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【回想録 由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い 第95回】

🔷 「おわりに」(2)を掲載します。🔷

『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)
2016年1月25日 発行
著者   藤巻 隆
発行所  ブイツーソリューション

 ✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第95回)✍

おわりに(2)

 由美子が入院してから、病室では、実際には何もできませんでした。ただそばにいて見守るだけでした。可奈は仕事が終わると、病室に駆けつけてくれました。

 亡くなる前日(二〇一五年八月七日)の夜、看護師さんから「泊まることができますが、どうされますか?」と訊かれました。私は即答しました。

 「泊まります!」

 簡易ベッドを用意してもらい、由美子のすぐ隣で横になりましたが、午前〇時を過ぎても寝られませんでした。苦しそうに喉で呼吸している様子を見ていると、とても寝ることなどできませんでした。

 結局、明け方まで一睡もできませんでした。心拍数の変化を示すモニターを見続けていると、午前三時半頃から動きが激しくなってきました。数値が乱高下してきたのです。

 看護師さんから「お家へ連絡してください」と言われました。私はその場で、自宅へ電話し、「可奈を起こし、大至急、病院へ来るように」、と母に伝えました。

 午前四時二十分頃になると心拍数は一七〇から一〇〇へ、そして一旦一五〇に戻り、また急降下し七〇へ、一〇〇を回復した後、四〇・・・・・二〇・・・・・〇。

 可奈が病院に到着したのは、由美子が息を引き取る前でした。

 もっと由美子と話したかった。由美子を強く抱きしめたかった。由美子ともっと長く、二人だけの時間を過ごしたかった。由美子と旅がしたかった。結局、どれ一つとして永久に叶えられなくなりました。

 生きとし生けるものには寿命があります。寿命は一人ひとり異なります。人間は一人で生まれ、一人で死んでいきます。私にも、いつか「その日」が訪れます。余命が残り少なくなったとき、あなたならどうしますか?

 米アップルの創業者にして、iPod・iPhone・iPadを世に送り出し、瀕死の状態にあったアップルを劇的に復活させた、スティーブ・ジョブズは次のように語っています。

 If today were the last day of my life, would I want to do what I’m about to do today?

(今日が自分の人生の最後の日だったとしたら、今日やろうとしていることをやりたいですか?)<Google 翻訳>

 とても哲学的な言葉だと思います。深く考えさせられます。ちなみに、スティーブ・ジョブズは二〇一一年十月五日、膵臓がんで亡くなりました。五十六歳でした。ジョブズと私は、一九五五年生まれです。

 「死は怖いものではありません。生まれたから死があるのです」

 そんな話を本で読んだことがありましたが、その時には実感が湧きませんでした。しかし、今でははっきり実感できます。

 私が亡くなったら、由美子に逢いたい。由美子と話したい。由美子とずっと一緒にいたい。由美子と旅がしたい。由美子が「嫌」と言わなければ・・・・・。

(PP.258-261)



➳ 編集後記

第95回は「おわりに」(2)を書きました。

『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』はいよいよ次回で最終回となりました。

以後は投稿しません。

本を書きたいと長い間思っていました。まさか初めての本がこのような形になるとは夢にも思いませんでした。

回想録という表現が相応しいかどうかは分かりません。

1991年4月29日の結婚式の日から2015年8月8日の永遠の別れの日までの約25年間にわたり、由美子と私は、かけがえのない「濃密な時間」を過ごすことができました。






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