信頼性をネットワークの参加者全員で確認することで、不正使用を防いでいる。(図表の1)
重要になるのが、「採掘(マイニング)」と呼ぶ作業だ。
取引データが公開されると、同じ時間帯に提出された他の多数の取引とまとめて「ブロック」が作られる。その上で、採掘者と呼ばれるネット上の参加者が、コンピューターを使ってある数式の計算を競う。(図表の2)
この算式が解けた時点で初めて、取引データを含むブロックが晴れて台帳に書き加えられる。
採掘が済んで、ある取引が承認されるまでには、毎回約10分かかる。(図表の3)
ここでのポイントは、台帳には過去の採掘で得られた計算式を解いた結果が数珠つなぎのように含まれていることだ。
取引データを改ざんするには、膨大な量の採掘作業をやり直さなければならず、事実上不可能なのだ。
ビットコインの仕組みは、採掘者がいなければ成立しない。そこで、最初に計算式の答えを見つけた人には新しいビットコインが報酬として割り当てられる。
pp.030-1
ビットコインの仕組みがおおまかに理解できましたでしょうか?
こうした仕組みであることは理解できても、「あるもの」を盗まれると、マウントゴックス同様の事件に巻き込まれることになります。
その「あるもの」とは?
次回は、その謎を含め、
「02 普及の流れは不可逆的」
をお伝えします。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-05-27 13:56:37)のものです。加筆修正してあります。
2023年になってからは、ビットコインを含む仮想通貨もしくは暗号通貨(cryptocurrency)の話題は少なくなってきたと感じています。
今最も注目されているのは ChatGPT を含むAI関連の話題です。
一時、「ビットコインで数億円稼いだ」などとメディアで騒がれた時期がありましたが、乱高下するため、莫大な損失を出し、中には破産した人もいたようです。
日経ビジネスがこの特集記事を扱った当時は、ビットコインを巡る投機(投資ではない)は異常にヒートアップしていたと思います。
当然のことですが、よく解らないものには手を出さないことが賢明です。
クリエイターのページ
日経ビジネスの特集記事(バックナンバー)
日経ビジネスの特集記事
日経ビジネスのインタビュー(バックナンバー)
いいなと思ったら応援しよう!
