日経ビジネスの特集記事 56
チャイノベーション 2023 中国 技術覇権の今 2023.01.16 2/3
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
技術力はどの分野に及び、どこまで競争力を高めたのか
というのが今週号のテーマです。
CONTENTS
PART 1 コロナ禍でも研究開発の手緩めず 知財分析で浮き彫り 中国EVの躍進の秘訣
PART 2 米中対立激化、最重要産業「半導体」の今 米規制で深刻な打撃も パワー半導体に活路
PART 3 プリンター、工作機械、医療機器…… 「製造強国」実現へ 禁じても辞さぬ執念
COLUMN 中国スタートアップ「冬の時代」の生き残り方 医療・メタバースに脚光
PART 4 ゼロコロナ崩壊で浮かび上がるチャイナリスク 「予見不可能な国」との付き合い方
第2回は、PART 2 米中対立激化、最重要産業「半導体」の今 米規制で深刻な打撃も パワー半導体に活路 と PART 3 プリンター、工作機械、医療機器…… 「製造強国」実現へ 禁じても辞さぬ執念 の 前半を取り上げます。
初回は、中国が IP(Intellectual Property=知財)に力を入れているということをお伝えしました。
今回は、中国の「半導体」に関する詳細な内容と、プリンター等の具体的な商品群の製造にどのような取り組みをしているのかについてお伝えしていきます。
尚、PART 3は多くのページを割いているため、前半は今回で、後半は最終回の2回に分けてお伝えします。
PART 2 米中対立激化、最重要産業「半導体」の今 米規制で深刻な打撃も パワー半導体に活路
米中の半導体を巡る争いは激しさが増しています。後でお伝えしますが、中国は「中国製造2025」という必達目標を掲げ、習近平主席の下、工業製品の製造で米国を凌ぎ、世界一になることを本気で取り組んでいます。
実際にできるかどうかは確定的なことは言えませんが、多くの他国と違い、中国は1党独裁の国家ですから上意下達ができるという利点があります。
表面上、米中両国は激しい争いをしないような雰囲気を作り出していますが、内面は決してそんな生易しい状態ではありません。
とりわけ、米国は中国の半導体技術の動向に神経をとがらせています。
具体的な例を見てみましょう。
YMTCとは?
この技術はどの程度のものなのでしょうか?
私には今ひとつ理解しがたいことがあります。中台問題に関わることです。
台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company=台湾積体電路製造股份有限公司)は半導体製造工場をソニー他と共同で、熊本に建設することを決定しました。日本国の資金援助を獲得しています。さらにTSMCは米国内にも半導体製造工場を建設することが決定しています。
これらの一連の動きは、「台湾有事」を念頭に置いた、リスク回避のためです。
その一方で、台湾は中国国内に工場を建設しています。この工場の操業を続けるつもりなのかという点です。
そこで、調べたところ、次の記事がネットで見つかりました。
「台湾有事」で中国は経済が空転する:“半導体を「盾」に戦争防止を”とTSMC創業者 2022年11月29日
この記事によると、
最先端の半導体製造技術が中国に盗まれることを恐れていたからです。
中国の半導体受託製造のSMICについて下記のように解説されています。
ところが、「台湾有事」で中国は経済が空転する:“半導体を「盾」に戦争防止を”とTSMC創業者 2022年11月29日の記事には、
「TSMCはすでに3ナノの製品を製造している」と書かれています。
つまり、現時点では、SMICは最先端の半導体は製造できないということになります。
そのため、中国は有力な半導体技術者の引抜きを行なっています。
米国は、中国で働く技術者が引き抜かれることを恐れ、米本国へ帰国させる手段を採りました。
米国からこのような措置を取られた中国は追い詰められたかと思われましたが、中国はしぶといです。
中国企業がパワー半導体投資を強化すると、日本企業にとって脅威になりかねない事態を引き起こします。
①ロジック半導体、②パワー半導体、③最先端の半導体はどう違うのか調べてみました。すべてBing AIの回答です。
①ロジック半導体
ロジック半導体は、基本的な論理演算機能を一つのICにした半導体部品です。論理演算ではデジタル信号 (“1”、“0” または “H”、“L”で表現)を用い、その入力される信号の組み合わせによって出力される信号が決定します。ロジック半導体は、スマートフォンやパソコンにCPU(中央演算処理装置)などとして搭載され、電子機器の「頭脳」の役割を担います。
(Bing AIの回答)
②パワー半導体
パワー半導体は、高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体です。高い電圧、大きな電流に対しても壊れないよう通常の半導体とは違った構造を持っています。また、大きな電力を扱うことから熱を発して高温となりやすく故障の原因になります。このため発熱の原因であるパワー半導体自身の電力損失を少なくし、さらに発生した熱を効率よく外に逃がす工夫が施されています。パワー半導体は主に電圧、周波数を変えたり、直流を交流、交流を直流に変えるなどの電力変換に使われます。
③最先端の半導体
最先端の半導体として、現在、主流となっている回路の幅が5ナノメートルから16ナノメートル程度のスマートフォンやデータセンター向けの半導体があります。これらは、台湾のTSMCや韓国のサムスン、アメリカのインテルなどが先行しています。
また、日本においても、トヨタ自動車やソニーグループなど日本の主要企業8社が出資し、先端半導体の国産化に向けた新会社「Rapidus(ラピダス)」が設立されました。この会社は、5年後の2027年をめどに2ナノメートル以下の半導体の量産化を目指しています。
最先端の半導体は、自動運転やAI=人工知能、スマートシティーなど次世代の産業に欠かせないとされており、今後、需要は飛躍的に高まると見られています。
PART 3 プリンター、工作機械、医療機器…… 「製造強国」実現へ 禁じても辞さぬ執念 (前半)
中国製造2025
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業について
同じ台湾の企業ですが、TSMCと鴻海(ホンハイ)精密工業とは中国に対する考え方が異なっていると思います。前者は技術力を盗まれることに非常に神経を尖らせているのに対し、後者はあまり神経質になっていないと感じられることです。
中国は米国に負けたくないという強い意志を持っています。
現実はどうでしょうか?
中国の「禁じ手」とは何か?
つまり、中国国内で製造した製品はすべて中国製ということですから、それらは100%メイド・イン・チャイナということです。
ここで、私の妄想にしばらくお付き合いください。
その前に2021年における複写機の世界シェアのデータを見てみましょう。
このデータによると、「ヒューレット・パッカード(HP)が40.9%、キヤノンが20.8%、セイコーエプソンが17.2%、ブラザー工業が8.6%」で合計すると87.5%となります。
概算で90%と見なしましょう。そうしますと、中国メーカーのシェアは残り10%の中の数%ということになります。
仮に3%としましょう。日経ビジネスの数値、9000万台(年3000万台、世界のプリンターの3台に1台を「威海産」にする目標)を基準にしますと、9000万台+3000万台=12000万台ということになります。これが母数です
実際にそうなるかどうかは別の問題です。
そうすると今までのシェアは大きく変わってきます。トップ4の合計は約8000万台(9000万台 ✕ 90%)で8000万台 ÷ 12000万台で66.7%と変化します。
一方、中国は3000万台 ÷ 12000万台で25%になります。今までは数%にすぎませんでしたから、大躍進となります。
シェアは、ヒューレット・パッカード(HP)は 40.9% から 30.8%(3700万台 ÷ 12000万台)、キャノンは 20.8% から 15.8%(1900万台 ÷ 12000万台)、セイコーエプソンは 17.2% から 12.5%(1500万台 ÷ 12000万台)、ブラザー工業は 8.6% から 6.6%(800万台 ÷ 12000万台)にそれぞれ減少します。
もしそうなったら、中国メーカーは 25% ですから、一躍世界2位になります。
中国が禁じ手を使えば、それくらいシェアが増加し、世界にアピールできることになります。以上が、私の妄想です。
現実に戻ります。
日本のメーカーにとっては、シェアだけの問題ではなく、「技術流出の懸念が高まる」ことになります。
中国は、今までは「世界の工場」でしたが、今では「巨大な消費地」となっています。
工作機械に独自技術
北京精雕とはどんな企業か?
中国製造2025
産業用ロボットの分野では日本企業が最先端を走っています。
ファナックや安川電機が有名です。
海外ではABB(アセア・ブラウン・ボベリ)が有名です。スイスとスウェーデンの合弁企業です。
では、中国にはロボットメーカーはどれくらいあるでしょうか?
日本企業に危機感
中国でも労働力不足が深刻化
日本はうかうかしていられませんね。
次回は
PART 3 プリンター、工作機械、医療機器…… 「製造強国」実現へ 禁じても辞さぬ執念 (後半)
COLUMN 中国スタートアップ「冬の時代」の生き残り方 医療・メタバースに脚光
PART 4 ゼロコロナ崩壊で浮かび上がるチャイナリスク 「予見不可能な国」との付き合い方
を取り上げます。
🔷編集後記
中国では一体何が起きているのか、その真実が報道されることはあまりないと考えています。
その意味で、今週号は日経ビジネスの中国駐在のスタッフと日本国内の記者がタッグを組み、かなり奥深く取材しています。
「よくここまでできたな」というのが実感です。
現地スタッフと中国企業と長年にわたっての関係強化による太いパイプを感じさせます。
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