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メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.008 KON482(2013/09/06)~ KON485(2013/09/27)





メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.008 KON482(2013/09/06)~ KON485(2013/09/27)


はじめに

私は30年ほど前から大前研一氏の著作を読み始め、読み続けています。
大前氏の著作や動画等から非常に有益な情報を得るだけでなく、考え方・発想法などを学んでいます。
大前氏のメルマガ購読を10年ほど前に開始し、今日も続けています。
ただし、すべての記事にきちんと目を通したわけではありません。
そこで、メルマガ購読の登録を開始した当時に遡って、読み直すことにしました。
そうすることで書籍との関連性によってより深く理解できたり、10年にわたる大前氏の考え方の変遷を感じ取ることができると考えました。
大前氏が頭脳明晰であることは異論がないと思います。
他にも頭が良い人たちは数多いますが、その人たちと大前氏が異なる点があります。
それは、大前氏は自分の考え方や発言に間違いがあった場合には、すぐに認め、訂正することです。他の頭が良いと言われる人たちは、プライドが高く、自分の間違いを認めたがらないだけではなく、訂正しようともしません。


🔶お知らせ

大前氏は私より年齢が一回り上です。大前氏は今年80歳になられました。
事情ははっきりしませんが、2023年6月29日に、BBT(ビジネス・ブレークスルー)の代表取締役を退任されました。

ビジネス・ブレークスルー大学の学長職に専念されるということです。社会人教育に対して情熱を注ぎ続ける姿に頭が下がります。
日本を再興するためには、社会人教育が不可欠であるという信念を持ち、今日でも社会人教育に励んでいます。
私は、他のところでも何度も書いていますが、30代の頃から大前氏に私淑しています。これからも変わりません。


KON482『マクドナルド・パナソニック・ソニー・カーナビ業界~日本独特の競争環境を考える』 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/09/06 08:27

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『マクドナルド・パナソニック・ソニー・カーナビ業界~日本独特の
   競争環境を考える』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

 日本マクドナルド 原田会長兼社長が退任
 パナソニック 個人向けスマホ事業撤退で最終調整
 カーナビ大手 カーナビ大手の株価下落
 ソニー ヒトゲノム解析事業に参入

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 ▼ マクドナルドが低迷した原因は、日本独特の激しい競争環境
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 日本マクドナルドホールディングスは先月27日、傘下の事業会社、
 日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長が社長を退任し、後任に
 マクドナルド・カナダ出身のサラ・カサノバ氏が就任する人事を
 発表しました。

 「100円マック」のヒットなどでデフレの勝ち組と言われた日本
 マクドナルドですが、足元の業績は低迷。

 原田氏は同社の会長とホールディングスの会長兼社長には留まる
 ものの、今後は米国本社主導で立て直しが進むと見られています。

 以前原田氏はマクドナルドの低迷の原因の1つとして、特に東日
 本大震災以降の日本人の心理変化を挙げていましたが、私はその
 意見には与しません。

 これまでの実績を見れば、経営者として優れた人物だと思いますが、
 この点についての認識は正しくないと私は思います。

 マクドナルドの低迷の原因は、日本人の心理が変わったからではなく、
 マクドナルドを取り巻く競争環境が変化し多様化する中で、マクドナ
 ルドが対応できていないからです。

 コンビニ弁当・お惣菜、立ち食いうどん・そば、すき家・吉野家の
 牛丼など、かなりバラエティにあふれています。

 このような状況において、マクドナルドが売っているものの魅力が
 薄れているのだと思います。

 健康志向の食べ物でもありませんし、特別に安いわけでもありません。

 セットメニューも「バリューセット」の名前ほど、手ごろ感はないと
 感じる人も多いと思います。

 日本のコンビニ弁当などは世界でも類を見ないほど充実しています。

 加えて、牛丼チェーン店もかなりの強豪です。

 こうした状況は日本独特のものなので、果たしてカサノバ氏がどこまで
 対応できるのか、一筋縄ではいかないでしょう。

 原田氏でさえ理解していなかった、この日本の市場環境について、米国
 本社はどれくらい理解できているのかは疑問です。

 今でも世界的に見れば、マクドナルドは非常に立派な会社ですが、
 「日本独特の競争環境」について理解して臨まなければ、日本を立て直す
 ことは難しいと私は見ています。

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 ▼ スマホ、カーナビ市場の時代の流れ。ソニーは医療市場に活路を見いだ
 せるか。
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 マクドナルドにおいて原田氏の退任が1つの時代の終わりだとすれば、
 スマホ事業から撤退するというパナソニックでも1つの時代が終わろうと
 しています。

 パナソニックは国内の個人向けスマートフォン(スマホ)事業から撤退
 する方向で最終調整に入りました。

 来年3月までに唯一の自社拠点であるマレーシア工場での生産を停止する
 方針で、販売不振で営業赤字が続いており、立て直しが難しいと判断した
 とのことです。

 今でもパナソニックは国内で290万台の携帯電話を出荷していますが、
 それでも撤退という事態になりました。

 基地局事業まで売却するということです。

 今後どこで利益を上げていくつもりなのか、課題は山積みといったところ
 でしょうが、時代の流れの中では致し方ないのかも知れません。

 先月28日、東京株式市場でカーナビゲーションシステム大手の株価が下落
 したと報じられました。こちらもほとんど同じような状況でしょう。

 JVCケンウッドとパイオニアが年初来安値を更新、クラリオンも年初来安
 値に接近。

 格安なカーナビの増加に加え、スマートフォン(スマホ)の普及により
 自動車用品店で販売するカーナビ市場が縮小。

 4~6月期はそろって営業赤字となるなど、業績悪化が嫌気されているとの
 ことですが、私に言わせれば、未だに株価が付いていることが不思議で
 す。

 日本のカーナビは世界的に見ても高額でした。

 海外に行けばカーナビは4~5万円で購入出来ます。

 それも今では2万円台に価格が下落しています。

 さらに次のバージョンでは、スマートフォンを車のダッシュボードに
 取り付けて、カーナビの代わりになると言われていますから、ますます
 状況は厳しくなっていくでしょう。

 また経営再建中のソニーは、ヒトゲノム解析事業に参入するとのことで
 す。

 米国の遺伝子解析装置大手イルミナと合弁会社を設立し、製薬会社や研究
 機関などから受託し、イルミナの装置を使って解析を進める方針で、デー
 タベース化した情報の国内製薬会社への販売することも計画しているそう
 です。

 ぜひ頑張って欲しいところですが、医療関係の市場環境は、世界中で非常
 に厳しくなっています。

 また個人情報の取り扱いやモラルの問題など、他の市場よりも慎重にすべ
 きことも多々あります。

 医療分野に活路を見出そうとして、ソニーが向こう岸まで泳ぎきれるのか
 注目したいと思います。

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 この大前研一のメッセージは9月1日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON482のキーワード・キーセンテンス

1「マクドナルド」

関東では「マック」、関西では「マクド」と表現されるマクドナルドですが、原田泳幸会長兼社長はマクドナルドの前はアップルの社長をしていました。

アップルからマクドナルドへの華麗なる転籍は、当時、「『マック』から『マック』へ」と言われたものです。

原田氏はその後、マクドナルドを退社し、今度はベネッセホールディングの会長兼社長となりました。現在は株式会社原田泳幸事務所代表取締役をされています。

乞われて転籍しましたが、残念ながら業績向上にはあまり寄与しなかったというのが実情のようです。


2「パナソニック」

パナソニックは10年ほど前から業績が低迷していました。
スマホやカーナビから撤退し、さらにプラズマパネルのテレビ事業で巨額の赤字を出し、長らく回復しませんでした。

現在では、テスラと組み、EV用バッテリー事業が軌道に乗っています。

電機メーカーとしてソニーと覇を競った時期がありましたが、今ではソニーに大きく水をあけられています。時価総額を比較してみますと、下の図表のようになります。ソニーグループは16兆1,059億円に対し、パナソニックは3兆5,047億円で約4.6:1となっています。

ここまで2社の差が開きますと、パナソニックはソニーに追いつくことがほぼ不可能でしょう。

ソニーグループ(6758)株探 2023/12/08
パナソニックホールディングス(6752) 株探 2023/12/08

KON483【中国理財商品・中国外資誘致策・中国工業団地開発・シェールガス~直面する中国の課題を考える】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/09/13 08:28

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『中国理財商品・中国外資誘致策・中国工業団地開発・シェールガス
   ~直面する中国の課題を考える』――――――――――――――――――――――――――――――――――

 中国理財商品 中国銀行全体の残高145兆6000億円
 中国外資誘致策 外資系企業に関わる法律変更認める決定
 中国工業団地開発 大型工業団地開発が頓挫
 シェールガス 中国のシェールガス開発課題山積で振り出しに

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 ▼ 中国のバブル崩壊は秒読み段階に入った
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 銀行業監督管理委員会によると、6月末の中国の銀行全体の理財商品の
 残高は9兆800億元(145兆6000億円)で、昨年末に比べて28%増加しま
 した。

 中国の銀行金利も決して高い水準ではないので、高い利回りを求めると
 なると、理財商品に行き着きます。

 結果として、地方政府の傘下にあるディベロッパーなどにその資金が流れ
 ていきます。

 今中国では窓口規制が始まり、普通に銀行からお金を借りることが出来な
 いので、高い金利であっても、このような場所で借りるしか方法がなくな
 っています。

 しかし、これでは国家が「利ざや稼ぎのゲーム」に参加しているようなも
 のです。

 日本のバブル崩壊直前、米国のバブル崩壊直前と全く同じような現象が起
 きています。

 中国経済のバブル崩壊も秒読み段階に入ったと言えるでしょう。


 そんな中、上海と香港でおかしな動きを見せています。

 立法機関の全国人民代表大会常務委員会は30日、上海の自由貿易試験区内
 で「外資企業法」など外資系企業にかかわる法律を変更する権利を10月
 1日から3年間、国務院(政府)に与えることを決定しました。

 上海は常に香港を意識してきたのでしょうが、外資系企業に対する自由
 の点で、香港にはなかなか及ばず、思ったように香港から上海に外資系
 企業が誘致できていないという状態が続いています。

 そこで、上海を香港並みに「緩める」という方向で調整するようですが、
 香港はこれに対して反感を持っていて、一生懸命ロビー活動を展開して
 います。

 上海と香港で騙し合いの様相を呈してきました。

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 ▼ シェールガスの探査は進まず、工業団地開発は暗礁に
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 ロイターは6日、世界最大の埋蔵量といわれる中国のシェールガス
 開発が、振り出しに戻りつつあると報じました。

 シェールガス開発に参入する企業の多様化や国有会社の消極的な投資
 姿勢で、開発が進んでいない現状を紹介しています。

 中国の石油関係は、習近平に睨まれているので、その影響もあるのかも
 知れません。

 米国やアルゼンチンよりも、国のシェールガス埋蔵量は多いものの、
 掘り出しにくいという弱点があります。

 シェールガスがあっても、水のない場所のため水圧破砕法による安価な
 採取ができないこともあるでしょう。

 中国にはシェールガス採取のための技術も資金も不足しているという
 状況です。

 第2次シェールガス開発入札では、中国企業16社が探査権を落札しました
 が、結局のところ1社も実際に「穴を掘った」ところはありません。

 ロイターの報じているところだと、中国政府に中国での初のシェールガス
 生産物分与契約(PSC)を承認された、ロイヤル・ダッチ・シェルでさ
 え、何もしてないということです。

 また、もう1つ習近平体制に移行してからは関心が低下していると報じら
 れているのが中国の大型の工業団地開発プロジェクトです。

 かつて中国の胡錦濤前指導部が国家プロジェクトと位置付けた 大型の
 工業団地開発が暗礁に乗り上げています。

 当時の温家宝首相が来日時にPRするほど重視していた中国河北省唐山市の
 開発区「曹妃甸(そうひでん)」が話題になっています。

 かつて江沢民政権下の上海では浦東地区の開発をすごい勢いで進めていま
 したが、まさにあれは国家プロジェクトと呼ぶに相応しかったと思いま
 す。

 しかし、唐山市・曹妃甸の開発はもともと盛り上がりが今ひとつだったと
 いう印象を拭えません。

 渤海湾の周辺には、大連・天津がありますから、唐山が盛り上がらないの
 は必然といえるかも知れません。

 外資系企業にしても、天津の方が便利ですから、唐山まで行く必然性が
 ありません。

 おそらくこの工業団地開発プロジェクトは、胡錦濤の置き土産としてこの
 まま終了してしまう可能性が高いでしょう。

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 この大前研一のメッセージは9月8日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON483のキーワード・キーセンテンス

1「日本のバブル崩壊直前、米国のバブル崩壊直前と全く同じような現象が起きています。
 中国経済のバブル崩壊も秒読み段階に入ったと言えるでしょう」

大前さんは10年前に中国経済のバブル崩壊を予言していました。
中国の不動産バブルが破裂したことは、中国恒大グループが莫大な負債をかかえ、利払いも借入金の返済も出来ず、事実上の倒産という状況にあります。

中国は日本経済を研究していて、日本のバブル崩壊についてもつぶさに調べ、日本と同じことを再現しないようにしていたはずですが、ついにやってしまいましたね。

習近平国家主席の内政が失敗しただけでなく、外交でも「一帯一路」政策が功を奏しなかったと言えます。


2「シェールガス」

シェールガスと言えば、現在では米国が有名ですね。
シェールガスの採取には莫大な費用と技術が欠かせません。
中国にはどうやらどちらもあまりなさそうです。習近平国家主席はシェールガスに対し関心が乏しいようです。

米国は世界一の産油国になりました。エネルギーの問題は政治問題化していますので、資源の乏しい日本は政治を絡めて輸入しなくてはなりません。

原油を精製したり、天然ガスを液化(LNG)し企業や家庭に供給しています。


KON484【東芝・サントリー・マクドナルド・セブン-イレブン・アマゾン~プラットフォーム戦略を考える】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/09/20 08:28

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『東芝・サントリー・マクドナルド・セブン-イレブン・アマゾン~
   プラットフォーム戦略を考える』――――――――――――――――――――――――――――――――――
 東芝 印ヴィジャイの変圧器事業を買収
 サントリー食品 英グラクソと飲料事業買収で合意
 日本マクドナルドHD 立地特性に応じて価格を9段階に設定
 セブン-イレブン・ジャパン 2014年度に1600店を出店へ
 アマゾンジャパン 新設物流センターを稼働

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 ▼ 立地で価格を変えるマクドナルドの経営姿勢に問題あり
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 東芝は10日、インドの重電メーカー、ヴィジャイエレクトリカルの
 変圧器事業などを買収すると発表しました。

 買収額は200億円で、ヴィジャイの変電所向け変圧器の工場や販売網を
 活用し、経済成長が続くインドの送配電機器事業に本格参入するとの
 ことです。

 日立や東芝などは、大胆に鉄道を始めとした欧州のインフラ投資に乗り
 出しています。

 経営力が伴っていけば、これらの海外投資はかなり良い成績を上げて
 くれると期待できます。

 またサントリー食品インターナショナルは9日、飲料事業の買収交渉を
 していた英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と基本合意して
 います。買収金額は2000億円超とのことです。

 サントリーとしては上場によって得た資金の使い途として考えたのでしょ
 う。

 悪くはありませんが、この程度の会社しかなかったのかとも思います。

 一方日本国内では、これまで圧倒的な成績を上げてきたマクドナルドが
 動きを見せています。

 日本マクドナルドホールディングスは13日から価格を立地の特性に応じて
 9段階に分けると発表しました。

 従来は都道府県別の6段階でしたが、同じ自治体内でも観光名所や空港な
 ど需要が旺盛な場所を最も高くします。

 全国一律を基本としてきた日本の外食産業の価格戦略に影響すると見られ
 ています。

 私は最近のマクドナルドの戦略について、牛丼チェーン店やコンビニエン
 スストアなど惣菜市場を考慮していない点に問題があると指摘してきまし
 た。

 しかし、今回の方針はこれまでの何にも増して「お粗末な決定」だと思い
 ます。

 このようなことを平気で実行するということは、今マクドナルドは
 「お客さんに向いていない」ということです。

 そんな不道徳な経営は許しがたいと思います。

 海外では実施されているということを言い訳にして、客の弱みに付け込む
 ような方針には、正直言って辟易してしまいます。

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 ▼ アマゾン一人勝ち。勝因はプラットフォーム戦略にあり
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 セブン-イレブン・ジャパンは2014年度、過去最高となる1600店のコンビ
 ニエンスストアを開く見通しです。

 大都市圏を中心に店舗網を広げ、日常の買い物に不便を感じているシニア
 層や働く女性の需要を取り込む狙いとのことです。

 10年ほど前までは、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの
 出店数は6,000から9,000の範囲で拮抗していましたが、ここに来て完全に
 出店スピードに差がついて、セブン-イレブンの一人勝ちの様相を呈して
 きました。

 昨年四国に初めてのセブン-イレブンが出店したというのですから、まだ
 まだ出店できる場所はあると言えると思います。

 一方で、人口密集地ではすでに過当競争になっていますから、既存店舗の
 整理も必要になるでしょう。

 いずれにせよ、過去最高の出店数を目指すというのは、かなりリスクの高
 い戦略です。

 おそらく半径300メートルという近距離でカバーすることになるので、コ
 ンビニを超えてコンシェルジュ機能を備えるなど、従来のコンセプトを変
 えることが必要だと思います。

 さらに順調に日本国内で一人勝ち状態になっているのが、アマゾンジャパ
 ンです。

 アマゾンジャパンは神奈川県小田原市に物流センターを新設し、3日、稼
 働を始めました。

 同社の物流拠点としては国内最大で、約1千人の雇用を創出します。

 また、出版業界の9団体は9月中に、海外から電子書籍を配信する事業者へ
 公平に消費税を課す要望書を政府の税制調査会に提出するとのこと。

 海外にサーバーを置く企業が配信する電子書籍には消費税が課税されない
 ことを問題視したものです。

 アマゾンが脅威になるというのは、以前から分かりきっていたことです
 が、東日販の存在があるので大丈夫だと高をくくっていたので、このよう
 な事態になってしまったのです。

 私は十数年前から「アマゾンは利益を出す企業になる」と指摘していまし
 た。

 その理由は明白で、次の3つを備えたプラットフォーム戦略に則っていた
 からです。

 すなわち、「ポータル機能」「帳合(決済)機能」「配送(物流)機能」
 の3つです。

 ポータルサイトを保有し、その場でクレジットカードを使って決済が可能
 で、その後の配送も請け負えるというのは「プラットフォーム」として大
 きな強みになります。

 日本では東日販が価格統制をして値引きができませんが、その分、物流機
 能の充実に努めて、今では午前中に注文したら午後には配送される仕組み
 を作り上げてしまいました。

 米国にも巨大な配送センターをいくつも保有していますが、日本でも巨大
 なものを小田原に新設するということです。

 物流が強くなることで、アマゾンは当初の書籍だけではなく、アパレルか
 ら食品までありとあらゆる商品を扱えるようになりました。

 靴や洋服などは、「試着して返品も自由にできる」という仕組みまで作っ
 ています。まさに、物流機能の勝利です。

 日本の出版社や電子書籍関連企業にも期待していましたが、結局のところ
 全てアマゾンに持っていかれるという状況になっています。

 アマゾンのプラットフォーム戦略に、その勝因があると私は思います。

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 この大前研一のメッセージは9月15日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
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✅KON484のキーワード・キーセンテンス

1「サントリー」

サントリー食品インターナショナルは上場していますが、親会社のサントリーHDは上場していません。

その理由は、株主の要求に経営を揺さぶられことを防ぐためです。つまり、自社の方針に基づく経営がやりにくくなることを防ぐことが目的です。

サントリーはサントリー食品インターナショナルの株をほぼ60%(59.48%)も保有しています。

サントリー食品インターナショナル(2587)株探 2023/12/11


2「アマゾンが脅威になるというのは、以前から分かりきっていたことですが、東日販の存在があるので大丈夫だと高をくくっていたので、このような事態になってしまったのです。
私は十数年前から『アマゾンは利益を出す企業になる』と指摘していました」

大前さんの数ある能力のうちの先見力も後から考えると凄いと唸るしかありません。大前さんは世の中の動きよりも一歩先、いや数十歩先を歩いていると感じます。

私が、アマゾンが凄い企業だと考えることは、流通の入り口から出口を全て押さえていることです。商品を仕入れ、倉庫(流通センター)に入庫し保管、受注次第倉庫から出荷し配送(流通網を構築)という一連の流れを途切れなく行なっています。

米国内では配送を人だけでなく、ドローンで行っている地域もあるようです。

Amazonのすごいドローン、構想から9年で「Prime Air」離陸へ 新型機も披露

米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が構想から9年をかけたドローン配送「Prime Air(プライム・エア)」がようやく2022年内に米国内で始まる。2022年11月10日に米ボストンで開いた発表会で詳細を明らかにした。10年後の2032年までに年間で5億個の荷物を空輸する計画も発表した。

日経クロステック 


2022年11月10日の発表会で展示された「MK27-2」
(写真:日経クロステック)

配送に使うのは独自開発した電動ドローン「MK27-2」。六角形の形状で6本のシャフトそれぞれにプロペラを搭載する。重量は約36kgだ。機体の下部に配送する荷物を収納するスペースを持ち、ドローンが配送先に到着すると低空飛行状態で自動で扉が開き荷物を落下させる仕組みだ。
完全自律型のドローンで、飛行機の管制塔の役割を果たす「グラウンドシステム」がルートや配送先で安全を確保できる場所を決定する。ドローン自体にもセンサーなどで予期せぬ飛行物や配送先での障害物を認識して自動で回避するシステムを搭載。グラウンドシステムとドローンとの通信が途切れたとしても安全性を担保する設計だ。

日経クロステック 


日本国内では、いろいろな規制がありそうなので、ドローン配送が実現するには紆余曲折がありそうです。

「落下させる」という点が気になりました。落下した時の衝撃で商品が破損しないかということです。


KON485【集団的自衛権・尖閣諸島・韓国済州島~安倍政権の集団的自衛権の方針を紐解く】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/09/27 08:28

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『集団的自衛権・尖閣諸島・韓国済州島~集団的自衛権における安倍
   政権の方針を紐解く』――――――――――――――――――――――――――――――――――

 集団的自衛権 行使地域をめぐり政府内にズレ
 尖閣諸島問題 日本政府の姿勢を批判
 韓国済州島 韓国人が懸念、済州島が中国人に乗っ取られる

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 ▼ 集団的自衛権については、3つの質問に回答すれば解決する
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 19日、自民党の安全保障合同部会が開かれました。

 政府が集団的自衛権の行使を認める場合、
 「自衛隊は地球の裏側に行って戦争をするのか」と問われた
 高見沢官房副長官補は、
 「『絶対、地球の裏側に行きません』という性格のものではない」
 との見解を示しました。

 集団的自衛権については、シンプルに次の3つの質問に答えることで、
 安倍政権の方針が分かるようになります。

 1つ目は、「中近東について米国に従うのかどうか」です。

 中近東は米国が紛争に巻き込まれやすい地域です。
 今回ニュースで取り上げられた「地球の裏側」はイラクやシリアの
 ことで、まさにこのケースに当てはまります。

 2つ目は、「中国に対して米国に従うのかどうか」です。

 もし中国が武力行使をしてきた場合には、沖縄の米軍が狙われます。
 その際、日本の領海に侵入してくる前に、米軍に同調して中国に
 先制攻撃をするかどうかということです。

 3つ目は、「オーストラリア・米国に従い、インドネシアへの攻撃を
 許可するのかどうか」です。

 日本はオーストラリア・インドネシアのいずれとも良好な関係性を
 維持しています。

 ところが、(現在はそれほどではありませんが)オーストラリアと
 インドネシアは伝統的に仲がよくありません。

 米国はオーストラリアと軍事同盟を締結しています。
 万一争いが起きた場合、日本は米国に従い、オーストラリアに
 与するのかどうかということです。

 日本とインドネシアの関係を考えると、おそらく答えは
 「ノー」でしょう。

 世間でも複雑に論じられることが多いですが、集団的自衛権については、
 この3つの質問に「イエス」「ノー」で回答すれば解決するはずです。

 ところが実際には、米国に依頼されるまでは何とも言えない、
 というのが日本政府の態度です。

 ドイツのように、「イラクはノーだが、アフガニスタンはイエス」と、
 自分たち自身で答えを出せれば良いのですが、残念ながら今の日本は、
 米国との関係性がこじれるのを恐れてしまい、自分たちで判断する力が
 ありません。

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 ▼ 密約をベースにした国と国の約束をやめるべき
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 中国の王毅外相は20日、尖閣諸島について、
 「日本が41年前の日中合意を否定して国有化したため、
 中国としても対抗措置をとらなければならない」と述べ、
 日本政府の姿勢を批判しました。

 王毅外相は口が滑ってしまったのでしょう。

 41年前の周恩来氏と田中角栄氏による日中合意というのは、
 いわゆる2者間で交わされた「密約」です。

 正式な文書にもなっていないでしょう。

 それを反故にしたと言われても、安倍総理としては
 「どこにそんな文書があるのか?」と言うだけです。

 当時の田中派以外は「そんなものは知らない」で済ませることが
 可能だからです。

 こうした背景も理解した上で、私が今提案したいのは、
 密約ベースのものを国と国の約束にするのではなく、
 もう1度やり直すことです。

 周恩来氏と田中角栄氏はそれぞれ非常に優秀な政治家ですが、
 ボスの政治家同士で決めたことは、ボスが変わると上手く機能
 しなくなってしまう、ということでしょう。

 中国国営新華社通信の情報サイトは、21日、中国の無人偵察機の
 開発スピードは世界最速、日本を無限に混乱させることも可能と
 報じました。

 これに対し日本側も撃ち落とす研究を早速開始したとのことです。

 無人偵察機とは言え、攻撃力を有していますから当然の対応でしょう。

 これにより、今後、日中間では偶発事故が起こる可能性は非常に高く
 なってしまいました。

 これは米国が懸念していることの1つです。

 また中国の元大連市長の薄熙来氏に対して、公金横領や職権乱用などの
 罪で無期懲役の判決がくだりました。

 一方ニューヨーク・タイムズ紙で、莫大な隠し財産を報じられた温家宝
 首相についてはお咎めなしということで、この中国の対応については世界
 から批難の声が上がってくると思います。

 中国は政治優先の社会であり、司法と行政・立法が独立してはいません。

 昔から中国の権力闘争というのは、大抵がこのようなパターンです。

 今後、世界の批判を受けながら、中国はますます信頼を失うことになる
 と思います。

 そんな中、中国国営新華社通信は、
 「韓国人が懸念、『済州島が中国人に乗っ取られる!』」
 と題する記事を掲載しました。

 韓国の済州島では中国資本が大規模な不動産開発を行っています。

 韓国政府に対し、中国人の投資移民の受け入れを再考するよう求める声も
 あがってきているとのことです。

 しかし、これは韓国が済州島を豊かにするために、約50万ドルのお金を
 持ち込めば永住権を与えるなどの政策を打ち出しているので、致し方ない
 ことだと私は思います。

 これまでは済州島に訪れる観光客のトップは日本人でしたが、今は完全に
 中国人です。

 中国人がお金を落としてくれているわけですから、これを否定するのは
 おかしな話です。

 もし、韓国政府がそれを望まないのなら、済州島に対する優遇政策を
 やめれば良いだけだと私は思います。

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 この大前研一のメッセージは9月22日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON485のキーワード・キーセンテンス

1「集団的自衛権」

集団的自衛権について確認しておきましょう。

集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん、英語: right of collective self-defense、フランス語: droit de légitime défense collective)とは、ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が共同で防衛対処する国際法上の国家の権利である。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある。

集団的自衛権 Wikipedia 


日本にとっての問題は、自衛隊が武力攻撃に対処できるのかということです。憲法第九条との関係もありますし、自衛隊が国内外の紛争に武力参加したことはありません。

政府は、2014年7月、日本における集団的自衛権の行使の要件として、

  1. 日本に対する武力攻撃又は日本と密接な関係にある国に対して武力攻撃がなされ、かつ、

  2. それによって日本国民に明白な危険があり、集団的自衛権行使以外に方法がない場合には、

  3. 必要最小限度の実力行使が許容される

という、いわゆる「新3要件」を閣議決定しました。

以上、「自衛隊は違憲?改正は必要?憲法9条の解釈について分かりやすく解説」 から引用しました。

「必要最小限度の実力行使が許容される」という点があいまいですね。どこまでが「必要最小限度」なのか分かりません。


憲法第9条

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

法令リード 日本国憲法 



2「密約」

きわめて重要な外交で密約するということは、国家や国民の利益に資するかどうか疑わしいことが多い感じがします。

当事者同士だけの相互利益を「確約」することであり、記録として残らないけれども、「実質的な」成果となる(当事者にとって)ケースがあります。

後々で、「密約」があったと指摘されても本人が「何もなかった」と開き直っても、それ以上追及することはできません。

大前さんが「私が今提案したいのは、密約ベースのものを国と国の約束にするのではなく、もう1度やり直すことです」という指摘は至極当たり前のことですが、うやむやにしてするか何もやらないでしょう。



✒ 編集後記

「メルマガ 大前研一 ニュースの視点」を読み返してみると、当時のことが断片的に思い出されてきました。10年という歳月が流れましたが、ところどころ記憶に残っていた個所があり、またその後の経過を確認することができています。

ちょうど10年前のメルマガですが、今読んでみても、学ぶことがたくさんあります。それは執筆当時の事情がどうであれ、大前研一氏の普遍性のある考え方や、ものの見方、発想力、構想力、具体的な例を挙げて説明する方法、自ら実践することなど、そうしたものをすべて含んだプレゼンテーション能力の高さに圧倒されます。

ただし、私は大前氏を私淑していますので、あなたから見ると「傾倒しすぎだよ」と言われそうですが……。

栄枯盛衰は世の常です。

それは、企業においても、個人においてもしかりです。

以前であれば、一流企業は安泰で、そこに勤務していれば定年まで安心して働けるという共通認識がありましたが、現在では「一瞬先は闇」です。

大前研一氏の先を見通す先見力や発想力、構想力、分析力、発信力、その他にも多数ありますが、私には何一つ追いつけるものはありません。

それでも、大前氏をグル(「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」「師匠」)と仰ぎ、書籍や動画などを通じて、これからも間接的に指導を受けたいと思っています。



(16,595文字)


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
MITで原子力工学の博士号を授与されています。原子力の専門家でもあり、世界的に著名な経営コンサルタントでもあります。

世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


「大前研一 ニュースの視点」というメルマガに登録したのは10年前のことです。毎週金曜日に配信されています。
2013/03/03 0:28
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🟡メルマガについて

メルマガに登録して、最初のメルマガが配信されたのは2013年3月8日(金)のことでした。
大前研一 ニュースの視点の通し番号にKON・・・となっています。
KO は Kenichi Ohmae です。N はナンバーです。


さて、私に最初に配信されたメルマガのタイトルは下記のようになっていました。

KON456【北方領土問題と韓国の新大統領~長期的な時間の流れで考える】 ~大前研一ニュースの視点~

通算で456件目だったのです。そのため、1~455のメルマガを読むことはできません。

ところが、調べてみたところ、2006年3月24日(当時は#106)以降であれば読めることがわかりました。


いずれの日にか、バックナンバーも取り上げます。



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