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【大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉 Vol.4】
大人の流儀
伊集院 静さんの『大人の流儀』から心に響く言葉をご紹介します。私は現在『大人の流儀』1~10巻を持っています。このうちの第1巻から心に響く言葉を毎回3件ずつご紹介していこうと考えています。全巻を同様に扱います。
時には、厳しい言葉で私たちを叱咤激励することがあります。反発する気持ちをぐっと堪え、なぜ伊集院さんはこのように言ったのだろうか、と考えてみてください。しばらく考えたあとで、腑に落ちることが多いと感じるはずです。
帯に自筆で「ちゃんとした大人になりたければこの本を読みなさい」と記しています。
ご存知のように、伊集院さんは小説家ですが、『大人の流儀』のような辛口エッセーも書いています。
出典元
『大人の流儀 1』
2011年3月18日第1刷発行
2011年7月14日第11刷発行
講談社
「大人の仕事とは、なんぞや」から
伊集院 静の言葉 1(10)
企業は十年、二十年の単位で計るものではない。五十年でようやくと言っても過言ではなかろう。それほど大変な集合体だ。
ただ金を儲けるだけが目的なら企業とは呼べない。企業の素晴らしい点はそこで働く人々の人生も背負っていることだ。当然人々には家族があり、そこには未来が(子供たちのことと考えてもらっていい)かがやいている。それらのものをすべてかかえ、なおかつ企業は社会をゆたかにし、人々に何かの貢献をしていかなくてはならない。若い人たちは給与で企業を判断するが、己の半生を預け、そこで懸命に働くことが人間形成につながるかということこそ肝心なのだ。
「人が人を信じるということ」から
伊集院 静の言葉 2(11)
上京し、身体を壊わし、夢が失せ、彷徨する日々の中で自分が最後まで望みを捨てなかったのは、両親とM野先生のお陰である。
M野先生が退職され、癌を患われた。
伊集院 静の言葉 3(12)
先生の葬儀の夜は雨であったという。私はヨーロッパにいた。
当時を知るタクシーの運転手が言った。
「こんなちいさな町で葬儀の列がずっと絶えなかったのは初めて見ました」
M野先生を送った梅原猛の一文に、M野君は学問と芸術を愛する心が甚だ深く、教師として誠実な一生を送られた、とある。
何人もの教え子に人間として何が一番大切かを教えてくれた人が日本中にいるのだろう。
✒ 編集後記
『大人の流儀』は手元に1~10巻あります。今後も出版されることでしょう。出版されればまた入手します。
伊集院静氏は2020年1月にくも膜下出血で入院され大変心配されましたが、リハビリがうまくいき、その後退院し、執筆を再開しています。
伊集院氏は作家にして随筆家でもあるので、我々一般人とは異なり、物事を少し遠くから眺め、「物事の本質はここにあり」と見抜き、それに相応しい言葉を紡いでいます。
企業を長期的視線で見ることは、たいへん重要です。
ただし、日経ビジネスが「企業の寿命は30年」という指摘は無視できません。創業してから30年程度で倒産してしまう企業が多いのです。
その一方で、創業1000年以上の企業が7社(2019年12月現在)もあることは驚異的です。
(「創業1000年以上が7社も!?日本で一番古い会社ってどこ!?」から)
伊集院静氏の言葉は、軽妙にして本質を見抜いたものです。随筆家としても小説家としても一流であることを示していると私は考えています。
<著者略歴 『大人の流儀』から>
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。
91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。
作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』などを手がけている。
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