大前研一 名言集 『サラリーマン再起動マニュアル』(02)
『サラリーマン再起動マニュアル』(02)
今回から『サラリーマン再起動マニュアル』から名言を取り上げます。
大前研一氏は、私にとってメンター(師匠)であり、グールー(思想的指導者)の存在でもあります。
大前氏の著作を読んでいつも感じるのは、物事の本質を捉える、ずば抜けた能力です。
凡人である私は大前氏の足元にも及びませんが、不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、と思っています。
『サラリーマン再起動マニュアル』
目次
[イントロダクション]志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない
第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?
第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動
第3章[実践編]「中年総合力」を身につける
第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件
第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ
[エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある
志のあるサラリーマンにとっては大きなチャンスである
周囲がみんなフリーズしている時に「再起動」してグローバルに通用する人材になれば、日本企業はもちろん、世界中の企業で活躍できるからだ
同様な指摘は、『この国を出よ』(柳井正氏との共著、小学館)の中でも強調しています。
興味をお持ちの方はご参照ください。
もう言い古された言葉ですが、「茹でガエル現象」や「成功の復讐」があります。
ぬるま湯に長い間つかっていると、社会の大きな変化が起きた時には対応できず、茹で上がってしまうことをカエルに例えたのが、「茹でガエル現象」です。
カエルを器に入れ、下からビーカーで徐々に熱していくと、温度変化に気づかず、気づいた時には、茹で上がっていた、という話です。
大前氏と、マッキンゼーで経営コンサルタントをしていた著名なトム・ピーターズ氏の言葉と言われています。
もう一つの「成功の復讐」とは、時代が変わったにもかかわらず、過去の成功体験が忘れられず、同じ手法を用いて、しっぺ返しを食らう、ということです。胡座をかいていたということですね。
どちらにも共通するのは、「油断」です。
危機感や危機意識の欠如、と言っても過言ではないでしょう。
私も体験したことですが、組織にどっぷりつかっていると、社内の論理にだけ目が行き、周囲(社会)に目が行き渡らなくなってしまうことがあります。
自社あるいは個人のしていることが、デファクト・スタンダード(事実上の標準)と思い込んでしまうんですね。驕りで目が眩んで
しまうのです。
本来なら見えるはずのものが、見えなくなってしまうのです。
そうならないために、大前さんは「再起動」(リブート)することが重要だ、と指摘しているのです。
「自分の状態を客観的にきちんと把握できていなかった」、と過去を振り返ってみて、実感しました。
➳ 編集後記
『サラリーマン再起動マニュアル』はタイトルから推測すると、マニュアル本のように感じられたかも知れませんが、いわゆるマニュアル本ではありません。
私たちが身につけるべき、本質的な事柄やスキルを具体例に即して大前氏が述べている普遍性のある本です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 「志のあるサラリーマンにとっては大きなチャンスである」
志や気概のあった日本人たちは過去にいたのだろうか、と思い調べてみました。
大前氏は下記のウェブサイトで述べています。
大前研一の日本人論―活路を開いた男たちの志、気概に学ぶ
このウェブサイトを見てみましょう。
重要なポイントを抜粋します。
「加工貿易立国として日本経済が一世を風靡した1980年代中頃まで、日本企業は日本的経営という切れ味抜群の脇差し片手に世界に切り込んでいった。今日のトヨタやホンダ、キヤノン、ソニー、パナソニック、シャープ……日本発のグローバル企業が続々と台頭した時代だ」
🔶 日本企業は今はすっかり大人しくなってしまいましたが、40年くらい前までは勢いがありました。経営者には志や気概がありました。
「たとえば、ソニーの盛田昭夫さん。アメリカ的経営を批判し、日本的経営の素晴らしさを世界中に語って聴衆を感動させた、日本の企業人の鮮烈な印象が私にはある。だから最近の日本のビジネスマンを見ていると、日本人の能力が劣化しているように思えてならない」
「今の日本のビジネスマンが戦後第一世代と比べ圧倒的に劣っているのは、世界に出ていって勝負しようという『気概』である」
「語学力や実務的なスキルの面では、今の経営者のほうが上かもしれない。しかし戦後第一世代が持っていたような世界を相手にする気概、心通じるまで徹底的に話し合うような意志や意欲に関しては、決定的に劣っているように思える」
「親や教師のいうことをよく聞いて自分の分際を知り、自分よりも偏差値の高い人がやっているのだから間違いはないだろうと、お上がどんな悪政、失政をしようとも怒らない。偏差値教育で国民をそんな集団に仕立てたのは、国家に対する最大の犯罪である」
「デンマークでは答えのない21世紀の教育にはなじまないと、今から15年ほど前に『teach(教えるのが先生)』という概念を教室から追放した。25人の生徒がいたら、25通りの答えがあっていい。皆で議論して、1つの意見が正しいと思ったら、それをやってみる。その過程でリーダーシップとチームワークとやる気を習得していく。その習得を手伝う人が先生であり、彼らは『Teacher』ではなく、『Facilitator』と呼ばれている」
* Facilitator 会議や議論の際に、グループがより協力し、共通の目的を理解し、目的達成のための計画立案を支援する人のこと Wikipedia より
🔶 つまり、上から目線で一方的に教えるのではなく、協働し解決していく人たちと言い換えても良いと思います。
「戦後第一世代の発想そのままの手探りの教育、鋳型にはめない教育、すべての人が夢を追求するような教育、が北欧では行われている。日本の教育もそういう方向に変わっていかなければ、気概やアンビションを持ったエネルギー溢れるビジネスマンは出てこないだろう」
⭐ 出典元: PRESIDENT Online 2008/12/16 11:00 PRESIDENT 2008年12月29日号
🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。
🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。
大前研一オフィシャルウェブ
このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-10-07 19:54:34)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。