大前研一 名言集 『サラリーマン再起動マニュアル』(08)
『サラリーマン再起動マニュアル』(08)
今回から『サラリーマン再起動マニュアル』から名言を取り上げます。
大前研一氏は、私にとってメンター(師匠)であり、グールー(思想的指導者)の存在でもあります。
大前氏の著作を読んでいつも感じるのは、物事の本質を捉える、ずば抜けた能力です。
凡人である私は大前氏の足元にも及びませんが、不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、と思っています。
『サラリーマン再起動マニュアル』
目次
[イントロダクション]志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない
第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?
第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動
第3章[実践編]「中年総合力」を身につける
第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件
第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ
[エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある
「時間のリストラ」のやり方・考え方というのは「企業のリストラ」と同じである
➳ 編集後記
『サラリーマン再起動マニュアル』 はタイトルから推測すると、マニュアル本のように感じられたかも知れませんが、いわゆるマニュアル本ではありません。
私たちが身につけるべき、本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている普遍性のある本です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 実行するということに関して、『経営は実行』(ラリー・ポシディ)という本に書かれていることが、参考になると思います。
戦略を考えることは大事ですが、それを実行しなければ「絵に描いた餅」にすぎません。
きわめてシンプルに「実行」する、というのが主旨です。
アイデアを出すだけではなく、実行、実行、実行あるのみ。
言い換えると、「仮説と検証」やPDCA(Plan,Do,Check and Action)と同様です。
問題となるのは、大前氏が指摘している、「超重要=緑、まあまあ重要=黄、あまり重要でない=赤」の3つに分ける基準が、明確になっていないことです。
個人レベルでも、組織レベルでも、あるいは全社レベルでも、どの事業あるい仕事が超重要なのか、優先順位がつけられなかったり、間違うことがよくあります。
明確な基準が存在しないからです。
恣意的な取り扱いをするために、超重要な案件が後回しにされることがあります。
「重要度」と「緊急度」という2つの軸で考える、とよいのではないでしょうか。
① 「重要度 大」 「緊急度 大」
② 「重要度 大」 「緊急度 小(又は中)」
③ 「重要度 小(又は中)」 「緊急度 大」
④ 「重要度 小(又は中)」 「緊急度 小(又は中)」
この4つがあります。
①を最優先に行うことは当然ですし、④は最後でよいことは誰でも分かります。
問題は②と③です。
どちらの優先順位が先かということです。
ですが、それほど簡単には結論を下せません。しかし、冷静に考えれば、②が優先順位は先になると気づきます。
重要度が大きければ、その場しのぎだけの問題解決では済まなくなるからです。
深刻な問題を引き起こしたり、解決を長引かせることもあるからです。
③は確かに、緊急度は大きいですが、重要度が小さいのであれば、全社レベルで対応するまでのことではないかもしれません。
もちろん、ケース・バイ・ケースで対処しなくてはならないことは多々ありますが。
最近のケースで、エボラ出血熱に罹患した人が、日本国内で発生したらどうするか、という深刻な問題があります。
全世界ですでに5000人以上が亡くなっている、ということですね。
これはもちろん、①ですから、感染者を大至急隔離することは当然のことです。
それ以外にするべきことは、感染者と接触したすべての人たちを感染者と同様に、
最優先で隔離することが不可欠です。
話を戻しますと、「超重要=緑、まあまあ重要=貴、あまり重要でない=赤」の3分類は基本的なことですが、前もってきちんとルールを決めておくことは、極めて重要なことです。
普段からシミュレーションしておくと、慌てずに済むと思います。
🔶 カルロス・ゴーン氏が日産自動車の社長であった当時、大前氏は唯一人(?)ゴーン氏の経営に批判的でした。
社員を解雇(日本で言うリストラ)し、部品などの供給元をほとんど総入れ替えさせ、圧力をかけて大幅値下げさせました。そのため部品メーカーは疲弊しました。
大前氏に言わせれば、人件費を削減し、部品などの原価を下げさせたために業績が急回復したように見えたのは当たり前だということでした。
短期の益出しの手段だからです。
ゴーン氏が日産に在籍中不正を行っただけでなく、レバノンに逃亡したのはご存じのとおりです。
⭐ 参考文献
🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。
🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。
大前研一オフィシャルウェブ
このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-11-01 21:19:48)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。