大前研一 名言集 『即戦力の磨き方』(16)
『即戦力の磨き方』(16)
大前研一氏のような「世界に通用する傑出した人物」は、日本だけでなく、世界でもあまりいません。
私は大前氏の足元にも及ばない、ちっぽけな存在ですが、そんな小さな私でも、少しでも役に立ちたいと熱望しています。
年齢は関係ないと思っています。
やろうとする意志と一歩踏み出す行動力ではないか、と考えます。
その2つに付け加えるとすれば正しい方向性でしょうか。
これはなかなか定めるのが難しい。
自分で正しいと判断しても、必ずしもそれが正しい針路をとっているかどうか確かめることが困難だからです。
メンター(師匠)がそばにいれば、たとえ間違った方向へ進んだとしても、謙虚な気持ちで従うならば修正は可能でしょうが。
私にとってのグル(精神的指導者)は大前研一氏です。
もちろん、大前氏はそんなことを知る由もありませんが。
以前、大前氏の下で働いていた学生の方(今では社会人として働いていることでしょう)からメールを頂いた時、身近で見た大前氏の気さくで、ユーモアあふれる人柄に触れたことを伝えてくれました。
『即戦力の磨き方』はタイトルから推測すると、ハウツー本のように感じられたかも知れませんが、ハウツー本ではありません。
私たちが身につけるべき本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている本です。
ドルに信用があるかぎりアメリカはいくらでも海外の財貨が買えるのだという現実が見えなくなってしまう
いまの日本人は、ものを考えるということが、まったくといっていくらいできていない
私は、30代、40代の人たちが、とくに問題だと思っている。この世代は、体制の求める詰め込み教育に過剰に適応して、高度な受験技術だけを磨いてきたので、肝心の「自分の頭で考える」という訓練が、まるでなされていない
➳ 編集後記
『即戦力の磨き方』はタイトルから推測すると、ハウツー本のように感じられたかも知れませんが、ハウツー本ではありません。
私たちが身につけるべき本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている本です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 大前氏が、他の本でも繰り返して指摘しているのは、記憶力を試す教育に偏重してきたことが問題だ、ということです。
「自分で考える」という訓練がされていないということです。
「暗記することは、著者の考え方に「洗脳」されることだ」と言った人がいますが、一理あると思います。
何も考えずに、記憶に専念することは危険だ、ということです。
サイトで検索して分かることを覚える必要はありません。
調べる手間を惜しんではいけません。
インターネットが一般化する前は、調べるには百科事典や国語辞典等にあたるしかありませんでした。
ところが、そこに書かれたデータや情報は陳腐化していて、実情とかけ離れていたことがしばしばありました。
過去のことを調べるだけでなく、今現在どうなのかでさえ、インターネットを介して調べれば、90%程度まで見つかります。
🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。
⭐ 参考になるデータをご確認ください。
大前研一「前例や先行事例は思考範囲を狭める。図書館やネットに答えなんかない」
このウェブサイトを見ると、大前氏が繰り返し述べていることが分かります。
「MITの大学院にいた頃のエピソードだ。今となっては50年以上も前のことだが、今でも胸に刻まれている。私が“一生の師”と仰ぐロバート・オグルビー教授と話していたときだ。
(中略)
あるとき先生から『ケン、電子顕微鏡で原子を見たい。どうすればいいか考えろ』と言われた。
私が『わかりました。図書館で調べてきます』と立ち上がると、チョークが飛んできた。『バカ、図書館に答えがあるか。おれとおまえで考えるんだ』と先生に叱られた。
日本の学生は、まず図書館で答えを探そうとする。留学したばかりの私も同じだった。オグルビー先生は『ゼロから自分で考えろ』と叱ったのだ。
先生と私は、黒板にいろいろな仮説や数式などを書きながら議論し、仲間を増やしながら2年ほどかけてオージェ・エレクトロンという電子を使った顕微鏡を開発した」
「『さっそく2人の連名でこの論文を投稿しましょう』と言ったら、またチョークが飛んできた。今度は『バカ、同じ内容の論文が過去にないか、図書館で調べろ』と叱られた。最後に他人の先行研究を確認するということだ。私は順番を間違えていたわけだ」
🔷 物事には順番があるという好例ですね。
「オグルビー先生に叩き込まれた『ゼロから考えろ』は、マッキンゼー時代のコンサルティングでも大いに役立った。私の原点だ。他人の答えは探さない。まずは自分の頭で考える。私が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT)などで、今も『自分でゼロから考えろ』と教えている」
「岸田首相が海外からの投資を望むなら、決め台詞ではなく、どうしたら世界から投資が集まるかを考えなければならない。
第一は、豊富な人材だ。とくに理工系、技術系の人材が重要だ」
「岸田首相には『インド並みにユニコン企業をつくる』でもいいから、はじめに目的やビジョンを決めてもらいたい。オグルビー先生の『顕微鏡で原子を見る』に当たるものだ」
「科学者、技術者のように本当の原因は何か、現象をよく観察して考えないから、対策がマトはずれになるのだ。19世紀、20世紀の古い経済学を勉強したパウエル議長(そして黒田東彦・日本銀行総裁も)、自分が学んだ経済原論は21世紀には通じないことに早く気づいてほしい」
🔷 大前氏が指摘していることに、私たちは真摯に耳を傾けるべきだ、といつも考えます。
私にできることは、noteに自分の考えを書き綴ったり、選挙になれば欠かさず投票したりすることぐらいですが……。
⭐ 出典元: 構想力不足のリーダーは、自分の頭で考える習慣を取り戻せプレジデント 2022年7月1日号
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-08-15 22:40:54)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]、高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。