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堀 紘一 名言集 『リーダーシップの本質』(8)
『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』(8)
『リーダーシップの本質』(初版 2003年6月26日 ダイヤモンド社)は、堀 紘一氏が満を持して上梓した優れたビジネス書です。
略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ創業者となり東京証券取引所に上場させた、単なる経営コンサルタントではありません。
優れたビジネス書を数多く執筆しています。
リーダーシップとは、部下をうまく使う術ではなく、自然な状態にあっていかに人がなびいてくるかということを含むリーダーの在り方である
リーダーシップとは、部下をうまく使う術ではなく、自然な状態にあっていかに人がなびいてくるかということを含むリーダーの在り方である。優れたリーダーのもとにはいろいろな人が集まり、いろいろな人が意見を聞きに来る。あるいは自分の意見を述べに来る。本当のリーダーシップがあれば、人々のほうからなびいてくるのである。
そこまでのリーダーシップを持つ人が一体どのくらいいるのか、そういうことがどれだけ可能なのかと問われれば、たしかに非常に稀なことには違いない。だが、企業やその中の部、課という小さい単位でなら、構成メンバーがリーダーの言うことになびいていくという実例は、今の世の中でも決して珍しいことではないだろう。
真のリーダーには、自然に人がついてくるものだ。小細工を弄してみても、心から人を惹きつけることはできない
真のリーダーには、自然に人がついてくるものだ。小細工を弄してみても、心から人を惹きつけることはできない。こちらから働きかけるのではない以上、相手任せの不可抗力のように感じられるかもしれないが、そうではない。人が前向きの気持ちでついていきたくなるリーダーとはどういうものかを考え、学ばなければならない。
怖いリーダーと優しいリーダー、頼れるリーダーと憧れのリーダーという4つのタイプは、そのことを考える1つの糸口になるだろう。人はリーダーの何を見、何を評価してついていこうとするのか。また読者のあなた自身はどういうリーダーならついていくだろうか。
リーダーの権力は強大である。その理由は2つある。第1に、リーダーは資源分配の決定力を持っている
リーダーの権力は強大である。その理由は2つある。第1に、リーダーは資源分配の決定力を持っている。企業組織の資源とは、「人、物、金」であり、その資源をどのように配分するかを最終決定するのがリーダーである。
企業リーダーである社長が行う最高の資源配分決定は、次期社長の決定である。
ソニーなど一部の企業では、監査役制度を廃止して、取締役会の半数以上を社外取締役が占め、指名委員会によって次期社長や役員を指名し、報酬委員会によって社長、役員の報酬を決めるなどの制度が導入されている。これらの企業では、資源配分の決定力は必ずしも社長に集中していない。
これ以外の企業では、社長は、株主総会で選出された取締役が、株主総会後の取締役会で選出することになっている。しかし現実には、重要な決定を行う取締役のメンバーである次期取締役の候補を決めるのは現社長である。
次期社長も実質的には現社長が決定権を持っている。誰をいつ社長にするかの権限を持つ社長には誰も逆らえない。
✍ 編集後記
🔶 『リーダーシップの本質』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。重要な点は「本質」です。すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。
私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。
勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも予兆はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!
何歳でも、何歳からでも勉強はできます。書籍を手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。
「この本は良書だ」と思ったらその1冊の本を何度も読み返すことが重要です。
一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。
🔷 堀氏は、今回は真のリーダーとはどのような人なのか。そしてどのような権限を持っているのか、について述べています。
「リーダーの権力は強大である」と指摘しています。
昨日(2022年4月21日)、まさにそれを示現した出来事がありました。
日本電産で、CEO(最高経営責任者)の交代が決定されたのです。
詳細はリンク先をご覧いただくとしまして、概略をお伝えします。
日本電産は、永守重信会長(77)が創業した東証プライム上場の企業です。
「精密小型モーター大手。HDD用で世界首位。車載用など中大型にシフト。M&A積極的」(出典元:日本電産「株探」)
永守会長は、後継者として日産自動車から関潤氏(60)を2020年1月に迎い入れ、2021年6月にCEOに任命しました。
ところが、永守会長は株価が上昇しないことに業を煮やし(適切な表現ではないかもしれませんが)、関氏のCEOを解き、永守会長がCEOに復帰することになったのです。
永守会長は創業者であり、大株主でもあります(出典元:持株比率「株探」)。まさに、強大な権力を持つリーダーですから、CEOの交代を決定できたのです。
出典元:日本電産の経営トップに永守重信氏が返り咲き 関氏から1年足らずで Yahoo! ニュース
✔ 出典元
『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』
2003年6月26日 第1刷発行 ダイヤモンド社
✒ 堀 紘一氏の略歴
ドリームインキュベータ代表取締役社長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大学大学院経営学修士(MBA with High Distinction)。読売新聞、三菱商事、ボストンコンサルティンググループ(BCG)社長を経て、2000年にドリームインキュベータ(DI)創業。
BCG時代には、金融、ハイテク、消費財、Eコマース、中期戦略など数多くの戦略策定及び実行を支援。
『知恵は金なり』『強い会社はこうしてつくれ』『成功する頭の使い方』(PHP研究所)、『人と違うことをやれ!』『どんな「壁」でも突破できる』(三笠書房)、『挑戦! 夢があるからビジネスだ』『脱皮できない蛇は死ぬ』(プレジデント社)、『できることから始めよう!』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『21世紀の企業システム』(朝日出版社)など著書多数。
(『リーダーシップの本質』の著者紹介から)
✒ 堀 紘一氏の略歴補足
2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。
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