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欠乏経済 燃料も人も足りない 2023.02.06 3/3
日経ビジネスの特集記事 66
欠乏経済 燃料も人も足りない 2023.02.06 3/3
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
CONTENTS
PART 1 欧州、エネルギー危機直撃で凍てつく市民生活
COLUMN ロシア経済に暗雲 労働力・資本の国外流出、命綱の輸出産業にも影
COLUMN 中国、3年分のリベンジ消費 資源高への影響は薄い?
PART 2 米国、深まる移民依存「人材欠乏」が急所に
INTERVIEW 元インド中銀総裁ラグラム・ラジャン氏に聞く 「米景気後退に4つのシナリオ」
PART 3 ダイキンに続け 日本企業のお家芸、「省機」をつかむ条件
第3回は
PART 3 ダイキンに続け 日本企業のお家芸、「省機」をつかむ条件
を取り上げます。
欧米でますます深刻になっているエネルギー危機や人手不足。省エネルギーや省人化を売りにする企業にとってのチャンス=「省機」でもある。
PART 3 ダイキンに続け 日本企業のお家芸、「省機」をつかむ条件
欧州ではダイキン工業のヒートポンプ式暖房給湯器がシェアナンバーワンだそうです。
ヒートポンプ式とはどんな仕組みなのでしょうか?
ベルギーの港町オステンド。ここに、価格が急騰したガスを使わないことから欧州で需要が急増している製品の一大生産拠点がある。ダイキン工業が欧州シェア首位のヒートポンプ式暖房給湯器だ。
ヒートポンプ式は電気で冷媒を圧縮して熱を生み出して温水をつくり、暖房や給湯に用いる。欧州で主流のガスボイラー式のようにガスを使うことなく、二酸化炭素(CO2)排出量を約65%削減できる。
p. 026
ダイキン工業
ヒートポンプ式暖房給湯器
世界的に注目されている脱炭素に対する1つの回答と言えましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1694529758057-WCXKUDrdMw.png)
の生産を拡大している
欠乏経済 燃料も人も足りない 2023.02.06
ダイキンの欧州での戦いぶりを見ていくことにしましょう。
ダイキンヨーロッパの坪内俊貴社長は「欧州連合(EU)は50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を立てた。30~35年までにヒートポンプは1000万台市場になる」と、継続的なニーズの拡大を確信している。
p. 027
生産能力は8倍強へ
実際、各国政府がヒートポンプ式への補助制度を拡充している。ドイツでは省エネ改修の場合、機器と工事費の一定割合を補助。英国は省エネ改修時に5000ポンドの補助金を用意している。フランスやイタリアでもヒートポンプ式の導入には優遇が受けられる。
p. 027
欧州各国はヒートポンプ式へ補助制度を拡充し、普及させることに躍起になっています。この流れに遅れまいとして、ダイキンは生産を増強しています。
ダイキンはこうした潮流を予測し、早くから生産増強の準備を進めていた。そして22年7月、約420億円を投じ初のヒートポンプ式専用工場をポーランドに建設すると発表。同工場は24年に稼働する。他工場も含め25年度の生産能力を21年度の4倍の100万台の生産規模に引き上げる。
(中略)
30年度には欧州での生産能力を21年度比8倍強の年間210万台以上に引き上げる予定だ。研究開発も強化する。グローバルマザー機能のあるベルギーで200億円を投じ、24年に同国のゲント大学のサイエンスパーク内に新しい研究開発センターを開設する。
p. 027
![](https://assets.st-note.com/img/1694530298212-D0QFsHLTyU.png)
注目すべき点は、「欧州においてヒートポンプは、電気自動車(EV)と並ぶ、温暖化ガス削減の2大商品として扱われ始めている」(pp. 027-028)ことです。
ヒートポンプ式は日本のお家芸
ヒートポンプ式は日本のお家芸と言える分野で、パナソニックも20年代後半に生産能力を100万台程度に引き上げる。三菱電機もトルコに新工場を建設する。
p. 028
ヒートポンプ式は日本企業同士の競争が激しい製品ですね。
なぜ、欧州ではヒートポンプ式が注目され使われているのでしょうか?
冬の気温が低い欧州では暖房の故障は死活問題であり、地域に根付いたサービス体制の構築が不可欠。ネットワーク作りでは欧州勢に優位性があり、日本勢にとっては販売・サービス体制の整備が課題になりそうだ。
エネルギー消費を抑える「省エネ」と同様に、人手に頼っていた作業を効率化・自動化する「省人化」でも日本企業に大きなチャンスが巡ってきている。
p. 028
ダイキンに続けとばかり、日本企業は海外で奮闘しています。
自動化ニーズが高まっている米国の場合
インフレ抑制のため米連邦準備理事会(FRB)が実施した利上げで設備投資に慎重な姿勢を見せ始める企業も多い。そんな中、米国で売り上げを拡大する日系企業の共通点は、顧客の「かゆいところ」にピンポイントで手が届く製品やサービスを提供していることだ。
栃木県宇都宮市に本社を置くレオン自動機もそんな一社。自動でまんじゅうを製造する「包あん機」やパンの生地をシート状にしてからクロワッサンやバゲットを成形する自動機で高いシェアを持つ。
p. 028
レオン自動機
食品生産機
米国法人は2021年3月期に新型コロナウイルスの流行で売り上げが激減したが、翌年には過去最高の売上高をたたき出した。23年3月期はさらにそれを更新する見通しだ。
好調を支えたのが、顧客の人手不足を解消する機械を現場のニーズに沿って開発し、提供したことだ。
p. 029
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パンの生地を自動で成形する装置で高いシェア。
成形品をトレーに自動で並べる装置を開発した。
写真は現地法人の原田一宏社長
欠乏経済 燃料も人も足りない 2023.02.06
セブン-イレブン・ジャパン
省エネルギー店舗技術
国内でコンビニエンスストア約2万1000店舗を展開するセブン-イレブン・ジャパンで「省エネ技術を駆使した店舗システムを確立できれば、将来的には社外にも知見を共有できるかもしれない」と話すのは、建築設備本部でエネルギー分野を担う斯波康弘総括マネジャーだ。
p. 030
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店舗をより快適な空間に改善し、省エネルギーの技術を用い、社会貢献をアピールすることができます。ESG(環境・社会・企業統治)の観点からも望ましい社会の実現に一役買っていると言えそうです。
親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は店舗運営に伴うCO2排出量を50年までに実質ゼロとする目標を掲げる。照明や冷蔵庫などを効率的な機材に切り替える「省エネ」に、太陽光パネルの設置などを通じた「創エネ」、豪雪地帯などで冬の発電が難しいケースを想定した「再エネ調達」がその3本柱。
p. 030
「軽薄短小」の時代再び
「軽薄短小の衝撃」。日経ビジネスがこうしたタイトルの特集を掲載したのは1982年のことだった。70年代の2度にわたる石油危機でエネルギーや資源の調達リスクが顕在化し、消費電力や部材の使用量を抑えた製品の開発が活発になった。ソニーの携帯型オーディオ「ウォークマン」などのヒット商品が生まれ、半導体など部品や素材の進化を促した。
今再び、省エネや省人化が大きな価値を持つ「省機」が広がっている。ただ、どれだけ優れた技術やノウハウを持っていても、海外市場での成功が約束されるわけではない。
特に脱炭素の領域は各国の規制や産業政策が密接に絡み、競争も激しくなる。ハイブリッド車(HV)のように実用性と環境性能を兼ね備えていても、優遇制度から外されるといったことが起こり得る。
p. 031
日経ビジネスは、今回の特集記事の最後で次のように述べています。
ルールメーキングにも関与して大きな潮流をつかみ、社会や消費者に自らの価値をアピールしながら市場をつくっていけるかどうか。中長期での戦略と迅速な経営判断が欠乏すれば、新たな果実は得られない。
p. 031
🔷編集後記
今回は、日本企業の海外での奮闘ぶりをご紹介しました。
私たちは日本に住んでいるので、日本に関する情報は収集しようと思えば、程度によりますが、より広くより深く収集することが可能です。その上で自分で考え、自分なりの問題解決を提示することになります。
日本企業の中には、国内よりも海外の売上比率が高い企業があります。
私たちが知らないだけで、少子高齢化・人口減少の日本国内だけで食べていくことができないと判断した企業は海外で勝負しています。
そうした活躍あるいは苦戦している現況をあまりメディアは報道しません。と言うよりも報道できないのかもしれません。国民の関心があまりなかったり、一方的に小さな問題と片付けられてしまい、特派員が取材したネタを報道しないということがあるかもしれません。
テレビは相変わらず視聴率重視主義から脱却できていません。テレビを見ない人たちが増加しているにも拘わらず、局側の発想が変わっていないのです。
テレビをリアルタイムで見る人が減少している一方で、TVerなどのネット配信を通じて、自分が見たい時間に動画を見るという人たちはこれからもさらに増えていくことでしょう。
お年寄りは相変わらず、テレビ離れはできそうにありませんが……。
海外情報を入手しようとすると、英語力が必須であったり、膨大な情報がクラウドサービスを利用すれば手に入りますが、それでも非公開情報はいくらでもあります。そうすると文献に当たることが必要になります。
日本の国立国会図書館のウェブサイトや米国の議会図書館のウェブサイトに当たってみるのも良いかもしれません。
もちろん、ロイターやブルームバーグなどの報道機関の日本版(PCやアプリ)がありますから、これらを利活用すればある程度の情報を収集することは可能です。これらのLINEアプリもありますので、情報を収集することはできます。
あるいは『日経ビジネス』や『東洋経済』、『ダイヤモンド』、『プレジデント』などの雑誌やウェブ版から情報収集することもできます。これらの雑誌やウェブ版の購読をお勧めします。
あとは自分で、関心のあることに絞って検索したり、ChatGPTやBardに質問してみて、知見を広めるのが良いでしょう。
ロイター
ブルームバーグ
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