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大前研一 名言集 『即戦力の磨き方』(23)

『即戦力の磨き方』(23)

大前研一氏のような「世界に通用する傑出した人物」は、日本だけでなく、世界でもあまりいません。

私は大前氏の足元にも及ばない、ちっぽけな存在ですが、そんな小さな私でも、少しでも役に立ちたいと熱望しています。

年齢は関係ないと思っています。

やろうとする意志と一歩踏み出す行動力ではないか、と考えます。
その2つに付け加えるとすれば正しい方向性でしょうか。

これはなかなか定めるのが難しい。

自分で正しいと判断しても、必ずしもそれが正しい針路をとっているかどうか確かめることが困難だからです。

メンター(師匠)がそばにいれば、たとえ間違った方向へ進んだとしても、謙虚な気持ちで従うならば修正は可能でしょうが。
私にとってのグル(精神的指導者)は大前研一氏です。
もちろん、大前氏はそんなことを知る由もありませんが。

以前、大前氏の下で働いていた学生の方(今では社会人として働いていることでしょう)からメールを頂いた時、身近で見た大前氏の気さくで、ユーモアあふれる人柄に触れたことを伝えてくれました。

『即戦力の磨き方』はタイトルから推測すると、ハウツー本のように感じられたかも知れませんが、ハウツー本ではありません。
私たちが身につけるべき本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている本です
 

自分の意見や主張を公の席で主張したり、他の人の発言を瞬時に理解し、そこから論を展開したりする訓練を、まったくといっていいほどしてきていない日本人留学生は、このディスカッションに参加できない

日本留学生の問題は、どうやら学力だけではないようだ。

他国の学生と比べ、「ディスカッションする力」が圧倒的に欠けているのである。

欧米のビジネススクールの授業は、たいていディスカッション中心に進められる。

ところが、自分の意見や主張を公の席で主張したり、他の人の発言を瞬時に理解し、そこから論を展開したりする訓練を、まったくといっていいほどしてきていない日本人留学生は、このディスカッションに参加できない。 

『即戦力の磨き方』 大前研一の名言 1 〈403〉                           






                             

どこの国でも、ディスカッションに必要な素地は、子どものころ家庭で養われるものなのである

日本人のディスカッション能力に必要な基礎体力が欠けている最大の原因は、家庭にあるのではないだろうか。

どこの国でも、ディスカッションに必要な素地は、子どものころ家庭で養われるものなのである

中国人は家庭での家族の会話がじつに豊富だし、インド人のディスカッション好きは、やはり家庭で鍛えられているからにほかならない。

なかでもすごいのはユダヤ人だ。彼らは家庭を、子どもが意思を言葉で伝えられるように訓練する場だと心得ているから、親子の会話といっても傍からは、まるでケンカにしか見えない。

それくらい激しいディベートを、日々の家庭生活で繰り返していれば、大人になるころには、それは逞しいディスカッション能力の持ち主になっている はずである。

『即戦力の磨き方』 大前研一の名言 2 〈404〉                             


上司が、家庭で必死になって、子どもとコミュニケーションをとろうとしているなら、それは絶対に部下との関係にも反映されてくるはずである

命令しかできない上司が、部下をうまくマネジメントできるわけがないし、子どもと同じように、部下からも避けられているだろうことは、おおよそ察しがつく。

もしその上司が、家庭で必死になって、子どもとコミュニケーションをとろうとしているなら、それは絶対に部下との関係にも反映されてくるはずである

『即戦力の磨き方』 大前研一の名言 3 〈405〉                           




➳ 編集後記

『即戦力の磨き方』はタイトルから推測すると、ハウツー本のように感じられたかも知れませんが、ハウツー本ではありません。
私たちが身につけるべき本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている本です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔷 日本人にディスカッション力が不足している原因の一つは、テレビにあると考えています。

小さい頃は、家族団らんで食事をしながらテレビを観ることが多かったでしょう。

テレビを観ている間、話をしたらテレビの音声が聞こえず、内容が分かりません。そのため、黙々と食事をしながら、テレビを観ます。

ディスカッションが生まれる余地はありません。しかも、テレビ番組制作者の都合で、情報を加工して一方的に伝えます。一種の洗脳です。

番組関係者は、視聴者は皆、中学生レベルと思っていますから、内容を単純化させ、さらにバラエティ化させ、本来のテーマから逸脱させ、内容の「刷り込み」(imprint)をします。

そうした状況で、ディスカッションが行われる可能性はほとんどない、と断言できます。

高校や大学では、教師が一方的に講義し、学生は聞いているだけの受動的な授業が中心になります。

学生は、教師が板書したことを必死になってノートに書き留めることに集中し、授業内容に疑問を感じることがほとんどありません。

教師が「ここはテストに出るよ」と言えば、生徒は考えることをせず、ただただ覚えることに専念します。

一方、教師は毎年同じ内容の講義を続けます(もちろん全員ではありません)。

とりわけ、大学では教授たちが自ら執筆した本を「教科書」として生徒に買わせ、その「教科書」の内容以外は授業中に扱いません。

教授たちは昔のままの内容を繰り返すだけで、新しいテーマに取り組むことがありません。

こうした状況下では、ディスカッションが行われる可能性は皆無です。

家庭内ではディスカッションの基本を学ぶ時間がなく、学校では一方通行の講義が行われるだけです。ここでもディスカッションが行われる環境にはありません。

そうなれば、社会に出てディスカッションができるはずがありません。ディスカッションする訓練ができていないのですから当然のことです。

ディスカッションするための前提として、普段から問題意識を持っているかが問われます。

疑問に感じたら自分で調べてみたり、じっくり考えてみるということさえ、怠ることがしばしばあります。

すると、他人と話しても相手の話をただ聞いているだけ(あるいは聞き流す)か、拒絶するかどちらかになります。

ディスカッションが行われる素地がないのです。

あなたはディスカッションできていますか?
ディスカッションできる友人はいますか?


⭐ 参考データをご紹介します。


20年後の世界はこうなる!          
大前研一氏と大前創希氏が未来のIT事情を議論


大前研一氏とご子息大前創希氏の対談です。私も初めて見ました。
親子でディスカッションしてきた経緯が分かる内容です。
知的対決と言えるでしょう。このような議論ができた家庭はそう多くないと推測しています。

一部を抜粋してお伝えします。
まず、年金問題から。

大前研一:いまの若い人はもらえないですね。1000兆の借金。このグラフはやっぱり超重要で、デモグラフィーだけは50年後までわかりますので、こんな感じですから、払う人がほとんどいなくなる。

大前創希:そうですよね、非常に怖いグラフですね。私も年金を払ってますよ、もちろん。ここでオフィシャルなんで言っておきますけれども、ちゃんと年金払っております。が、たぶん自分には来ないんだろうなと思いながら、普段生活をしております」

大前創希:そういった会話が普段行われてます。なので今日みたいな会話も、普段の中で話してたものをまとめた形の内容になってます。わりとディベート、ディスカッションの多い家庭ですね。」

『インターネット革命』に関連して。

大前創希:実は、お父さんすごいなと、私はお父さん先見の目があるなと、すごく尊敬してるんですが、なんと1995年に『インターネット革命』という本を書いてるんですね。

大前研一:その時にインターネット革命で、こんな世の中になるんじゃないの、仕事はこう変わるんじゃないのって書いたけど、30万部、この本は売れたんですね。

Googleができたのが1998年ですから。そういうことを考えてみると、1995年と2000年の間が、ものすごい大きな転換点になってたと思います」


個人が重要になってくる。
(これ以降はlogmi Bizに無料登録しないと見られません)

大前研一:そうです。これは『誰が』というポジションのついた人が言ったかじゃなくて、『何を』言ったかが非常に重要になるというコンテクストの中の話ですけれども。そうなってくると、経験とかではなくて、その情報を持っており、その知識を持っている。あるいはそのことが言える判断力のある人の意見が非常に重要になってくる。

つまり個人が、組織の中のポジション、上にいるか下にいるかではなく非常に重要になってくると。」


Before GatesとAfter Gatesで企業の成長速度は10倍違う。

大前創希:はい。もう1つ、1995年からいまを見ていくと重要なキーワード。『BG』と『AG』というのがあるんですが、これ何ですか。

大前研一:これ懐かしい言葉だね。Before GatesとAfter Gatesなんですよ。やっぱり、このおっさんが出てきて、我々、いわゆるコンピューター技術者でない人でもこういうことができるようになった。Before GatesとAfter Gatesで、企業の成長のスピードも10倍以上変わってきた。」


⭐ 出典元: logmi Biz AWS Summit Tokyo 2015




🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。



大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。

⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ




大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。








🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-08-27 22:02:10)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。












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藤巻 隆
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