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大前研一 名言集 『サラリーマン再起動マニュアル』(01)

『サラリーマン再起動マニュアル』(01)

今回から『サラリーマン再起動マニュアル』から名言を取り上げます。

大前研一氏は、私にとってメンター(師匠)であり、グールー(思想的指導者)の存在でもあります。

大前氏の著作を読んでいつも感じるのは、物事の本質を捉える、ずば抜けた能力です。

凡人である私は大前氏の足元にも及びませんが、不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、と思っています。


『サラリーマン再起動マニュアル』

目次
 [イントロダクション]志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない

 第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?

 第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動

 第3章[実践編]「中年総合力」を身につける

 第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件

 第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

 [エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある


 

永守社長は1973年に28歳の若さで日本電産を設立し、創業わずか15年目で株式上場を果たしたやり手経営者だ

このタイプの創業経営者は常にスケジュールが埋まっていないと不安になり、休みらしい休みを取らないという共通点がある

永守社長は1973年に28歳の若さで日本電産を設立し、創業わずか15年目で株式上場を果たしたやり手経営者だ

「情熱・熱意・執念」「知的ハードワーク」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の3大精神と整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)・作法の「6S」に集約される独自の経営哲学を持ち、今も自らトイレ掃除をしている。

京都の本社ビルの立派なロビーの一角には、創業当時の小さな町工場がそのまま再現され、草創期の苦労を今に伝えている。

このタイプの創業経営者は常にスケジュールが埋まっていないと不安になり、休みらしい休みを取らないという共通点がある

だから「ゆっくりしたい人は、ほかの会社に行ったらいい」という言葉は、実は自分自身に言い聞かせているのではないかと思う。

『サラリーマン再起動マニュアル』 大前研一の名言 1 〈445〉              
             
                             
                                                      

こうした指摘は、私にとっても耳の痛いことです。
甘さがあると指摘されたら、「そのとおりです」と答える他はありません。

と同時に、名経営者と云われる人たちは「率先垂範し、言行一致している」ということが分かります。

永守重信さんは名経営者として著名な人物です。
その永守さんも京セラの創業者、稲盛和夫さんが主宰する「盛和塾」の会員の一人でした。

稲盛さんと酒を酌み交わし、白熱した議論を重ね、今の日本電産の礎を築いたのです。

『日経ビジネス』(2014.08.25)に、永守さんと日本電産に関する記事が掲載されました。

「永守氏が仰天人事で企む“脱皮”」という記事です。
その一部を引用してご紹介しましょう。

大きな注目を集めた元シャープ社長、片山幹雄氏(現・同社フェロー=技術顧問)の日本電産副会長への転身劇。その狙いは何か。

「永守重信社長が将来、会長に退いた後に備えた経営陣の強化」「技術力の底上げ」など、様々な見方がこれまでささやかれてきたが、実はそこには10年先を見据えた永守社長の深謀遠慮があった。

日経ビジネス 永守氏が仰天人事で企む“脱皮”                                                   
p.12                                            
   



次の記事は、永守さんへのインタビューの一部です。
今回の人事の真意を率直に語っています。

元シャープ社長の片山幹雄氏を日本電産の副会長に招いたことでいろいろな見方が交錯しているようだが、理由の1つ目は、技術者であること。

そして2つ目は、売上高が兆円規模の企業のトップだったこと。そして第3に、大きな挫折を経験していることだ。

良い経営者に生るためには、何度もジャッジ(決断)を繰り返すと同時に挫折の経験をすることが必要だと思う。

片山氏は、自身が技術のトップとして知り尽くした分野で積極投資し、中国・韓国などアジアの新興企業との戦いに敗れ、危機に見舞われるという 大きな挫折を経験された。

そういう人間は再起のチャンスが巡ってくれば、同じ失敗をしないし、並々ならぬガッツで勝ち抜くものだ。

私が将来、CEO(最高経営責任者)を退いた後は集団指導体制に移行することになるだろうが、「集団指導体制=スピード感がない」と単純に結びつけるのは誤りだ。

将来、創業経営者である私が引退する頃には、日本電産の規模や取り扱う製品分野は今より格段に大きく、広くなっている。

その時、(経営陣が)製品とマーケットごとに戦略単位として適切に役割を分担して見ていれば、経営判断のスピードは維持できるのではないか。

日経ビジネス 永守氏が仰天人事で企む“脱皮”                                                 
 p.13                                                  

                                               


永守さんは、社内の人材にないものを片山さんに見い出し、弱い部分を補完し、日本電産の強さをさらに強化していく方針を明確に打ち出した、と私は考えています。

尚、永守さんは、『日経ビジネス』の「賢人の警鐘」というコラムを、出口治明、丹羽宇一郎、ビル・エモット、古森重隆、鎌田實、坂根正弘、川淵三郎各氏と一週ごとに交代で執筆しています。




➳ 編集後記

サラリーマン再起動マニュアルはタイトルから推測すると、マニュアル本のように感じられたかも知れませんが、いわゆるマニュアル本ではありません。

私たちが身につけるべき、本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている普遍性のある本です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。



🔷 「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」

永守重信会長兼CEOは日本電産(東証プライム)の創業者です。
この言葉は特に有名です。

永守さんの経済予測は当たる確率が高く、株式市場関係者にも影響を及ぼしています。

永守さんが実践してきたことをそのまま言葉で表したものです。説得力があります。

日本電産株式会社(東証プライム 6594)

時価総額は約5兆5000億円です(2022.07.15現在)。

⭐ 出典元: Yahoo! ファイナンス 日本電産(6594)




⭐ 参考データ

大前研一「カリスマ経営者ほど、なぜ後継者選びが難しいのか」


後継者選びは難しいということを物語るエピソードです。

「2022年6月17日に開かれた日本電産の株主総会が話題になった。創業者の永守重信会長が、同席した関潤社長について『社長はまだ見習い。いま一生懸命教えている』と語ったというのだ」

「優秀な経営者ほど、自分と比較して物足りなさを感じ、新社長を解任して自分が復帰しがちだ」

「会長に退きながらも実権を握り、すぐ表舞台に戻れる状態は『回転ドア』のようだ。オリックスの宮内義彦氏、ファーストリテイリングの柳井正氏、スズキの鈴木修氏、キヤノンの御手洗冨士夫氏、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄氏など、多くの経営者が『回転ドア』を用いてきた」

「1970年代後半、私が30代の頃だが、オムロン創業者の立石一真氏と事業継承についてよく話した。立石氏は70代半ばだったから、『早く後継者を決めて社長を譲りなさい』とたびたびアドバイスした。立石氏は『私は1日に数百枚の稟議書を決裁している。別の人なら5日で1件が精一杯だ。私が社長のほうが効率がいい』という」

そこで、大前氏はアメリカ人の奥さんに車の運転をマスターするためのアドバイスをしたそうです。中古車の修理代を一定額まで許可するので頑張ってみようと。そのアドバイスが功を奏し、マスターできたそうです。

立石一真氏にその経験を話したそうです。

「『後継者の育成も同じです。はじめに何億円までは失敗しても許すと上限を示してから、横について見守る。そのうち居眠りできるようになりますよ』と説明した。そして立石氏はようやく決意を固め、79年に長男の孝雄さんに社長を引き継いだ」

「後継者育成は、経営者の忍耐力が試される。名経営者ゆえの試練なのだ」

後継が上手くいったのはホンダ(本田技研工業)のケースです。

「世継ぎがうまくいくのは、名経営者がスパッと辞めたケースで、本田宗一郎氏が代表だろう。本田氏はホンダ創業25年の73年に、副社長の藤沢武夫氏と一緒に引退した。本田氏が技術部門、藤沢氏が管理部門という二人三脚のまま会社を去り、世襲もなかった」

大前氏は創業したビジネス・ブレークスルー(BBT)の後継者選びについて語っています。

「わが身を振り返れば、ビジネス・ブレークスルー(BBT)は、現社長の柴田いわおが今では日本トップクラスのバイリンガル・スクール事業を強力に進めるなど多くの分野で頑張っている。彼は人の話をよく聞くし、なるべくコンセンサス(合意)で物事を前に進めようとする。時々私が何か言うときに、むしろ重荷を感じるくらいだ。さらに、副社長の政元竜彦はCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)で、あらゆる経営者に目を光らせていて、面白い人がいるとすぐにコンテンツ化してくれる」

大前氏には二人の息子さんがいますが、事業を興しているので世襲はないと述べています。

「私は『企業参謀』以来500点以上の内外での出版もある。IRや株主総会で『大前がトラックにひかれたらどうなるのか?』というような質問を受けることもあるが、私の考えは克明に記録に残されているし、人材も育っている。BBTは心配には及ばない」


⭐ 出典元: PRESIDENT Online プレジデント 2022年7月29日号 2022/07/14 9:00 




🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。

大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。



🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。



大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。

⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ




大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-10-06 13:03:31)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。













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